最初はレシピに忠実に作ることが大切。藤井玲子さんの【おいしい暮らし】
休日の楽しみで入会した料理教室で…
——藤井さんがフーディストとしてレシピを発表するようになったきっかけを教えてください
「もともと、食とは関係のない企業に勤めていたんですが、休日の楽しみで入会した料理教室で手作りにハマり、料理を仕事にしたい、とそのまま転職。料理教室スタッフとして働くようになりました。そんな中で、少しずつInstagramに作ったお菓子やパン、料理の写真を投稿するようになりました。
その後、自分でレシピを発信したいという思いが強くなり、料理教室を退職し、料理研究家として、少しずつレシピ付きでSNSやブログを更新するようになりました」
——レシピを発表されてから、ご自身の生活にどんな変化がありましたか?
「SNSの投稿を見て、実際に私のレシピで作ってくださる方も、フォロワーさんも少しずつ増え、また、お仕事のご依頼もいただくようになりました。
そうなると、さらにたくさんのレシピを発信したい、そのレシピをまとめた場所も作りたいと思うようになり、2020年の12月にレシピサイト『れこれしぴ』をオープンしました。このサイトはとにかく分かりやすさを重視して、できる限り工程写真や動画付きでレシピを発信するようにしているんです。
また、サイトを足がかりに、自分でオンラインのパン教室や料理写真の講座も開催するようになりました」
——そうしたレシピを考えたり、料理をしたりする上で大切にしていることはありますか?
「味・作りやすさ・ビジュアルの3つは常に意識しています。味がおいしいのは大前提として、まずは、レシピを見て作る人にとって材料や工程のハードルが高くないかということ、それによって味が落ちないか…など、常にバランスを考えています。
そして、最終的にカメラで撮影したときに、おいしそうか、きれいに仕上がっているか、というのも大切です。どんなレシピでも、ビジュアルが納得いかなければ、食材の組み合わせや切り方、調理方法や配合までガラッと見直すこともあります。SNSやブログなどでの発信は、いかに目に留めてもらえるかが大切ですので、料理そのもののビジュアルや、写真撮影にはいつも全力です」
——お忙しい毎日、お時間のない中で「味も見た目もおいしくするコツ、準備」などアドバイスをお願いします!
「最初はレシピに忠実に、丁寧に作ることが味・見た目、どちらもいい仕上がりにするコツだと思います。
私もそうでしたが、料理を始めたての頃は、何かと材料を代用したり、アレンジを加えたくなったりするものですよね。でも、意味があってそのレシピになっているはずなので、少し変えただけで、うまく仕上がらないことはよくあります。ですので、一度作ってみて、そのレシピのよさを知ったうえで、自分なりにアレンジして、レパートリーに加えていくのがいいんだと思います。
あとは、とにかくいろいろな料理にチャレンジして『作ったことがある料理』を増やすこと。そうすると、レシピは違えど共通する“料理のポイント”がわかってくると思います。それが積み重なると、初めてチャレンジする料理でも、どこがポイントかを自分で考えながら作ることができるはずです!」
「盛り付けやデコレーションに関しては、まずは、素敵だなと思うものをSNS上で保存したり、雑誌の切り抜きをスクラップしたりして、アイデアのストックを増やしていくこと。そして、なぜそれが素敵だと思うのか、食材の切り方なのか、盛り付け方なのか、器なのか、というポイントを探すようにしています」
——これからチャレンジしてみたいことを教えてください
「ありがたいことに、パンとお菓子以外の料理のお仕事もたくさんいただいているので、もっともっとレシピの引き出しを増やしたいな、と思っています。余裕があるときは、チャレンジしてみたい料理を作って、調味料や食材の組み合わせ、盛り付けなどのインプットとアウトプットをしているので、その機会を増やしていきたいです」
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「今のお家は、料理の仕事をするなんて思っていない頃から住んでいるので、じつはキッチンがあまり広くないんです(笑)。なので、伸び伸びとお仕事ができるようなおうちを探して、素敵なキッチンから気軽に動画を発信できるようになるのが夢です」という藤井さん。わくわくするレシピが生まれる藤井さんのキッチン、いつか拝見したいですね!
藤井玲子さんへのQ&A
——大好物といえば?苦手な食べ物は?
「さんまの塩焼き、蒸し牡蠣のようなシンプルな食べ物、それと、激辛麻婆豆腐にタイ料理、インドカレーなど辛いものもとにかく大好きです!辛い調味料は常にストックがあって、しゃぶしゃぶや麺料理なんかでも、結局お皿の上で辛くして食べています。苦手な食べ物は子どもの頃からないのが自慢です(笑)」
——思い出のレシピ本はありますか?
「パン作りを初めて、その奥深さに気がつき始めた頃、もっと勉強してみたい!と思って手に取ったのが、高橋雅子先生の『少しのイーストでゆっくり発酵パン』でした。この本で、パン作りの沼にはまっていったような感じです。それから、レシピを発信することを仕事にしている「料理家」という職業の人がいることを知り、目指し始めたのもこの本がきっかけ。雅子先生のパン教室には今でも通っています!
それから、SHIORIさんのレシピ本は何冊も買っていて、とくに『カラダ想いな朝ラク弁当』がお気に入りです。身近な食材と、簡単なステップなのに、滋味深いお弁当ができあがるレシピばかりで、会社員時代、作り倒しました。お教室や講演会に繰り返し足を運び、ドキドキしながらサインをお願いしたことを、今でも覚えています。SHIORIさんの講演は、料理の仕事にチャレンジしたいけど、どうしたらいいかわからない、という自分の中のモヤモヤを明確なビジョンに変えられたきっかけになりました」
——お料理以外で、リラックスタイムの過ごし方といえば?
「朝起きてからのルーティンが私にとってのリラックスタイムです。朝起きたら、夫と2人で近所をぐるりと散歩して、神社にお参り、帰ってきたら読書をして、昨日のことと今日の目標を日記帳に書いています。気持ちも頭もスッキリして、いい1日をスタートできる気がしています。
あとは、ランニング。平日は軽めのコースを走ったついでに夕飯の買い物を、週末は夫と2人で7kmくらいのコースを走ることもあります。この前は旅先でも朝ランにチャレンジしようと、北海道で朝から海を見ながら走りました。気持ちよかったです!」
料理研究家・フードコーディネーター。企業へのレシピ・写真提供も多数手がける。レシピサイト「れこれしぴ」で、毎日のごはんから休日に楽しみたいパン・お菓子まで“作りたくなる!わくわくレシピ”を紹介中。フードフォトレッスンやパン教室もオンラインで開催。
<レシピサイト>
「れこれしぴ」
<Instagram>
藤井玲子(料理研究家/フードコーディネーター)(@rekoneko)
<YouTube>
「れこれしぴ 〜料理研究家 藤井玲子のレシピ動画〜」
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