「ポッキ」って何のこと?韓国ドラマみたいな「トッポッキ」が10分で作れるレシピ
はじめまして!韓国料理研究家の本田朋美(ほんだともみ)です。今回からフーディストノートで韓国料理の記事をお届けすることになりました。どうぞよろしくお願いいたします!
私は韓国料理研究家として活動を始めて丸12年になります。料理の仕事をする前は日韓交流会を主宰していたのですが、そこで韓国料理を作る交流会を開催したところ思いのほか好評だったのがきっかけで、本格的に韓国料理の道に入りました。
2014年~2016年の3年間、3~4か月に一度の割合で渡韓し、ソウルにある韓国伝統飲食研究所で、韓国の伝統料理、薬膳料理、郷土料理、宮中料理、餅・韓菓を学び、各マスターコースを修了しました。
私が日本での活動において大切にしているのが、身近な材料で作れる韓国料理をご紹介すること。
多くの方にご自宅で韓国料理を楽しんでいただきたい、というのが私の想いです!
韓国人の思い出の味「トッポッキ」
早速ですが、韓国料理といえば何が真っ先に思い浮かびますか?いまや日本のスーパーでもたくさんのレトルトなどが販売されている「トッポッキ(トッポギ)」を思いつく方がいらっしゃるでしょう。
トッポッキは韓国の代表的な屋台料理やデリバリー料理で、国民食といっても過言ではありません!学生たちが放課後に買い食いする料理の一つであり、韓国人にとって思い出がたくさん詰まっているからです。
「トッポッキ」は韓国の餅のことではありません
なお、日本では「トッポギ」と言われることが多いですが、韓国語に近い発音ですと「トッポッキ」です。また、韓国の餅そのもののことを「トッポッキ」と呼ぶわけではなく、「トッ」は「餅」、そして「ポッキ」は「炒め」を意味します。昔からあるトッポッキは炒めて作りますが、現在主流の作り方では炒めずに煮ます。しかし、トッポッキという名前はそのまま使われています。
朝鮮時代、餅は富裕層の食べ物だった!
ここでトッポッキの歴史をちょっとひも解いてみましょう。
朝鮮時代は餅が高価だったため、王族や貴族などの富裕層の間で食べられていました。当時のトッポッキは野菜や肉などの具が色々と入り、しょうゆで味つけをしていました。この料理を「宮中(クンジュン)トッポッキ」と言います。
では、コチュジャンで味付けした甘辛いトッポッキが生まれたのはいつでしょう?
1953年、甘辛トッポッキの原型が誕生。ソウルの新堂洞(シンダンドン)で一人の女性がコチュジャンを使った間食用のトッポッキを考え出し、リヤカーをひきながら売ったそうです。その後、現在に至るまで新堂洞はトッポッキの街として知られています。
歴史を知ったら最近のトッポッキ事情も気になりますね。2021年頃から韓国では「ロゼトッポッキ」が流行っています。ロゼトッポッキのソースはコチュジャンと生クリームを混ぜ合わせたもの。生クリームのおかげでコチュジャンの辛さがマイルドになり、このまろやかな味にやみつきになる人が続出しています!
トッポッキ用とスープ用の餅はここが違う!
次に、トッ(餅)についてお話しますね。
韓国の餅の原材料の主流はもち米ではなくうるち米で、加熱をしても形が崩れず弾力があるのが特徴です。1960年代にはアメリカから小麦が流通し、小麦粉ベースの餅も作られるようになりました。
トッポッキ用の餅は、細長く棒状に作った餅(カレトッ)を5cmほどの長さに切ったもので、これとは別にある楕円形の餅はスープ用です。
韓国では旧正月に日本と同様に、餅が入ったお雑煮(トックッ)を食べる習慣がありますが、楕円形の餅はお金の形を模しており「お金に不自由なく過ごせますように」という願いが込められているのです。なので、トッポッキ用の餅をトックッに使うことはありませんし、スープ用の餅をトッポッキに使うことも基本的にはありません。機会があったら、スーパーなどでトッポッキ用とスープ用の餅を見比べてくださいね。
最後に、トッポッキの作り方をご紹介いたします!使う材料も少なく、10分程度で手軽に作れますので、一度お試しください。
トッポッキの作り方
調理時間
10分
分量
2人分
材料
・トッポッキ用餅…150g
・さつま揚げ…2枚
・水…1カップ
・小ねぎ(小口切り)…適宜
・白ごま…適量
[A]
・コチュジャン…大さじ1/2
・しょうゆ…大さじ1
・みりん…大さじ1
・粉唐辛子(韓国産)…大さじ1/2 ※なくても良い
・おろしにんにく…小さじ1
作り方
1. トッポッキ用餅をさっと洗う。
2. さつまあげは湯(分量外)をかけて油抜きをし、1枚につき縦に5等分に切る。
3. 鍋に水と[A]の材料を入れて強火にかけ、煮立ったらトッポッキ用餅とさつま揚げを入れて中火にし、とろみがつくまで5分ほど煮る。
4. 器に盛り付け、小ねぎと白ごまをのせる。
ポイント
本来トッポッキには板状の練り物(オムッ)を切って入れますが、今回はさつまあげで代用しました。さつまあげから出る味がトッポッキを深い味わいにしますよ。
コチュジャンの量がやや少なめになっていますので、辛いのがお好きな方は増やしてくださいね。レシピに使ったコチュジャンは、日本のスーパーで買える韓国産です。市販の韓国産のコチュジャンは甘味が強いので、砂糖は入れませんでしたが、さらに甘くしたい場合は加えてくださいね。また今回は日本でも作りやすいようにみりんを使いましたが、韓国では水あめを使うことが多いです。
韓国ドラマの料理を作ってみたい方に♪
ところでトッポッキといえば、韓国ドラマの中によく登場します。ドラマで食べられている料理っておいしそうに見えますよね?
「ドラマの料理を一度作ってみたい!」という方には、私とコリアン・フード・コラムニストの八田靖史さんの共著「韓国ドラマ食堂」がおすすめです!本来の作り方よりも工程を減らしているので、韓国料理初心者の方でも比較的作りやすいと思います。ぜひ手にとってみてくださいね!
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