天ぷら粉でカリッ♪具がたっぷりで本場式の「海鮮ねぎチヂミ」絶品レシピ
こんにちは!韓国料理研究家の本田朋美です。
梅雨の季節に入りましたね。韓国でも6月後半あたりから梅雨に入るのですが、雨が降ると韓国人が食べたくなる料理があります。何だと思いますか?
それは「チヂミ(または、チジミ)」です。
今日はみなさまも良くご存じのチヂミについて、本場の文化を交えながらご紹介しますね!
昔は高級品だった!韓国での料理名と意外な歴史
ソウルで「チヂミください」は通じません
じつは韓国で「チヂミ」という料理名は一般的ではありません。
韓国南部の釜山に近い慶尚道(キョンサンド)という地域の方言でこの料理を「チヂム」または「チヂミ」と呼ぶことに由来しており、日本で「チヂミ」という名前が広まったのは、慶尚道から日本に渡ってきた在日韓国人の影響と考えられています。
ですので、ソウルの専門店で「チヂミください(チヂミ チュセヨ)」と注文しても残念ながら通じません。
では、何と呼べば良いのでしょう?
かつて小麦粉は高級食材だった
答えの前に小麦についてちょっとした知識をひとつお話します。
チヂミに使う小麦粉は現代では安く買える食材ですが、朝鮮時代(1392年~1897年)に小麦を使えるのは王族や貴族といった上流階級の人たちだけでした。
その理由は、朝鮮半島の環境が小麦の栽培に適していなかったために収穫量が少なかったから、そして中国から輸入していたので高価だったからです。庶民には手が届かなかったのですね。
そんな高級食材だった小麦粉を使い、上流階級の人たちが作った料理の中に、焼きものがあります。
肉、魚、野菜、豆腐を薄くスライスするか、小さいものはその形のまま塩などで下味をつけて、小麦粉を薄くはたき、卵液にくぐらせて(卵液をつけない場合もあります)、両面を油で焼きます。
この料理の名前を「煎(ジョンまたは、チョン)」といいます。
また具材を細かく切って、小麦粉ベースの生地と混ぜ合わせて油で平たく焼いたものは「プッチムゲ(または、プチムゲ)」といい、ジョンに比べて歴史が浅いです。
この二つは形が少し違いますが、韓国では大きなプッチムゲをジョンと呼ぶなど、明確に使い分けしていないこともあります。
つまり日本で「チヂミ」と呼んでいる料理は、韓国では「ジョン」や「プッチムゲ」と呼ばれているのです。
「ジョン」や「プッチムゲ」は、お祝いの席に欠かない料理
ジョンはお店でももちろん食べられますが、旧正月や旧盆といった家族や親族が集まる日、そして結婚式や子どもの誕生日会などのお祝いの席に欠かせない料理です。
韓国ドラマで、旧正月や旧盆の前日から何種類ものジョンを焼いているシーンをご覧になったことがありますか?床にホットプレートを置いて、家族でおしゃべりをしながら延々と焼くのが韓国スタイル。家族や親族の多い家庭になると、いろいろなジョンが山盛りになり、部屋は香ばしい匂いで満たされます。
「雨の日はチヂミ」と言われる理由
それから冒頭に書いたとおり、雨が降ると韓国人はジョンやプッチムゲを食べたくなると言います。
理由は「ジョンやプッチムゲを焼く音が、雨音に似ているから」なんだとか。風情がありますよね!
また家庭で料理をする人からすれば、粉さえあればあとは冷蔵庫にあるもので作れるので、雨の日にわざわざ買い物に行く手間が省けてラクチンなのです。韓国の家庭にはキムチが常備してあるので、「キムチジョン」は食卓に度々登場しますよ。
レパートリーは無限大!
韓国本場の文化についてお話しましたが、日本でもチヂミはすっかり食卓の人気者になりましたね!さまざまな食材でおいしく作れるので、レパートリーが無限に広がります。
最後に「海鮮ねぎチヂミ」の作り方をお伝えします。本場の方法を少しアレンジし、天ぷら粉で作るレシピです。天ぷら粉を使うと外側がカリッと焼けるのがポイントです。ぜひお試しくださいね!
「海鮮ねぎチヂミ」レシピ(調理時間:15分)
材料(2~3人分)
・小ねぎ…1束
・シーフードミックス(解凍)…200g
・サラダ油…大さじ4
[生地]
・天ぷら粉…80g
・水…130ml(約2/3カップ)
・塩…小さじ1/2
[卵液]
・卵…1個
・塩…ふたつまみ
[たれ]
・しょうゆ…大さじ1
・酢…大さじ1/2
・砂糖…大さじ1/2
・すりごま…小さじ1/2
※たれの材料は混ぜておく
作り方
1. 小ねぎの根を切り落とし、3等分に切る。
※長さはフライパンの大きさに合わせてください
2. ボウルに天ぷら粉、水、塩小さじ1/2を入れて良く混ぜて生地を作る。別のボウルに卵を割り入れ、塩ふたつまみを入れて良く混ぜ、卵液を用意する。
3. フライパンにサラダ油大さじ2を熱し、中火にする。ここに生地の2/3量を流し入れて軽く焼く。
4. 生地の上に小ねぎを均等に並べたら、シーフードミックスを全体にバランスよくのせる。
5. 生地の残りを上から流し入れて、別のボウルに用意してあった卵液を全体に回しかける。
6. 片面が焼けたらひっくり返して、鍋肌からサラダ油大さじ2を回し入れ、もう片面を焼き上げる。
7. 再度ひっくり返して下面を1分ほど焼いたら、皿に盛り付けてたれを添える。
天ぷら粉がない場合は、小麦粉と上新粉を半々ずつ混ぜて使ってください。もちろん専用のチヂミ粉でも。旨味を足したいときは、海鮮味の顆粒だしを少し入れてもいいと思います。
焼くときにサラダ油をやや多めに入れると、外側がカリッとします。韓国ではチヂミを焼くときはサラダ油を使いますが、お好みでごま油とサラダ油を混ぜて使ってもいいでしょう。
他のチヂミにも共通して言えますが、生地は少なめにし、具材を多めにすると素材の味が際立ちます。
韓国では、チヂミを箸で引きちぎるようにして適当な大きさに分けて食べることが多いです。ハサミで切って一口サイズにすることもあります。包丁よりもハサミが意外に便利なので試してみてください。
チヂミのたれの基本は「酢じょうゆ」です。ここにお好みで粉唐辛子やおろしにんにくを入れてアレンジしてくださいね!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!