鶏がらスープはなくてOK!韓国の「ナムル」って実はこんな料理
こんにちは!韓国料理研究家の本田朋美です。
新型コロナウィルスの影響で渡韓できないこの2年。国内の韓国料理店で食事を楽しむ機会がぐんと増えました。
韓国料理店で人気のメニューのひとつに、ビビンバ(韓国語に近い発音では「ピビムパッ」)があります。みなさまも一度は召し上がったことがありますよね?
ご飯の上に肉や卵、色とりどりのナムルがのっていて栄養満点!
今日はこの「ナムル」にスポットをあてたいと思います。
野菜や野草の名前にも「ナムル」
日本で「ナムル」は野菜を調理したおかずとして広まっていますが、正確に言うと料理だけを指しているのではありません。野菜や野草の名前にも「ナムル」という言葉が使われます。
おなじみの大豆もやしは、それ自体を韓国語で「コンナムル」と言いますし、春になると韓国でたくさん出回るヨモギやノビル、タラの芽など野草のことを総称して「春ナムル(ポムナムル)」とも言います。
3月辺りから韓国の市場やスーパーは「春ナムル」であふれかえっていて、春の到来が大いに感じられます。
調理方法の違い
料理の方の「ナムル」ですが、まず調理方法によって2種類に分かれます。
生野菜に味付けしたナムルを「生菜(センチェ)」、ゆでたり炒めたりした野菜に味付けしたナムルを「熟菜(スッチェ)」と呼びます。
干し野菜のナムルで野菜不足をカバー
「熟菜(スッチェ)」には干し野菜も良く使われますよ。韓国は日本よりも寒さが厳しいので、収穫した新鮮な野菜をそのまま乾燥させたり、ゆでてから乾燥させたりして、保存しておきます。これは栽培技術や冷蔵技術が発達していなかった頃の先人の知恵で、生野菜が手に入りにくい冬は、保存しておいた干し野菜でナムルを作り野菜不足をカバーしていたのです。
ベースの味付けは大きく分けて4種類
次に味付けについてお話します。
ナムルの味付けは、大きく分けると「塩ベース」「しょうゆベース」「みそベース」「コチュジャンベース」の4種類です。味のベースとなるそれぞれの調味料に、みじん切りまたはすりおろしたにんにく、油、ごまをプラスします。
日本では味付けに鶏がらスープを使うレシピをよく見かけますが、韓国では基本的には使いません。
油は、ごま油以外にえごま油やサラダ油も使います。例えば素材をサラダ油で炒めて味付けした後に、ごま油をちょっと回し入れます。こうすることで、ごま油の香りがふわっと引き立つのです。
ベースの味付けに粉唐辛子を入れてピリ辛にしたり、酢を加えてさわやかな酸味を出したり、砂糖で甘味を足したりもします。コチュジャンとみその合わせ技もあります。
冒頭にビビンバについてちらっと書きましたが、味付けのベースがそれぞれ違うナムルでビビンバを作ると、相乗効果で贅沢なおいしさになりますよ。
今日はこの中から、塩ベースのナムルと酢コチュジャンベースのナムルの作り方をご紹介しますね。
「大豆もやしのナムル」の作り方(調理時間:10分)
材料(2人分)
・大豆もやし…200g
・水…400ml
・塩…小さじ1と1/2
・おろしにんにく…小さじ1/2
・ごま油…大さじ1/2
・ごま…小さじ1
・小ねぎ(小口切り)…適宜
作り方
1. 鍋に水と塩を入れて強火にかけ、沸騰したら大豆もやし入れて蓋をし、中火にして2分程度ゆでる。
2. 1の大豆もやしをザルにあげて広げ、粗熱をとり冷したら、キッチンーパーで水気を取る。
※強く絞らず、キッチンペーパーで軽く水気を取る程度にしてください。こうすることで、シャキシャキとした食感が残ります
。
3. ボウルに湯がいた大豆もやし、ごま油、ごま、小ねぎを入れて混ぜ合わせたら器に盛り付ける。
ポイント
大豆もやしのひげ根が気になる方は取り除いてください。塩ゆでによって塩味をつけておくと、仕上げた後に水分があまり出ません。大豆もやしの太さによって加熱時間が異なるので、途中で火の入り具合を確認してくださいね。
にんにくを生で食べたくない方は抜いてもいいですよ。
それから、大豆もやしをゆでた煮汁は捨てずに料理に活用してくださいね!大豆からうま味が出ているので、水を足して具材を入れて煮て、味を調えたらおいしいスープの完成です!
きゅうりとわかめの酢コチュジャンナムル(調理時間:15分)
材料(2人分)
・きゅうり…1本
・乾燥わかめ…6g
・塩…小さじ1/2
・ごま…小さじ1/2
[A](酢コチュジャンの材料)
・コチュジャン…大さじ1
・酢…大さじ1
・砂糖…大さじ1/2
・おろしにんにく 小さじ1/2
作り方
1. きゅうりは両端を切り落とし、幅2mmの輪切りにする。塩をまぶして5分ほど置いたら、水でさっと洗って水気を絞る。
2. 乾燥わかめをお湯で戻したら、冷水にとり水気を絞る。
3. ボウルに[A]とごまを入れて混ぜたら、1のきゅうりと2の戻したわかめを入れて和え、器に盛りつける。
ポイント
砂糖の代わりに、水あめやオリゴ糖でもOKです。
なお、韓国では今回ご紹介した「酢コチュジャン」をナムルの味付けに使う他、白身魚などのお刺身につけて食べますよ。たこやいか、まぐろも意外に合います。1か月くらい保存可能なので、多めに作って冷蔵保存することをおすすめします。
今回は2種類の味付けをご紹介しましたが、基本の味付けベースを応用すればどんな野菜でもナムルにできる点が魅力です。ご自宅で気軽に作ってみてください。
また韓国では「手で直接和えること」に大きな意味があり、手の味(ソンマッ)といって、心を込めて作られた味を表しています。ビニール手袋をはめていても、手で混ぜ合わせると均一に調味料が行き渡りますので、ぜひ混ぜ方も「本場式」をお試しくださいね!
韓国ドラマの料理を作ってみたい方に♪
ナムルやビビンバといえば韓国ドラマでもおなじみ!「ドラマの料理を一度作ってみたい!」という方には、私とコリアン・フード・コラムニストの八田靖史さんの共著「韓国ドラマ食堂」がおすすめです。例えば大人気の韓国ドラマ「私の名前はキム・サムスン」風のビビンバも紹介しています。ぜひ手にとってみてくださいね!
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