関西は厚切り、関東は薄切りってホント?今さら聞けない「食パン」の基本のき
名前の由来は「主食用のパン」説が有力!?
あんこが入っているから「あんパン」、カレーが入っているから「カレーパン」。では、食パンはなぜ「食パン」?その由来には諸説あるようで、なかでもよく取り上げられるのが「主食用のパン」説。菓子パンとは異なり甘さや塩気は控えめで、白いごはんのように食事に合わせやすい主食用のパン。それが短くなって「食パン」と呼ばれるようになったそうです。
また、パンは美術のデッサンで消しゴムのかわりに重宝されてきました。この“消すためのパン”と区別し、食べられるパンとして「食パン」という名前が生まれたともいわれています。他には、キッチンで登場するフライパンと区別するために「食パン」と名付けられたという説も。どれもなるほど~なお話ですよね。
「角食」と「山食」は何が違うの?
食パンには、角が角ばっている長方形の「角食」と、てっぺんが丸い山のようになっている「山食」があります。この形の違いは、焼くときにフタをするかしないかで決まります。食パンは箱型のパン型に入れて焼きますが、角食はフタをするため、生地がしっとりとなりなめらかに。これに対し、山食はフタをしないため、生地が上に伸びてきめが粗くり、フワフワ食感になるんです。
ところで、その山食を「イギリスパン」と呼ぶこともありますよね。これは明治初期、イギリスで食べられていた山型のパンが日本へ伝わったことが由来とか。このイギリスパンが食パンのルーツになったともいわれています。
関西は厚切り、関東は薄切りが好き?
そういえば、関西の料理家さんのレシピでは、食パンといえば「5枚切り」が出てくることが多いような…。実際に、愛知県周辺を境に東日本では6枚切り、西日本では5枚切りを選ぶ傾向があるという調査結果もあるほど。(「食パン、何枚切りが好き?」Jタウンネット調べ)
この理由も諸説いわれていて、関東ではパンのはじまりがあんパンなどの菓子パンだったため、パンといえば軽食、だから薄切りに。一方、関西ではホテルやレストランでの主食としてのパンの需要が高く、そのため厚切りが浸透したといわれています。さらに、戦後に進駐軍から8枚切りを焼くよう依頼があり、それが残って関東は8枚切りが主流になった、とも伝わっています。
そして、いわゆる「粉もん文化」の関西は、やわらかくてもちもちした食感になじみがあるため厚切りが支持されてきた、という説もあります。一方の関東は、草加煎餅や浅草の醤油煎餅などパリッ、サクッとした硬めの食感が好かれ、そこから薄切りの食パンが一般的になったとか…。暮らしの習慣って、こうして形づくられていくんですね。
食パンは冷凍庫へ!
食べきれない食パンを長期保存するなら、新鮮なうちに冷凍保存するのがおすすめ。その際は、ラップで一枚づつ包み、密閉保存袋に入れることを忘れずに。大手パンメーカーのホームページを見ると、パンの主成分であるでんぷんが劣化しやすいうえ、水分が蒸発しかたくなりやすいため、冷蔵庫での保存はすすめていないようです。
冷凍した食パンは、自然解凍してそのまま食べることができます。トーストする時は、冷凍したままでOK。ただし、ピザトーストやフレンチトーストなどに利用する場合は、常温で解凍してから焼くと失敗がありません。
試してみたい!「食パン」のアレンジレシピ
食パンはシンプルで素朴な味わいだからこそ、アレンジも無限大!ここからは、食事にデザートにとブロガーさんたちのセンスが光るアイデアレシピをご紹介します。
諸説ある名前の由来や東西での好みの違いなど、素朴な味わいからは想像もできないほど奥深~い食パンの世界。種類も食べ方もこれだけさまざまあるのですから、今度はいつもとは違った食パンの楽しみ方をためしてみてはいかがですか。たっぷりと食パンのお話をしてきたので、すぐに食べたくなってきました♪
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「今さら聞けない!調味料の基本」
※参考書籍、ホームページ
『サンドイッチの発想と組み立て』(ナガタユイ/誠文堂新光社)
カメリア「イギリスパン特集vol.1~イギリス発祥のパン~」
カメリア「”食パン”名前の由来とは?~日本発祥のパン~」
マイナビニュース「”食パン”の名前の由来は? 食パン発祥店の人に聞いてきた」
日本経済新聞「食パン、関西なぜ厚切り?」
旭化成「保存テクニック/食パン」
敷島製パン「パンのおいしい食べ方」
フジパン「よくあるご質問」
Jタウンネット東京都「マツコ・デラックス、食パンの地域差に驚愕」