チョコレートのテンパリングってなに?失敗したらどうする?参考にしたい基本のやり方と注意点
テンパリングの前に、まずはチョコレートの種類をおさらい
スイート、ミルク、ホワイト…。チョコレートの違いって?
カカオ豆がチョコレートの主原料なのは、みなさんご存知ですよね。カカオ豆からさまざまな工程を通してカカオマスとココアバターが作られ、これらがチョコレートの味や食感に大きく影響します。
チョコレートには、種類も呼び名もたくさん。私たちが身近に感じる呼び名で分けると、次の3つになります。
・カカオマスとココアバターを多く含んだスイートチョコレート。ビターやブラック、ピュアチョコレートとも言われます。カカオ豆の風味をダイレクトに感じ、特にカカオマスが多く含まれるほど苦みのある味わいに
・スイートチョコレートにミルク(乳製品)を加えたミルクチョコレート。カカオ分は低くなり、スイートチョコレートに比べると色が淡くマイルドな味わいです
・カカオマスを使わず、ココアバターとミルクが主原料のホワイトチョコレート。ミルクの味と色の白さが特徴で、甘さは強めです
また、最近では第4のチョコレートとして、ルビーチョコレートという新しい種類も発売されています。ルビーチョコレートは、着色料を使わずにルビーカカオ豆の成分を使って特別な製造加工方法で作られています。濃厚なフルーティーさとフレッシュな酸味が特徴の味わいです。
これ以外にも、純チョコレートや生チョコレート、フレーバーチョコレートなど、含まれる成分の違いによって種類や呼び方はさまざま。好みに合わせてチョコレートを選んでくださいね。
手作りチョコレートをグレードアップ!テンパリングってなに?
手作りチョコレートをおいしくするポイントの1つが、クーベルチュールチョコレートなどの「製菓用チョコレート」を使うこと。お菓子コーナーに売ってる板チョコレートを使っても問題ありませんが、風味やなめらかさに大きな差が出ます。
製菓用チョコレートはココアバターを多く含み、それに加えてカカオ分も多くなっているので、カカオ本来のフルーティーな香りと味わい、そしてなめらかな口どけが楽しめるチョコレートに仕上がります。
そして、チョコレート作りの基本といえば「テンパリング」。テンパリングとは、チョコレートを溶かして、再度固める場合の温度調整作業のことをいいます。特にカカオバターの結晶を最も安定した状態にすることが、つややかでなめらかな口当たりのチョコレートに仕上げるために重要なこと。
ケーキや生チョコレートを作る場合など、他の材料と混ぜるときはテンパリングの必要はありません。ですが、チョコレートそのものを味わう場合には欠かせない作業なのでぜひマスターしたいですね♪
初心者さんも必見!基本のテンパリングの仕方
チョコレートのテンパリングの方法はいろいろ。ここでは初心者さんにもおすすめの簡単な方法をご紹介します。
テンパリングに必要な材料と調理道具
テンパリングに必要なのは
・テンパリングに使うチョコレート
・冷水に入れる氷
・チョコレートを刻む包丁とまな板
・大きさが違うボウル(合計2個)
・ゴムベラ
・温度計
です。調理道具に水分が付着していると失敗する可能性があるため、水分はきれいに拭き取りましょう。
テンパリングの手順
続いて、テンパリングの手順をご紹介します。
【手順1】チョコレートを細かく刻む
初めに、チョコレートを細かく刻みます。大きいサイズのままでも湯せんにかけられますが、細かく刻んだ方が早く溶け、溶かしムラもなくせるのでおすすめです。
チョコレートを手で細かく割る方法もありますが、チョコレートが手の温度で溶け、手に付いた分だけ分量が変わってしまうので包丁を使う方がよいでしょう。
刻み終わったら用意した小さいボウルに入れます。
【手順2】チョコレートを湯せんにかける
手順1のボウルより一回り大きいサイズのボウルに50℃のお湯を入れ、その上に手順1のボウルをセットしたらチョコレート全体が溶けるようにゴムベラでゆっくりとかき混ぜます。
チョコレートの種類や量によって融解温度が異なるため、全体をよく見ながら、固形部分が残らないように湯せんしてください。ゴムベラで大きくかき混ぜることで、全体の温度が同じように行き渡ります。混ぜるときは湯せん用のお湯がチョコレートに入らないよう気をつけましょう。
この工程で、チョコレートの温度を40℃まで下げたら次の工程に移ります。
【手順3】湯せんしたチョコレートを冷水で冷やす
湯せんが終わったら、大きいボウルのお湯を捨て、氷を入れた冷水に入れ替えます。冷水が入ったボウルに、チョコレートが入ったボウルをセットし、ゴムベラで大きく混ぜましょう。
この入れ替え作業のときにも、チョコレートに水が入る可能性があります。一滴でも入ってしまうとチョコレートが分離してしまうため、細心の注意を払いましょう。
温度計を見ながらチョコレートの温度を下げていきますが、このとき目安にする温度は、ミルクチョコレート・ブラックチョコレートが26~27℃、ホワイトチョコレートが25℃前後です。チョコレートの種類によって、温度が違うため事前にチェックをし、温度計を使いながら正確に測りましょう。
混ぜるときは、温度にムラができないよう、ボウルの中心部分だけではなく、ボウル側面についているチョコレートも全体に混ざるように大きく手を動かすことがポイントです。
【手順4】再び湯せんにかける
温度を下げたチョコレートを再び湯せんにかけます。このとき、チョコレートの温度を29℃〜31℃をキープする必要があるため、温度計で計りながらチョコレートをゆっくり大きくかき混ぜ、ボウルを長時間お湯につけないように注意してください。つやのある状態になれば、テンパリングの完成です。
32℃以上になると、温度が高すぎるため、その場合はもう一度冷水につけてテンパリングをやり直すようにしましょう。
1~4の手順を踏んでテンパリングをしたブログや、テンパリングの素を紹介しているブログもぜひ参考にしてくださいね。
おさえておこう!テンパリングが失敗する原因とは?
手作りチョコレートに重要なテンパリング。失敗してブルーム現象(チョコレートの表面が白っぽくなったり、小さな点々や筋ができたりすること)を起こしてしまうこともあります。ここからはその原因と注意点について深掘りしていきましょう。
まず、テンパリング中に水が入ってしまうと、なめらかさがなくなり、口あたりが悪くなってしまいます。湯せんの際に水が入らないように気をつけることはもちろん、ボウルやゴムベラなどの道具にも水滴が付いていないか確認しましょう。
チョコレートが固まらない場合は、温度調整がうまくいっていない可能性が高いです。全体の温度が均一になるように混ぜてから、温度を測るといいですよ。
また、部屋の気温が低いとチョコレートがすぐに固まってしまう場合があります。できるだけ室温を約25℃に保って作業するようにしてくださいね。
チョコレートのテンパリングに失敗してしまったときはどうする?
前述のポイントをおさえていても失敗してしまったときに使える解決策をご紹介します。
【解決策1】温め直す
水が入ってしまったわけではないのになんだかうまくいかない…そんなときは、温度が低くなりすぎてしまった可能性があります。冷水につける時間が長いと、チョコレートの温度が下がりすぎてテンパリングがうまくいきません。
その場合は、チョコレートを一度温め直して再度、温度調節をします。大きいボウルに50℃のお湯をはり、チョコレートが入ったボウルを浮かべます。チョコレートを温めてからもう一度温度を下げることで、成功する場合があるので、ぜひトライしてみてください。
温度管理が重要になるので、温度計は必ず使用するようにしましょう。
テンパリング以外でもチョコレートが分離するのはよくある話し。この温め直すという方法は、そういったときにも有効なので、下記の体験談もぜひ参考にしてみてくださいね。
【解決策2】料理の隠し味として使用する
水が入ってしまったチョコレートは、残念ながらリカバリーができません。舌触りがザラつき、見た目も悪くなってしまうので、料理に活用するのがおすすめです。
カレーやビーフシチューに隠し味としてチョコレートを入れればコクが出ますし、温かい牛乳に入れたりパンに塗ったりしてもいいでしょう。
チョコレートの味が失われるわけではないため、ぜひ有効活用してください。
テンパリングをしたチョコレートで作る、手作りスイーツレシピ
テンパリングが完成したら、そのチョコレートを使っていろいろなスイーツを作ってみましょう。初心者の方は少量から練習するといいですよ。
すぐに完成♪いちごチョコレート
酸味と甘味のハーモニー!オランジェショコラ
全体をチョコレートでコーティング!パッロッツォ
生クリーム不使用でもなめらか!ボンボンショコラ
カラフルで華やか♪マンディアン
チョコレートの種類やテンパリングの方法、気軽に作れる簡単レシピなど幅広くご紹介しました。
手間や時間はかかりますが、成功したときのよろこびはひとしおです。テンパリングが失敗する原因がわかれば、成功率もあがるので、ご紹介した内容を参考にしながらトライしてみてくださいね!