生活感を徹底的に隠したキッチンで楽しむ、富岡清美さんの“普段使いのイタリアンレシピ”
富岡清美さんの「世界一楽しいわたしの台所」
——キッチンのテーマやこだわりを教えてください

「わが家はLDKが1つの大きな空間になっていて、その一角にオープンキッチンがあるんです。だから、キッチンがごちゃごちゃしていると、ダイニングやリビングからも目に入ってなんとなく落ち着かなくて…。そこで、使わないものはできるだけ収納スペースにしまって、いつでもスッキリ見えるように心がけています」

「数年前のコロナ禍の緊急事態宣言で小学校が休校になり、当時、入学したばかりの娘は学校にも行けず、お友だちと遊ぶこともできず…。そんな娘と毎日、イタリアンレストランの看板のようなプレートを置いたこのキッチンでおやつ作りをしたのは幸せな時間でした。今でも娘とはよく一緒にティラミスを作っています」
——キッチンのお気に入りポイントは?

「どうしても生活感が出てしまう冷蔵庫や電子レンジを隠せるように、背面にスライド式の大きな収納扉を取り付けたところです」

「扉を開けるとこんな感じです。自宅で料理教室やホームパーティーを開くことも多いので、お客さまが来たときに、扉を閉めるだけでパッと空気を変えられるのは、本当に助かっています」
“ひとつ増えたらひとつ減らす”をルールに
——キッチンツールの収納のマイルールといえば?

「料理の仕事をしていると、ツール類も食器もどうしても増えていきがちですよね。そこで、何かひとつ増えたらひとつ減らすことと、それぞれの収納スペースに収まるだけしか持たないことを心がけています。
こちらのシンクの下の収納には、よく使う鍋、フライパン、包丁、おたまやトングなどの調理道具を収納しています。毎日のように出し入れするので、取り出しやすさを第一に考え、ざっくり重ねて収納しています。
鍋のふたは縦に立てられるよう、100均の書類用の収納ケースを使っています」

「コンロ下の引き出しには、小さいボウルやおろし金、ザル、天ぷら紙、お弁当箱、お弁当カップ、型抜きなど、使用頻度の高い細かいもの、水気を嫌うものを入れています。中でごちゃごちゃしないように、カテゴリーと大きさで小分けにしています」
——お使いの食器の収納もご紹介をお願いします

「食器は3段ある引き出しタイプの収納と、6か所ある写真のような観音開きの扉収納に分けてしまっています。写真は、主にホームパーティーや料理教室で使う食器で、お客さまがダイニングに座っても取り出しやすい場所に。キッチンから一番近いところには日常使いの食器を置くなど、調理する人と使う人、それぞれの動線を考えて収納しています」

「カトラリー類はキッチンの引き出しに。使いたいものがひと目でわかるように、種類ごとにトレーに分けてしまっています。同じ引き出しには、調理のときに調味料を入れたり、食事のときにソース入れとして使ったりする小皿類も入れてあります」
——食器はどんなものがお好きですか?
「どんな料理にも合って、料理を引き立ててくれるように、あまり柄が入っていないシンプルな色のものを選ぶことが多いです。洋食器なら、サラグレースさんやCOSTA NOVAさんのものが好きです」
「和食器は陶芸作家の佐々木綾子さんの器がお気に入り。器のセレクトショップに行ったときに個展をされていたのが出会いで、もうひと目惚れでした!鶏もも肉のビール煮込みを盛り付けた器も佐々木さんの作品です。どんな料理を盛り付けても素敵に決まるので、ちょこちょこ買い足しているんですよ」
——料理に使う食品や調味料はどちらにストックされていますか?

「できるだけキッチンの物を増やしたくないので、ほぼ毎日スーパーに買い物に行くようにしています。だから、“ストック”というほどストックはじつはあまりないんです。米粉や片栗粉などの粉物、塩や砂糖などの調味料、ツナやコーンなどの缶詰、スパゲッティ、みりんやビネガーなどを少しだけ、透明のケースにカテゴリーごとに分けて。買い物から帰ってきてすぐに収納できるように、玄関付近の収納スペースをパントリー代わりに使っています」
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「おいしいものを誰かと一緒に作って、“おいしいね”って言いながら食べることで、悲しい気持ちが癒えたり、前向きな気持ちになれたりするんですよね。キッチンは料理を作るだけの場所じゃなくて、生きるエネルギーを生み出す場所。これからもキッチンを通して、家族や、私のレシピをご覧になってくださるみなさんに、そんな思いを伝えていけたらと思っています」と語る富岡さん。そうして生まれる富岡さんの“ちょっぴりイタリアン”なレシピだからこそ、作り手にも食べ手にも、幸せな時間を届けてくれるんですね。
(記事中キッチン撮影/富岡清美さん)

フーディストノートアンバサダー。イタリア料理教室で講師を務めた経験や、野菜ソムリエの知識をいかし、旬の食材を使ったヘルシーで見た目も味も楽しめるレシピを発信中。企業のレシピ開発やメディアでのコラム執筆など多方面で活躍中。
<Instagram>
富岡清美/ちょっぴりイタリアンな野菜レシピ(@kiyomitomioka)

