お悩み解決!井上かなえ(かな姐)のオンライン料理教室
井上かなえ(かな姐)
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カレー用のお肉はどうしてかたくなる?その理由とやわらかく仕上げる方法を解説!

カレー用の牛肉や豚肉を買って説明書通りに作ったらお肉がかたくなってしまった…誰もが一度はそんな経験があるのではないでしょうか?料理に関するちょっとしたお悩みに対して、解決方法をわかりやすく教えていただく料理研究家・井上かなえ(かな姐)さんのフーディストノート公式連載。今回は、お肉がかたくなる理由と、やわらかく仕上げるコツを解説していただきます。
2022/07/16
2024/01/10
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こんにちは!井上かなえです。

オンライン料理教室も今回で第4回目となりましたが、みなさまお楽しみいただけていますでしょうか?

仕事でもプライベートでも趣味でも料理のことばっかり考えているわたしですが、そんな料理バカのわたしの思考回路と、普段ほとんど料理をしていない娘の思考回路とでは全く視点が違うんだなということを最近本当によく思い知らされます。

先日、娘が友だちの家に泊まっているときにその近所のスーパーで見つけた10本10円だったか…ほぼ無料のきゅうりに大喜びし、これを持って帰ってもいいかな!とよろこび勇んでわたしにLINEをしてきてたんですけど、写真をよくよく見るとそれは収穫を逃して育ち過ぎた黄色いおばけきゅうりで、今日明日中に食べなければだめになりそうな雰囲気。

しかもお友達は一人暮らしなのに、10本もきゅうりを(しかもダメになりかけの)買って帰ったら余らせて腐らせてしまうよと、持って帰るのを諦めさせましたが…。

独り立ちさせるまでにはまだまだ教えないといけないことはたくさんあるんだろうなと思った出来事でした。

前置きが長くなってしまいましたが!

今回のお悩みはこちらです。

カレーを作る時に肉がかたくならない方法を知りたいです

これ、わたしにも身に覚えがあります!

料理初心者の頃、結婚して初めてカレーを作ったときだったか、付き合ってるときに初めてビーフシチューを作ったときだったか。

箱の裏を見ながらその通りの材料を買って帰り、ドキドキで作ったのですが、長時間煮ても煮てもどうしても肉がやわらかくならない。

イメージとしてはレストランで出てくるようなあのとろけるような、舌の上でほどけていくようなお肉だったんですが、煮えども煮えども肉はやわらかくはならず、代わりにパッサパサの水分が抜けきった肉汁ができたのでした(煮込んだスープにぷかぷか浮かぶ3cm角くらいの肉を想像してください)。

箱の裏の説明書通りにやってもレストランで食べるような牛肉にはならないんかな?とあの時思ったのをすごくすごく今でも覚えています(オットはうまいうまいと平らげてくれましたが)。

さて!

今回はあの時の自分を思い出し、わたしがいつも作っているようなスパイスカレーではなく、箱のカレーを作ってみることにしました。

あえての箱カレー。

材料も箱の裏に書かれている通りに作ってみましたよ。

目指すのはとろけるようなお肉ではなく、決してかたいわけじゃないんだけど、適度にかみ応えがあって中に十分に肉のうまみが残ったおいしいお肉!

カレー用豚肉?

カレーの時はスーパーで「カレー用」って書いてあるお肉を買う方もいらっしゃるのでは?と思い、今回の検証用に選んでみました。

わたしも新婚の頃はこれで作りましたよ、もちろん。

だって「カレー用」ってご丁寧に書いてありますから。

8人分で肉400gでいいのか…。

ちょっと少なそうな気もするけど箱の裏の指示通りだからね!

しかしこのパックをあけてみてびっくり。

様々な部位が入ったお肉

大きさもまちまちなんですが、その部位もまちまちなんです!

(たまたまわたしが買ったお店がそうだったのかもしれませんが)

肩ロース、もも肉、バラ肉、そしてヒレ。

今回わたしが購入した「カレー用」のお肉の実態です。

これにはわたしもびっくり!

正直に申し上げます。はっきり申し上げます。

残念ながら…

これを使っておいしいカレーを作れという方が無理です。

お肉の部位にはそれぞれにあった調理法があるのです。

すべてを一緒くたにして煮るカレーに、このようにいろいろな部位をなんでもかんでも入れればいい!煮込んでしまえば一緒だから!ということは決してありません!!

このお肉を使って箱の裏通りにカレーを作ったのですが、結果は想像した通り!

ヒレはパッサパサ、ももはカッチカチ、かろうじてたまに入っている肩ロースとバラの部分が癒しのひととき。

 

というわけで、試作第2回目。

今度はカレー用と書いてあるお肉ではなく、肩ロースのかたまりのお肉を買ってきましたよ。

豚肩ロース塊肉

バラ肉でもやわらかくおいしいのですが、年齢的にもわたしは少し脂身が気になるので、肩ロース肉を使用します。

今回はとろけるようなやわらかさは追及せず、あくまでも普通のお鍋で普通の煮込み時間でどこまでおいしくなれるかというところ。

 

ちなみにヒレ肉やもも肉はある程度の形のある大きさにカットして煮込み、煮込んだ後はスプーンで肉をそのまま頬張る、という料理には向きません。

(あごの筋トレをされたい方はどうぞ)

これを大きさをそろえて切り分け、ヨーグルトに漬け込みました。

ヨーグルトに漬け込んだ肉

こうすることでお肉がやわらかくなり、さらにヨーグルトのさわやかな酸味でカレーに深みを与えてくれます。

玉ねぎを蒸し焼きにしているところ

お肉を漬け込んでいる間に玉ねぎを蒸し焼きにします。

せっかくなので少しのコツでよりおいしく。

市販のルウを使う場合でもちょっとしたコツでぐんとおいしくなります。

この炒めるときに手持ちのスパイスを入れるのもおすすめ。クミン、コリアンダー、にんにく、しょうがなど。

肉も入れます

15分ほど経ったら漬け込んでおいたお肉も入れます。

しっかり炒めたり焼き固めたりする必要はなくて、軽く混ぜるだけでOK。

お水を入れて煮込む

お水を入れて15分煮込みます。

この時にこのお水の一部をトマト缶にしたり、野菜ジュースにしたりするとよりおいしいです。

お水で煮込むならば、ローリエを1枚入れても良き香りがつきます。

カレールーを溶かし入れます

一旦火を止め、市販のルウを入れて混ぜます。

再び弱火にかけて5分ほど煮ればできあがり!

仕上げにもガラムマサラなどのパウダー状のスパイスを加えたりすると、市販のルウでもさらにおいしさがアップしますよ。

というわけで、完成です!

ポークカレー

 

レシピ

材料(4人分)

・豚肉(肩ロースかたまり肉またはバラ肉)…400g~500g

・玉ねぎ…2個(400g)

・オイル…大さじ1

・プレーンヨーグルト…100g

・カレールウ…市販のもの1/2箱(4人前分)

・水…500ml

作り方

1. 豚肉は2cm角くらいに切り、ボウルに入れてプレーンヨーグルトを混ぜ、30分おく。

2. 玉ねぎはくし形に切り、厚手の鍋に入れてオイルをまわしかけ、蓋をして中火から弱火で25分蒸し焼きにする。

3. 2の鍋に1のヨーグルトに漬け込んだ肉を全部入れ、軽くかき混ぜて水をそそぐ。中火で煮立たせ、あくをすくったら、火を弱めて蓋をして15分煮る。

4. 火を止めてカレールウを入れ、かき混ぜて溶かす。再び弱火にかけ5分ほど煮る。時間があればこのまま数時間おき、食べる前にもう一度温めなおす。

※お好みで、にんじんやじゃがいもを入れて作ってくださいね

結論

というわけで今回の結論です!

1. カレーを作るときに買うべき肉は(豚肉の場合)「カレー用」ではなく「肩ロースかたまり肉」で!

2. 箱の裏に書いてある肉の分量では大人ばかりの家庭では物足りなさが出るので、倍量で!

3. 肉はヨーグルトに漬け込んでから調理することでやわらかく、そしてさっぱりとした味になります!

※ちなみに…牛肉を使ってよりお肉をやわらかく仕上げる目からうろこの方法はこちらです↓
煮込まなくてOK!お肉を食べるためのビーフカレー

※豚肉を使ったカレーでより本格的に仕上げたい方はこちらがおすすめです↓
ポークビンダルー

 

今回はカレーのお肉について勉強しました。

また次回もお楽しみにー。

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井上かなえ(かな姐)

料理研究家。野菜ソムリエ。忙しくても手早く作れてきちんとおいしいレシピが支持されている。毎日の家ごはんやレシピを紹介するブログ「母ちゃんちの晩御飯とどたばた日記」は、「レシピブログ」の人気ブロガーランキングで殿堂入りするほどの人気。神戸、東京で料理教室を主催するほか、NHK「きょうの料理」の出演や、企業のメニュー開発、書籍でのレシピ提案など幅広く活躍。著書に『はじめての自炊練習帖』(ダイヤモンド社)、『15分スープひとつで満足ごはん』(講談社)など。

 

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