【おいしい暮らし】阪下千恵さんに聞く、「時間がなくても満足する料理を作るための基本のき」って?
無理なく、それでいて、いつもよりちょっとだけ暮らしが良くなる料理を
料理をする上で大切にしていることはなんですか?
「大切にしているのは、『料理は日々の生活の延長線上にあるもの』という思いです。料理は生活の一部なので、がんばりすぎたり、人に見せることを意識しすぎるあまりに、他の生活全般にしわ寄せがいくようなものであってはつまらない、と思っています。作って、食べて、それぞれ無理なく、それでいて、いつもよりちょっとだけ暮らしが良くなる料理を目指しています。
無理をしない、という意味では、『毎日の暮らしの中でのバランス』も意識しています。大手外食企業や、オーガニック系の食材宅配会社での会社員時代を経て、30歳を目前に栄養士の資格を取るために短大に2年間通いました。それらの経験から、無理せずに『自分の体の声を聞きながら、時にはがっつり、時には粗食』でいいんだ、暮らしの中でバランスをとりながら食べていけばいいんだ、と気づきました」
盛り付けやスタイリングで気をつけていること、こだわっていることは?
「料理は『作りたて』が食べ物の魂がこもっていて、一番おいしそうに見えると思っています。なので、作りたてをいかにささっと盛り付けて、生きた料理を伝えられるか、を大切にしています。
スタイリングは、料理がスッキリ見えるように、あまり布や小物を置きすぎないようにしています。盛り付ける前に、あらかじめお皿や布、カトラリーはざっと決めておいて、できたらさっと盛り付けます。
盛り付けは作りこみすぎるより、ふんわりと自然な感じで盛るくらいがちょうどよい気がします。サラダだったらふんわり中央を高く盛る、揚げ物も並べるよりざっくり感を出した盛り付けにする、などです。あと、お皿は質感のあるもの、暗すぎない色、料理に対して大きすぎない(余白が大きすぎると寂しく見える)、だと失敗が少ないと思います。逆に黒やグレー、パープルなどのお皿もちょっと大人っぽくステキに見えるようです。
また、下に布を敷くときは、麻素材(リネン)をふんわり入れると雰囲気が良くなります。私は小さ目のものは、雑貨屋さんで見つけると買っておいたり、夏の終わりの布屋さんのセールでリネンの布を買っています。リネンは夏のほうが種類が豊富なので!」
まずは定番の料理10品、が基本
レシピを見なくても、仕上げられるように
「定番の料理をおいしく、きれいな仕上げで作れることが一番大切かと思います。料理がちょうど良い火加減やたれの具合などで仕上がると、味はもちろん、盛り付け以前に見た目も良くなります。まずは定番の料理10品がレシピを見なくても、おいしく、火加減バッチリで仕上げられるようになるのがおすすめです。そうすると、どんな料理でも、短時間でアレンジも自在で、時間がなくても満足する料理が作れるようになるかと思います」
***
家事研究家でもある阪下さん、自宅で開催する教室では、レシピはもちろん、片付けについての質問も多いとか。「料理は準備から調理、片付けまでがひとまとめ。だからこそ、食べる人(家族)が食事を楽しめるのはもちろん、作る人(自分)も大変すぎないように、できる範囲の心づくしでキッチンに立てばいいと思っています」という阪下さん。そんな阪下さんに、レッスンで、そして本やテレビ、ブログを通じて、たくさんの人が勇気づけられているんです。
阪下千恵さんへのQ&A
ブログを始めたきっかけは?
どんどん流れてしまう日常を、まずは書きとめようと思ったのが1つです。子供が小さかったり、会社勤めだった時期でもあるため、「家と会社」という世界だけに閉じこもってしまいそうだったので、誰かとゆるくつながりながら、自分の日々の料理の成長過程を発信していくことが、将来への種まきになればという意識もありました。あとは、ネットなど新しいことへの興味があって、やってみたかったのもあります!ブログも自分のサイトも、これからもっともっと充実させたいと思ってます。
1か月でも食べ続けられる大好物といえば?苦手な食べ物は?
大好物、というのとは違いますが、やっぱり食べ続けられるものは「白米」です!苦手な食べ物は、内臓系がじつはちょっと苦手です。
料理以外で、リラックスタイムの過ごし方といえば?
家でゆっくりと、1日のやること全てを終えて、本を読む時時間です。
料理研究家、栄養士。少人数制の料理教室サウザンドキッチンを主宰。『決定版 朝つめるだけ!作りおきのやせる!お弁当389』、『おいしすぎてほめられる!料理のきほんLesson』(ともに新星出版社)ほか著書多数。お弁当から料理の基本、おもてなし料理まで、「作る人にとっても、食べる人にとっても楽しみになるような家庭料理をご紹介できればと思っています」
<Instagram>
阪下千恵@chiesakashita
※阪下千恵さんへの取材・仕事依頼はこちら