キッチンを毎日ピカピカにしておける、ちょっとしたコツって?岸田夕子さんの「世界一楽しいわたしの台所」
岸田夕子(勇気凛りん)さんの「世界一楽しいわたしの台所」
キッチンのテーマ、こだわりやお気に入りのポイントを教えてください。
「以前は独立タイプのキッチンだったのですが、認知症の愛犬の介護をしながら料理家としての仕事、特に撮影がしやすいよう、リビングとキッチンの間にあった壁をなくし、半年ほどかけてオープンキッチンにリフォームしました。
新しいキッチンでのお気に入りは、やはりこのカウンターです。カウンタートップは、スキレットやキャセロール、オーブンを使う料理が多いので、熱い調理器具を熱々のまま置くことができるセラミック製に。取り出しやすさにこだわった収納スペースもたっぷりとって、それから、ブレンダーなどがすぐに使えるよう手元コンセントも取り付けました」
収納のマイルールは?
「見せる収納が苦手なので、調理器具、調味料などカウンタートップにはできる限り物を置かないようにしています。その調味料類は、調理中に一番開けやすいカウンター上段の引き出しに収納しています。
また、スキレットや琺瑯など重い鍋類を多く持っているので、たとえばコンロ下の棚にはスキレットやキャセロールなどオーブン料理に使用する器、シンクに近い棚には琺瑯鍋というように、あえて1ヵ所にまとめず、取り出しやすく空間のある収納を心がけています」
カウンターは、リビング側にも引き出しと棚があるんですね。
「調理中に立つ側には使う頻度の高いものをしまい、一方で調理中にリビング側の引き出しや扉を開けることはできないので、そちらには普段はあまり使用しない、撮影に使いやすいきれいめの食器やグラスなどを入れてあります」
コンロ、シンクまわりが美しすぎます!使い方で気をつけていることはありますか?
「五徳の汚れはコンロからの油跳ねが一番の原因なので、油が跳ねる料理をするときは、使用中のコンロ以外の五徳を取り外すようにしています。それと、ステンレスについた水垢は掃除しにくいので、水切り棚などシンクの付属品は毎晩必ずすべてを外し、シンクの内側も一緒に水気を拭き取っています。これで次の朝も気持ちよくキッチンに立てますよ」
ピカピカのカウンターに、リビングの窓からよく日が入って、気持ちのいいキッチンですね!
「料理中もリビングにいる愛犬を見守れるようになりましたし、リビングのテレビを壁付けにしてキッチンからも見やすくしたり、シカゴで暮らしていた時に趣味で作ったステンドグラスの大きなランプも窮屈感なく置くことができるようになったり…。部屋全体が広々して明るくなって、キッチンに立つ時間がますます楽しくなりました!」
こちらの引き出しには、どんなものを収納していますか?
「カウンターで一番開けることの多い引き出しです。ここには、料理中に使う頻度の高い調味料やキッチンスケール、菜箸、軽量スプーンなどを入れてあります」
中でもお気に入りのものは?
「中央奥に置いているアメリカで出会ったステンレスの軽量スプーンです。日本ではあまり見かけない大さじ1/2や小さじ1/4、小さじ1/8まであり、しかも形が細めの楕円形なので、日本の小さなスパイス瓶の口にも差し込むことができてとっても便利なんです。
シカゴ在住時に、帰国の際のお土産にたくさん買って配ったので、料理家さんの中にはこの軽量スプーンを持っている方が何人かいるかもしれませんね」
普段使いの食器の収納は?
「普段遣いの食器やほぼ毎晩使う酒器は、キッチンカウンターの背中側、キッチンボードの引き出しにまとめています。使いたいものがすぐ見つかるよう、あまり重ねすぎないようにしています」
どんな器がお好きですか?
「益子焼のような土っぽいざらっとした質感で、今風の鮮やかな彩のものが好きです。引き出しに入っている青い食器(写真下、中央)はたまたま近所の食器店で出会った益子の『わかさま陶芸』のもの。こちらの青い器は、見つけるとつい買ってしまいます」
酒器もたくさんお持ちですね
「ここに写っているのは手持ちの酒器の中でも普段よく使うものです。旅行先などで酒器を探すのが好きで、いつの間にか増え過ぎしてしまいました(笑)。以前は錫のちろりと猪口(写真右下)をよく使っていましたが、最近は陶器のものが好きですね。お酒をお燗する時に、錫と陶器では同じ温度にするにも加熱時間が異なり、味わいも違ってくるので、その時の気分で使い分けています」
ダイニングスペース、お気に入りのポイントは?
「テーマは、シンプルな大人感。海が見える運河沿いの高層マンションの角部屋なので、何より見晴らしが最高で、明るいのがいいですね」
モダンなダイニングセットが、お部屋の雰囲気にぴったりですね。
「ここに越してきた時に一番初めに買った家具が、このACTUSのダイニングセットです。色やデザイン、そして“ホースシュー(馬蹄)”という名前に惹かれました。椅子を上から見るとまさに馬の蹄の形になっていて、アメリカではホースシューはとても縁起のいいもの。少々値が張りましたが、思い切って購入して、その後、ソファーやサイドテーブルなどもすべてこのホースシューのシリーズでまとめました。
じつは、キッチンに壁がある時は、このテーブルの大きさに違和感があり、もう少し小さいものにすればよかったかも…、なんて後悔したこともあったんです。でも、オープンキッチンになった購入から7年後の今、あらためてこれを選んでよかったと思っています」
***
日本酒のおいしさ、素晴らしさを伝えるJSA認定サケ・エキスパートの資格をお取りになった岸田さん。「これまでなんとなく知ったつもりでいた日本のこともしっかり学べたので、料理研究家として日本酒と料理のペアリング提案はもちろん、日本酒そのものを広められるようになりたいですね。まずは、酒蔵巡りの機会を増やそうと思っています」。海外での暮らしが長かったからこそ、ご家族やワンちゃんを愛するお母さんだからこそ、あらためて日本を見つめるその視線はとってもやさしいんですね。