「持ち手の部分と一体で、しなり具合がとってもよいゴムベラなんです」~たけだかおるさんのお気に入り
たけだかおるさんのお気に入り「継ぎ目がないゴムベラ」と「マイクロプレインのゼスターグレーター」
生徒さんの多くが同じものを買うのが、使いやすさの証拠です
とくに専用のものも多いお菓子作りの道具は、使い慣れている人に“おすすめ”を聞いてみたいもの。本格的に洋菓子を作り始めて40年というたけだかおるさんのお気に入りは、自宅で開催する洋菓子レッスンでも活躍する「ゴムベラ」と「ゼスター(すりおろし器)」です。
どちらも、レッスンで実際に手にした生徒さんの多くが同じものを買うというから、本当に使いやすいんですね。
真っ白なゴムベラは、日本一の道具街と名高い、東京・浅草のかっぱ橋道具街の「吉田菓子道具店」で買ったもの。「ヘラと持ち手の部分が一体になっていて、丈夫でしなり具合がとても良いんです」とたけださん。「生徒さんから教えていただいて、手にしてからもう7年くらいは経っているかと思います」
ラングドシャ、バターケーキ、クッキー…と、たけださんが生地作りで手にするのがこのゴムベラ。たとえば、たけださんのレシピ本『たけだかおる洋菓子研究室のマニアックレッスン』にも登場するバターケーキも、「ゴムベラで混ぜて作ると、余分な空気を抱き込みすぎないので、バターの風味をより感じる仕上がりになるんです」とのこと。
同じレシピでも、使う道具で味が変わるというから驚きです。「バターと卵の乳化の手応えもゴムベラがわかりやすいので、ゴムベラを使うことをおすすめしています」
「記憶にないくらい前から使っているのですが、おそらく知り合いのシェフが使っていたのをみて購入したと思います」というマイクロプレインのゼスターグレーター。
レモンなど柑橘類の皮を削るときに活躍するこのゼスターを、「私はレモンを下に、ゼスターが上にくるように持って、レモンを見ながらゼスターを動かして削るようにしています」とたけださん。じつは、一般的な使い方とは上下の位置が反対なんですが、実際に目の前で実演いただいて納得。これなら削った箇所がはっきり見えるので、皮のどこを削ったかわからなくなったり、削りすぎてしまう心配もなくなるんです。
「それに、ゼスターを上向きにすることで削った皮も散らばりにくいため作業もラクなんですよ」。タルト生地の角を綺麗に仕上げるときにも使うというゼスター。持ち手がないシンプルなタイプで、引き出しにしまいやすい点もお気に入りとか。
どこまでも繊細な香りと歯ざわりのラングドシャ
愛用のゴムベラとゼスターを使って、この日はレモンが香るラングドシャをふるまっていただきました。「焼いてから長く置くと湿気てしまうのですが、そうなる前にすぐに食べられてしまうほど家族にも人気です」とたけださん。焼き立ての香りとクッキーの歯ざわりは、繊細のひと言。レッスンに参加した生徒さんの復習率も高いそうです。
「作り方のコツは、まず焼き色をつけすぎないことと、焼き足りない部分がないようにすることです。食感が違ってきます。それから、最初のバターの温度に気をつけると作りやすいです」。作り慣れていないと生地が均一に絞れず、中心に厚みがでて食感がさくっとしないのがラングドシャあるあるですが、「cottaさんに提案して作ってもらったラングドシャプレートを使うと、均一にたくさんできておすすめですよ」
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作業台に、そして棚や引き出しに、数々の道具がスタンバイしているたけださんの洋菓子研究室。ゴムベラをはじめそのひとつひとつが、次はどんなお菓子を作るんだろう、なんて世界で一番ワクワクしているかもしれませんね。