「洋」のキッチンに「和」の道具。見た目の統一感を出すには?~おいしっぽさんの「世界一楽しいわたしの台所」
おいしっぽさんの「世界一楽しいわたしの台所」
フレンチの名店のメニューが教えてくれること
風情あるローカル鉄道の踏切の音が聞こえてくる、スペースも、流れる時間も、とってもゆったりしたおいしっぽさんのキッチン。お子さんと一緒に壁に漆喰を塗ったり、収納棚の扉をペンキで塗ったりと、「家族の好みも聞きながら、少しずつ手をかけてきました。そんな手作り感が、ここで作る料理にも伝わるといいなと思ってます」
額に入れて飾ってあるのはパリの名店、タイユヴァンの貴重なメニュー。20才の時、お友だちとヨーロッパを旅した最後の記念に行ったものの、本格的なフランス料理のことを知らないまま、後でとても後悔した…という思い出の味なんだとか。「でも、若かったからか勇気だけはいっぱいあって。なのでこのメニューを見るたびに、『勉強しよう!勇気を持とう!』と、20才の私が語りかけてくれる気がして飾り続けています」
お料理教室でもお使いのキッチンは、「生徒さんがレシピを家で再現する時にイメージしやすいように、かたずけすぎないよう“普段着感覚”を大切にしてます」。みなさんがくつろいだ雰囲気でレッスンを受ける様子が、見えてくるようですね。
「洋」と「和」の同居のコツ
レンガの壁に、手塗りした吊戸棚の扉、そしてファブリックの目かくしと、まるでフランスの郊外のレストランにでもお邪魔したかのようなキッチン。トーンを落としたナチュラルな雰囲気で、全体的には「洋」のキッチンながら、所々で見える「和」のアイテムも自然に同居できていますね。「壁は住宅の外壁用のタイルで丈夫なので、まめにゴシゴシ洗うようにしてます」とお手入れもラクラク。
電子レンジやトースター、クイジナートのフードプロセッサーをまとめた棚は、電子レンジの高さに合わせてDIYしたもの。「棚の上は下ごしらえ済みのものを置いたり醗酵中のパン生地を置いたり、準備のスペースをキープしています」
コンロのクリステルのお鍋は、3つもお持ちというお気に入り。「3つ持ってるのですが、炊飯器を持ってないのでこれでごはんを炊いてます。3重構造のお鍋はとってもスピーディーに調理ができて、軽くてとても扱いやすく後片づけもさっとできるんです」。フライパンやお鍋は、ふだんはコンロ下の戸棚に収納しています。
DIYで使い込んだ感じを
キッチンカウンターには、ご家族がごはんタイムとカフェタイムに使うものを見せる収納でセット。慌ただしい朝でも、カゴにかかった布をとればこんな風にご飯茶碗が待っている、というわけです。
コーヒーミルは手動と電動が一台ずつ。「手で挽くミルは新婚の頃買ったもので、休みの日には夫がこれでコーヒーを淹れたものでした。今は早朝に目覚めちゃうお年頃の夫が電動ミルを使い、『コーヒ淹れたよ』と私を起こしてくれます。起こすのがちょっと早すぎる日もあるんですけどね(笑)」
吊戸棚の扉は「温かい感じが出るように、ペンキでオレンジに塗ってから白く塗って、紙やすりでこすり、使い込んだ感を出してます」とこだわりのDIY。雰囲気あるミルやキッチンボードなど、ツールの空間の息づかいがぴったり合っているようです。
好きなものは見せる収納、で気分を上げる
キッチンには背の高いラックを置きキッチンツールやふだん使いの食器を収納。もう10年以上お使いというこちらのラックは、スチールラックの老舗ルミナスのもの。背の高さほどあるラック、さすがの収納力です。
一番上の段には、根曲がり竹のザル、南部鉄瓶、お母さまから譲り受けた鰹節削り器…と和のアイテムがスタンバイ。「ちょうど目の高さになるので、気分が上がる和の職人さんの技が光る道具を置いてます」とおいしっぽさん。「丁寧に精巧に作られた道具たちを目の前にすると、丁寧に料理しよう、っていう気分になるんです」。食器や細かいツールは、セリアのカゴやカインズホームの収納ケース「Skitto」(上から4段目)を使って見える収納。軽い食器は上の段、大きく重い物は下の段に収納すれば取り出しやすく、またラックもより安定します。
益子や笠間の陶器市に出かけて食器を探すことが多いというおいしっぽさん。「中でも近藤文さん、海野仁美さんなど女性作家さんの器が大好きです」
ダイニングはみんなで賑やかに!
四方に窓があって、テーブルのどこについても緑が見えるダイニング。「キッチンに立っていても、テーブルにいる人と顔をみて話せるのがいいですね」
チェアは10年ほど、テーブルは3年ほど使っているもの。家族全員のOKがでるのに時間がかかった、とじっくり選んだテーブルはデンマーク製。「左右に広げることができて、親戚やお友達など人数が増えても大丈夫ですし、お教室で広げて使うこともあります。みんなでワイワイ賑やかに過ごす場所であってほしいな、と思っています」
愛用のお着物に割烹着姿でご登場いただいたおいしっぽさん。「コットンやウール、紬の着物を普段着にしています。帯のおかげで姿勢が良くなり頭も心もすっきりとすごせますよ!」
ところが、そんな和の趣でよくお作りになるのは、ご家族から一番リクエストされるナンプラーを使ったフォーなんだそうです。「家族でベトナムに行ってからはみんな大好きで、野菜たっぷり鶏むね肉フォーはよく作ります。お酒好きな夫には、塩サバにんにく焼きも好評です」
「米粉、米油、麹、味噌、だし…。どれも和な食材ですが、だからといって和食にとらわれず、ハーブやチーズと合わせたりと自由なレシピを増やしていきたいです。お教室も自宅以外にも広げていきたいですね」というおいしっぽさん。真っ白な素敵な割烹着姿のおいしっぽさんにお目にかかる機会は、これからますます増えそうですね。
あの人気料理家さんのプライベートキッチンも登場♪
▼「世界一楽しいわたしの台所」バックナンバーを見る
2012年7月~2017年9月のバックナンバー
2017年10月以降のバックナンバー