「節約=我慢」じゃない!料理研究家・井上かなえさんに聞く「豚こま肉」が“ごちそう級”においしくなる食べ方
お話を伺った方

料理研究家。野菜ソムリエ。ブログ「母ちゃんちの晩御飯とどたばた日記」から人気に火がつき、NHK「きょうの料理」の出演や料理教室の講師、企業メニューの開発、書籍出版など幅広く活躍。家庭料理に関するアドバイスに定評があり、フーディストノートの公式連載「お悩み解決!井上かなえ(かな姐)のオンライン料理教室」でも多くの読者から支持を集めている。
つい避けてしまう豚こま肉、実はおいしく仕上げるコツがあるんです
――豚こま肉は節約の定番ですが、扱いにくいという声も多いですよね
「そうなんです。豚こま肉はももやロースなど、いろんな部位が混ざっていて、厚みや形も不ぞろいなんです。さらに、パック詰めのときにぎゅっと押し固められているので、そのまま調理すると団子状に固まったり、火の通りが悪くてパサついたりしやすいんですよ。
せっかく安く買えても、おいしく仕上がらないと満足度が下がって、家族にも喜んでもらえませんよね。
安く買える豚こま肉を横目に、少し高めの部位を選んでしまう…そんな方も多いと思います。でも、豚こま肉って実はちょっとした工夫で驚くほどおいしくできるんです」
ふんわりおいしく仕上げるには「炒める前の下ごしらえ」がカギ
――ちょっとした工夫でおいしくなるのはうれしいですね!ぜひコツを教えてください
「最大のポイントは“炒める前の下ごしらえ”です。わたしは時間があるときには1枚ずつ広げてから焼くようにしていますが、忙しい日はなかなかそうもいきませんよね。そんなときにおすすめなのが、加熱前に一度お湯でほぐす方法です。
お湯でほぐすと聞くと少し面倒に感じるかもしれませんが、ボウルに熱湯を1カップほど入れ、豚こま肉をくぐらせて菜箸でゆらゆらと混ぜるだけ。そのあとすぐにザルにあけて、水気をキッチンペーパーで軽く押さえればOKです。これだけで、お肉がふんわりやわらかく仕上がるんですよ」



――それだけでそんなに変わるんですか?
「はい。お肉がほぐれることで均一に火が入るようになるので、炒めるときもパサつきにくいんです。それに、余分な脂を落とせるのもこの方法のいいところ。普通に炒めるよりもさっぱりしていて、冷めても脂が固まりにくいので、お弁当のおかずにもぴったりですよ。
焼くときは中火で、菜箸で軽く動かしながら炒めるのがコツ。しっかり火が通ったら、少し放置して焦げ目をつけると香ばしさが増して、ぐっとおいしくなります」

――焦げ目をつけるのもおいしさのポイントなんですね
「そうなんです。水分が飛んだあとに少しだけ強火にして、表面をカリッと焼くと香ばしさがぐっと引き立ちます。焦げ目をつけることで肉のくさみも消え、味に深みが出るんですよ。
ほかにも、王道ですが“薄力粉をまぶす”方法もおすすめです。こうすると豚こま肉でも旨味が中にとどまり、粉自体の旨味も加わってよりおいしくなります。肉汁を閉じ込めてやわらかく仕上がるだけでなく、調味料もよくからむので味が決まりやすいんですよ」
「節約=我慢」じゃない。安いお肉を“ごちそう級”に
――節約食材をおいしく仕上げると、気持ちも変わりそうですね
「そうなんです。豚こま肉は価格が安い分、“おいしくない”と思われがちですが、ほぐして焼くだけで見た目も味も全然違います。同じ量の豚こま肉でも、そのまま焼くのとほぐしてから焼くのでは、見た目のボリューム感も変わってきます。
節約って、我慢ではなく“工夫して楽しむこと”なんです。安い食材をおいしく調理できるようになると、家計にも気持ちにも余裕が生まれますよ」
豚こま肉を制する者は、節約を制す!
お湯でほぐして焼くだけの簡単なひと手間で、パサパサ&団子状になるのを防ぎ、余分な脂もカット。しっとりやわらかく仕上がる方法をかな姐さんに教えていただきました。
節約もおいしさもあきらめない、かな姐さん流の“ひと工夫”を、ぜひ今日の食卓で試してみてください。
フーディストノート公式連載では、この技を使った「にら豚炒め」など、すぐ試せるレシピも紹介されています。気になった方はぜひチェックしてみてくださいね。
豚こま肉を上手にほぐす方法とは?お肉がくっつかないように炒めるコツを紹介!

