副菜に最適!切って和えるだけ♪すぐ食べられる「きゅうりキムチ」
こんにちは!韓国料理研究家の本田朋美です。
いまや一年中出回っている「きゅうり」。とはいえ、みずみずしいきゅうりは夏が一番おいしいですよね!
そこで、今日は韓国の代表的なきゅうり料理をご紹介します。
韓国の「白きゅうり」と「青きゅうり」
韓国語できゅうりのことは「オイ」と言います。覚えやすいですね!
そしてみなさんは韓国のきゅうりをご覧になったことはありますか?
大きく分けると2種類あり、そのひとつは白きゅうりです。
皮が薄緑で苦味が少なく、やわらかい味がします。生食に適しているので、サラダやキムチにしたり、冷たいスープの具にしたりします。
もうひとつは見た目が日本の一般的なきゅうりに似た青きゅうり。繊維質が硬いので、炒め物に使うことが多いです。
白きゅうりは青きゅうりと比べると水分が多めですが、そもそも韓国は日本よりも湿気が少ないので、野菜の繊維質がしっかりしています。
韓国の市場に行くと、白きゅうりの方が多く見られると思います。
きゅうりが主役の韓国料理
次にきゅうりがメインの韓国料理をご紹介します!
オイソバギ(きゅうりのはさみキムチ)
韓国のきゅうり料理で日本の方がぱっと思い浮かぶのはこれではないでしょうか?日本の焼肉屋さんや韓国料理屋さんでもおなじみですね。
オイソバギの歴史について調べてみると、1766年に刊行された「増補山林経済(チュンボサルリムギョンジェ)」で初めて、きゅうりに唐辛子やにんにくを挟み込んだキムチとして記述されていました。
朝鮮半島に唐辛子が伝来したのは1600年代の後期で、1700年代になって本格的に唐辛子がキムチに使用されるようになったので、辛いキムチの登場とオイソバギの歴史はほぼ重なるようです。
このオイソバギは朝鮮時代に夏のキムチとして珍重され、酒の肴として食べられたり、お客さまへのおもてなし料理として利用されたりしました。
作り方をざっと説明しますと、長さ5cm位に切ったきゅうりに切り込みを入れて軽く塩漬けした後に、にらなどの野菜や梨をキムチヤンニョム(キムチ用に合わせた調味料)で和えて切り込みに詰めむ、という流れです。
オイソバギは白菜や大根のように長持ちしないので、数日で食べ切るような浅漬けキムチの一つです。
オイムルキムチ(きゅうりの水キムチ)
以前の記事でもご紹介したとおり、冷蔵庫や冷蔵施設などがなかった時代の水キムチ(中でも大根の水キムチ)は冬の食べ物でしたが、冷蔵技術が発達してからは、夏にも水キムチが作られるようになりました。
きゅうりの水キムチはまさに夏の風物詩。食欲がないときは特に重宝します。
家庭では水キムチにそうめんや、水で洗ってサラサラにしたご飯を入れて楽しみます。
オイジ(きゅうりの塩漬け)
オイジはきゅうりの塩漬けのことで、韓国の方は夏になると大量のオイジを漬けます。
オイジの作り方ですが、きゅうりに沸騰した塩水をかけて、そのまま2日ほど置き、きゅうりを漬けるのに使った塩水を再沸騰させ、冷ましてからまたきゅうりにかけるという作業を1~2回繰り返したら完成です。程よく水分が抜けるので、1か月ほど保存が可能なんですよ。
輪切りにしてそのまま食べてもいいですし、粉唐辛子とごま油でピリ辛な和え物にするのもおすすめです。また韓国では冷たいスープの具にしたり、ビビン麺に添えたりします。使い勝手がよいのがポイントです。
オイソン(宮中式きゅうり炒め)
オイソンのソンは「膳」という時が当てられ、これはパンチャン(おかず)という意味になります。
1800年末の料理書「是議全書(シイジョンソ)」では、きゅうりを蒸して作ったとあるのですが、時代とともに作り方が変わりました。
現在のオイソンは、きゅうりを一口サイズの斜め切りにし、切り込みを入れた後に塩漬けしてからさっと炒め、切り込みの所に炒めた牛肉としいたけ、白身と黄身を別々に焼いた錦糸卵を挟み、甘酢をかけます。
作るのにとても手間と時間がかかるのですが、食べるのは一瞬!という、なんとも尊い韓国料理の一つです。
他にもいろいろ!きゅうりを使った韓国料理
きゅうりを使った韓国料理は本当にたくさんあるのでご紹介しきれませんが、副材料として使われている料理を2品だけご紹介します。
クジョルパン
韓国料理は陰陽五行説に基づいて構成されていることが多いので、きゅうりは五色のうちの青(緑)の材料として度々利用されます。
宮中料理のクジョルパン(九折坂)は、8つに仕切られた箱の中央に小麦粉の生地で焼いたクレープ状の薄焼きを置き、その周りに8種類の具を詰め、小麦粉の薄焼きに具をのせて巻き、からし醤油をつけて食べる料理で、このクジョルパンにもきゅうりが使われています。
クジョルパンの具としてきゅうりを用意する際に特徴的なのは、外側の皮の部分を厚めのかつらむきにして炒める点です。こうすることで水分が程よく抜けて、しゃきしゃき感が味わえるのです。
ちなみにクジョルパンの中心は首都を表し、周りの8種類の具は朝鮮八道(北朝鮮を含めた行政区)を象徴しています。
キュアサン(夏餃子)
韓国にはキュアサンという、朝鮮時代に王さまがよくお召し上がりになった夏のマンドゥ(餃子)があります。炒めたきゅうり、牛肉、しいたけを皮に包んで蒸し、ごま油を塗って盛り付け、酢じょうゆで食べます。
ひだをよせた独特な形はナマコに似せているんですよ。
では最後に、きゅうりキムチの作り方をご紹介します。
オイソバギとは異なり、塩漬け時間を含めて25分ほどで作れてお手軽なのに、味は本格的です!
オイキムチ(きゅうりキムチ)レシピ
調理時間
25分
分量
4人分
材料
・きゅうり…4本
・塩…小さじ2
・白ごま…適宜
(A)
・韓国産粉唐辛子(粗挽き)…大さじ4
・おろしにんにく…小さじ2
・おろししょうが…小さじ1
・ナンプラー…大さじ2
・砂糖…大さじ2
作り方
1. きゅうりの両端を切り落としたら、幅1.5cmの輪切りにする。
2. ボウルに1のきゅうりと塩を入れて和え、15分ほど置いたら、水(分量外)でさっと洗う。ザルにあげて水気を切り、キッチンペーパーで水分をふき取る。
3. ボウルに2のきゅうりと、Aを入れて混ぜ合わせ、タッパーに入れる。食べるときに器に盛り付け、白ごまをふる。
きゅうりキムチはすぐに食べられますが、半日~1日ほど冷蔵庫に置くとより味がなじみます。
ナンプラーはいわしと塩だけで作られたものがおすすめです。
1週間ほど保存ができますが、きゅうりを食べていくと最後にキムチヤンニョム(たれ)だけが残ると思いますので、そこへ切り干し大根をそのまま入れてしばらく漬けておくと、おいしいヤンニョムまで余すことなく食べきれますよ。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!