「7割くらい片づいているのがちょうどいいと思ってます」~阪下千恵さんの「世界一楽しいわたしの台所」
阪下千恵さんの「世界一楽しいわたしの台所」
何となく片付いていて暮らしやすい。そんな落としどころを見つける
自宅で料理教室「サウザンドキッチン」を開催する阪下千恵さんのマイキッチンは、「シンプルに使いやすく、いつでもささっと料理に取りかかれることが一番。料理に使うものが必要十分にそろっているけれど、余分なものがありすぎず、料理も片付けもしやすいようにしています」と、配置も色づかいもとってもシンプル。
生徒さんがキッチンに立つこともあるため、「誰がどこを開けても恥ずかしくない程度の整理整頓、収納を心がけています」。一目で取り出しやすく、そしてしまいやすいよう、引き出しの中も棚の中もゆとりをもたせてあります。もしも自宅で料理教室を開くとしたら…。この視点、キッチンの整理に役立つかもしれませんね。
家事研究家でもある阪下さんは、レッスンで生徒さんから収納やキッチンの整理整頓について相談されることもよくあるとか。そんなとき阪下さんは、「7割くらい片づいているのがちょうどいいと思ってます」とアドバイスするそうです。
「毎日完璧に片付けることはできませんし、あまりに完璧にしまいすぎると、今度は家族が使いづらい。家族全体で共有できて、それでも何となく片付いていて暮らしやすい。そんな落としどころを見つけることが大切だと思います」
散らかって見えないカラーコーデ
コンロのレンジフードでは、無印良品のマグネットフックを利用して吊るす収納に。おたまやターナーが9つのマグネットでスタンバイしています。
「使わないまま吊るしておくと汚れがつくので、ほとんど毎日使っているものだけにしています」と阪下さん。まな板も、吊り戸棚の下に取り外せるフックでスペースをつくって。「調理スペースを確保したいので、できる限り調理台に何かを置きっぱなしにしないように気を付けています」
シンクのスポンジや洗剤は、「色がたくさん散らばっていると散らかって見えるので、できるだけモノトーンのものを使っています」。たしかに、スポンジや洗剤のボトルってカラフルなものが多いですよね。ちなみに、スポンジは洗いやすくて水切れもいい、ダスキンのモノトーンシリーズのリピーターなんだとか。
余裕たっぷり、引き出しの中
一番取り出しやすいシンク下の引き出しには、18cm片手鍋に20cmの両手鍋、フライパンとフタ、卵焼き用フライパン、あとはザルに包丁のみ。「これが、我が家で一番よく使う『一軍調理道具』です。これだけあれば日常の料理はほとんどできます」と阪下さん。
引き出しの中はもう少し余裕がありそうですが、これがポイント。「そもそも、コンロは3口なので鍋は2つあれば充分ですし、同時進行で調理をしようとすると、じつは余計に時間がかかったり、疲れてしまうことも…。それもあって、道具を増やしすぎないことが、洗い物も少なく、料理の効率もアップする何よりのコツだと思っています」
「masahiro」(正広)の18cm牛刀は、同じものを2本持っているほどのお気に入り。近所の金物屋さんに研ぎに出しながら大切に使います。「重すぎず、軽すぎず、家庭で使うのにちょうど良いのと、牛刀だと先端が細いので、みじん切りからトマトの芯のくり抜きまで幅広く使いやすいんです」
ストレスフリーの食器整理術って?
まるでインテリアショップのように整理された食器棚。使うときは重なった一番上のものをとって、使い終わったらそこに戻すだけ。ストレスフリーで食器が片づきます。「取り出しやすくしまいやすいよう、同じ種類だけで重ねるようにしています」と阪下さん。棚いっぱいにぎっしり並べないのもポイントです。
「食器は家族の年齢や生活、かけられる金額によってピッタリくるものが変わってくると思います」と、今はシンプルで汎用性がある「洋食器メーカーの買い足しできる定番シリーズ」が主力。「我が家の今は子供たちもいるので、食洗器で洗って耐久性があるものを選ぶことが多いです。また夫婦2人でのんびりの生活になったら、日本の焼き物なども恋しくなるのかと思っています」
そんななかで、北欧の食器ブランドARABIAのパラティッシパープル(写真右下)は、「主に朝食用と決めていますが、柄があるのにどんな料理にも合うのと、1枚あるだけでテーブル華やかになるので」と、とくにお気に入りの1枚。「気に入った、自分にとってよいお皿ほど毎日使うことにしています」
使い勝手のよさは、まさしくお値段以上
ダイニングには、7年くらいお使いというニトリのテーブルとチェアのセット。「子供が小さいころ、食べこぼしを拭くたび傷んでしまう、溝にゴミが入る…と不便になってしまって」と、イギリス製のアンティークテーブルから買い替えたものとか。
このテーブル、じつは引き出し付きで、「カトラリー、お箸などが入れてあって、各自で出してもらえるのでとっても便利で、好評です」
最初はテーブル1つだけ使っていたものの、「お客様が来たとき用にもう少しスペースがほしくて、同じシリーズでサイズの小さいテーブル、椅子2脚を買い足しました」。シンプルで手ごろなお値段ながら、ゆったりサイズ。丈夫で便利、しかも暮らし方に合わせて買い足しもできる。これは、まさしくお値段以上!
「ふだんの暮らしをちょっとよくするための料理、ふつうの毎日にリアルに役立つ料理、に力を入れたいと思っています」という阪下さん。2人のお子さんからリクエストの多いメニューの1つが、「ハンバーグを作るより簡単なので、忙しい時にも重宝する我が家の定番です。フライパンでも作れます!」という「鍋ごとミートローフ」。カレー粉+スパイスで、辛さを控えつつ本格的なカレーの風味も出せる「バターチキンカレー」も人気のメニューです。
「家で作った料理やお菓子は、作っているときの香りも含めてごちそうなんだと思います」。そんな阪下さんの思いが詰まったレシピの数々は、“いつものごはん”の心強い味方なんです。
料理研究家、栄養士。少人数制の料理教室サウザンドキッチンを主宰。『決定版 朝つめるだけ!作りおきのやせる!お弁当389』、『おいしすぎてほめられる!料理のきほんLesson』(ともに新星出版社)ほか著書多数。お弁当から料理の基本、おもてなし料理まで、「作る人にとっても、食べる人にとっても楽しみになるような家庭料理をご紹介できればと思っています」
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阪下千恵@chiesakashita
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