【おいしい暮らし】『ふたりごはん』の榎本美沙さんに聞く、夫婦一緒にお料理をするようになって変わったことって?
忙しい人にも、できるだけ自然に旬のものを食べてもらいたい
お料理をする上で大切にしていることはなんですか?
「ついついこだわりすぎて材料が増えそうになったり、ひと手間加えたくなったり…するのですが、レシピを考える側の満足だけでなく、見ていただいた方が実際に『作ろう』と思える料理にすることは大切にしています。会社員時代の自分の経験や、同僚や同期たちがとても忙しくしているのを周りで見てきたこともあって、『体に嬉しい料理』をより手軽に作ってもらえるのが一番だと考えています。
また、『旬のものをできるだけ使う』というのも意識しています。いつでもなんでも手に入る時代で、旬がいつかわかりづらいと思うのですが、野菜でも果物でも旬の時期が一番おいしいですし、栄養価も高い。なので、忙しい人にもできるだけ自然に旬のものを食べてほしいという思いから、レシピにもよく取り入れるようにしています。
毎月、東京・勝どきで開催の『太陽のマルシェ』のレシピ開発をさせていただいているのですが、そのお仕事では生産者さんのお話をうかがいながら、旬のものをいかにおいしく食べるかを追求しています」
お料理のスタイリングで気をつけていること、こだわっていることは?
「自然な空気感を大切に、空気をまとったようなふわっとした仕上がりにしたいと思っています。リネンの布が好きでよく使うのですが、リネンの自然なシワ感もいいですね。
あとは、料理は愛をもって作り、愛をもって盛り付けること、でしょうか(笑)。
料理を作っているひとつひとつの工程で『おいしそ~』と感じられる料理が、できあがったときもやっぱりおいしくなるように感じています。なので、それぞれの工程で常においしそうと感じられるように、野菜を焼くときも、『あ、ここで返すといいな』とか、『塩はこのくらいかな』と料理と対話しながら作っています。
見た目についても、まだまだ勉強中ですが、この料理のここがおいしそう、この丸みがかわいいなど、その料理のよい部分が活かせる器を選んでスタイリングするようにしています」
これまでのMY BEST レシピは?
ごはんを家族みんなでつくる、その意味
ご主人とお料理をされるようになったきっかけは?
「休日に料理をつくっていた時に、主人が手伝ってくれたのが最初でした。それが意外と楽しくて、だいたい休みの日は一緒に料理をするようになって。料理に慣れていない人がキッチンにいると正直始めは…ですが(笑)、慣れてくるととっても楽ですよ。時短にもつながっていると思います。
そういう生活を続けているうちに、人にとって不可欠なごはんを、家族みんなでつくるのはとっても大切なことかな、と感じるようになりました。ご夫婦で、ご家族で、自分たちで作るからこその楽しさやおいしさを少しでも感じていただきたい、と思いながら『ふたりごはん』を綴っています」
***
ご主人と一緒にお料理をするようになって、榎本さんは以前よりお酒、とくに日本酒をおいしく感じるようになり、圧倒的肉派だったご主人は焼き魚もよく食べるようになったとか。そうやって、それまでは知らなかった新しい幸せに出会える“ふたりごはん”って、世界で一番素敵な異文化交流かもしれませんね。
榎本美沙さんへのQ&A
ブログを始めたきっかけは?
一緒に料理をするようになって、その時間が(大げさですが)信頼関係を築くのにとても大切かも、と思い始めました。人にとってごはんはなくてはならないものなので、それを家族でつくるということは貴重な時間なのだと思います。ふたりごはんのサイトをきっかけに、一緒に料理をする家庭が増えたらと思い、はじめました。
1ヵ月でも食べ続けられる大好物といえば?苦手な食べ物は?
みそ汁です。本当に毎日食べ続けています…(笑)。三食食べることも多いです。もともとみそが好きなので、冷蔵庫には5種類程度のみそがいつも入っています。苦手な食べ物はありません!
インテリアやライフスタイルなど参考にしているショップはありますか?
雑誌の、『Casa BRUTUS』『ELLE DECOR』『FIGARO』『&Premium』など。器、キッチン系の特集のときは参考にしています。