SNSで話題の“冷凍オタク”。110万人がフォローする冷凍子ママさんの「冷凍活用術」

手抜きじゃなくて“手間の先払い”ができる冷凍レシピ
——冷凍子ママさんがレシピを発信するようになったきっかけを教えてください
「一人暮らしを始めた大学生のころ、余った食材を捨ててしまうのはもったいないからと始めたのが、私が冷凍にハマったきっかけでした。その後、結婚して共働きだった日々も、アメリカで暮らしていたときも、子育てに追われる今も、冷凍があることで食材を無駄にせずにすみ、料理の時間は短くなり、気持ちにはちょっとだけ余白が生まれる…。そうやって、冷凍は私の人生にいつもそっと寄り添ってくれました」
「そして、コロナ禍。買い物に出かけることもためらわれる時期に、1日3食を作る大変さは、私だけじゃなくたくさんの人の悩みだったと思います。そこで、これまで私を助けてくれた冷凍の知恵が誰かの役に立つかもしれないと思って始めたのが、この発信の原点でした。
コロナ禍が落ち着いた今でも、料理を担う人の大変さはずっと変わりません。手抜きじゃなくて、“手間の先払い”ができる冷凍レシピが、これからも家事に向き合う人への応援歌になるといいなと思っています」
——料理に関する情報の発信を始めたのはどのメディアでしたか?
「SNS、ブログなどたくさんある料理メディアから、悩んだ末に選んだのがInstagramでした。料理のアイデアを探したり、生活のヒントを見つけたり、そしてときには、共感しあえる誰かとつながれたりもする。そんな温かさがInstagramにはあると感じていたからです」
「以前は写真とちょっとした文章がメインだったInstagramの投稿は、今ではショート動画が当たり前のものになり、私の発信スタイルも動画へと変わってきました。
冷凍した食材って本当においしく仕上がるの?解凍したらベチャッとしない?そんなふうに、見えないことへの不安って冷凍にはつきものなんですよね。でも、動画であれば、食材の質感や音、仕上がりまでをそのまま伝えることができます。そうやって、『ほら、大丈夫だよ』というメッセージが伝わるように、今日もキッチンでカメラを回しています」
——レシピを発信するようになってから、ご自身の生活にどんな変化がありましたか?
「レシピを発信する責任感が日々の暮らしに宿るようになりました。誰かが私のレシピを見て、実際に作って、『おいしかったです』『家族が喜んでくれました』とメッセージをくださる。その言葉の一つひとつが、私の中のスイッチを押してくれます。そんな方たちを失敗させたくない、ちゃんとおいしくなると自信を持って言いたい、という思いがますます強くなりました。
今は、まるで実験をするような気持ちで日々、キッチンに立っています。毎日のごはん作りのなかで、冷凍の下味を変えてみたり、解凍のタイミングをずらしてみたりと、家族の反応を見ながら、これならきっと喜ばれると思える形を探しています。もともとちょっとオタク気質なところがあったのですが、今ではもう自他ともに認める“冷凍オタク”です(笑)」
——そうしたレシピを考えたり、料理をしたりする上で大切にしていることはありますか?
「レシピを考えるときには、『みなさんの生活の中に、スッと溶け込めるかどうか』を意識しています。特別な調味料を買わなくてもいい。どこにでもあるような食材で、家にある調味料で、気負わず作れる。そんな“等身大のレシピ”であることが、私にとっての理想です。
そして、冷凍というテーマで発信をしているからこそ、何より安全性についてはとくに強く意識しています。簡単でおいしいのはもちろんだけど、安全で安心して作れることは毎日のごはんに欠かせません」
——お忙しい毎日、お時間のない中で「味も見た目もおいしい料理を作るコツ、準備」などアドバイスをお願いします!
「とくにおすすめしたいのが 『下味冷凍』です。冷凍している間に食材にじわじわと味がしみていくので、あとは焼いたり煮たりするだけでしっかりおいしく仕上がるんです。下味冷凍は、時間を味方につけるレシピです!」
「見た目を整えたいときは、“ちょこっとトッピング”です。たとえば、刻み海苔、かつおぶし、梅干し、ねぎ、青菜など、おうちにある乾物や薬味などをパッと添えるだけで、特別なことをしなくても、ちゃんと作った感が出せ、よりおいしそうに見せられますよ。目安として、お皿の中に三色くらいそろえるのがコツです」
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「食材を凍らせておくことは、じつは自分の時間と心を“凍らせない”ための工夫でもあると思います。そんな気持ちで、これからも冷凍のある暮らしを届けていきたいです」と語る冷凍子ママさん。さまざまなライフステージを経てつちかってきた冷凍の知恵と工夫は、私たちの日々の食卓を助けてくれるだけでなく、暮らしを豊かにするヒントも教えてくれる、とっても心強い味方です!
冷凍子ママさんへのQ&A
——ニックネームの由来は?
「冷凍庫で冷凍したものを活用したレシピ発信と決めていたので、安直に冷凍子ママです。今では少し恥ずかしいです(笑)」
——大好物といえば?苦手な食べ物は?
「好きなものはプリンです。1個食べると止まらないので、いつも2個買いしてしまいます。辛いものはあまり得意ではなくて、恰好よくお寿司を食べてみたいと思いつつ、いつもサビ抜きです」
——思い出の料理本はありますか?
「土井善晴さんの『一汁一菜でよいという提案』です。紹介されているレシピが参考になったのはもちろんですが、生き方に寄り添ってくれた一冊で、料理ってがんばらなくていいんだ、そう思えた瞬間の空気まで今でもよく覚えているほどです。自分自身の体調や気持ちと向き合いつつ、無理をしないで毎日続けることが、一番やさしいごはんの形なのかもしれませんね」
——インテリアやライフスタイルなど参考にしているショップ、カフェ、雑誌、サイトなどはありますか?
「北欧テイストをベースにした『ACTUS』や『BoConcept』といったインテリアショップの空間作りに魅力を感じています。雑誌では『ELLE DECOR』『Casa BRUTUS』、ウェブでは『ROOMIE』や『北欧、暮らしの道具店』が好きで、暮らしに取り入れやすいアイデアやトレンドを学んでいます。トレンドに触れるだけでも気持ちが上がりますよね」
——料理以外で、リラックスタイムの過ごし方といえば?
「リラックスタイムは、自分自身を大切にすることを意識しています。好きな音楽をかけながら、ボディーメイクのトレーニングをしたり、サウナやホットヨガでじんわり汗をかいたり。スキンケアを丁寧にしたり、ゆったりバスタイムでホッとひと息ついたり。冷凍のおかげでそんな自分のための時間を作れているからこそ、毎日の忙しさも乗り越えられる気がします」

フーディストノートアンバサダー。冷凍生活アドバイザー(日本野菜ソムリエ協会)。SNSで紹介する冷凍テクニックや解凍不要の時短レシピが人気を集め、メディア出演も多数。著書に『食材ぜーんぶ残さず使い切り! 感動のてぬき冷凍レシピ』(KADOKAWA)。
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