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お悩み解決!井上かなえ(かな姐)のオンライン料理教室
井上かなえ(かな姐)
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誰もが経験あり?豚肉の脂が白く固まる問題を軽減する方法

料理に関するちょっとしたお悩みに対して解決方法を解説する人気料理研究家・井上かなえ(かな姐)さんのフーディストノート公式連載。今回のお悩みは、冷めたときに固まる豚肉の脂について。脂浮きを減らして、お弁当に入れてもおいしく食べられるコツをレシピ付きでご紹介いただきます。
2024/10/16
2024/10/15
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どのくらいの力加減でしぼるのが...
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こんにちは!かな姐です。

お野菜の値段が本当に高いですよねぇ…。

スーパーへ行ってもどれもこれも高くて手が出なくて、売り場をぐるぐると何周も歩き回ってしまう!

野菜高騰の中も比較的価格が安定しているきのこ類が、今年は毎日のようにわが家の食卓に並んでいます。きのこ、もやしは家計の味方ですね!

さて、そんな今月のお悩みはこちらを選んでみました。

「お弁当に豚肉料理を入れると、食べるころには固くなっていて、白く脂が浮いてきてしまうことがあります。豚肉の部位や調理方法などで、冷めてもおいしく食べられる工夫があれば教えてください」

これから気温がぐんぐん下がっていきますと、お弁当のおかずに作った豚肉の料理が、お昼に食べるころには固くなってしまったり白い脂が固まってしまったりすることがありますよね~。

特にお弁当箱の下側に豚肉の白い脂のかたまりを見つけると、なんだかいや~な気持ちになる!

…というわけで、今回はお弁当に入れる豚肉料理はどう料理するのがよいのかを一緒に考えていきましょう。

豚肉の脂を落とす方法

豚肉の脂を落とす方法として、調理前に豚肉をゆでる方法があります。私もこの方法をよくご紹介するんですが(たっぷりの熱湯でゆで、ざるにあげてしっかり湯切りし、キッチンペーパーで水気を拭き、そこからしょうが焼きや焼肉にする)、時間がないときはなかなか難しいかもしれませんが、時間があるときはこのゆでるという方法が有効で、わたしも娘の弁当を作っているころにはやっていました。

子どもたちがまだ家にいたころには、豚バラの薄切り肉をよく買っていたので、このゆでるという方法はとてもよかったです。バラ肉をよくお買いになる方はぜひお試しください。

お弁当に向いているのは?冷めてもおいしい豚肉の選び方

さて、そもそもなんですが、

日本で食べられるお肉って、豚肉、鶏肉、牛肉が主なものになりますが(ラムとか他にもあるけど一般的にはこの3種類かなと)、この中で冷めたときに一番脂っぽさを感じるのが牛肉の脂で、次に感じやすいのが豚肉、最後が鶏肉になります(←なので冷めてから食べるお弁当には、一番鶏肉が向いているということになります)。

口の中に入れたときに人間の体温(およそ36度)くらいだと、鶏肉の脂ならば充分に溶けるんですが(30度くらいで溶け始めます)、豚肉の脂を溶かすためには40度くらい、牛肉ならば45度くらいの体温がないと難しいんです(だから冷やした状態で食べることもあるローストビーフは脂身の少ない部位を使っているんだな~ということがわかります)。

ということで、お弁当に豚肉を入れる場合は脂身の多い部位ではなく、なるべく赤身の多い部位を使った方がよいということになります。

ただ、脂身の少ない部位というのは、その分肉質としてはしっかりしているので、少しでも厚みがある形状のお肉だと、冷めたときに特に固く感じて噛みちぎりにくく、パサつきも感じやすくなります。

そこでおすすめなのが、豚もも肉の薄切りや、しゃぶしゃぶ用のお肉。

薄くスライスされているので、お肉自体の固さを感じにくく、そして冷めたときに脂っぽさを感じにくい部位になります。

豚もも肉

これはもも肉のしゃぶしゃぶ用のお肉と書かれて売られていたものなんですが、広げてみると今にも破れそう、向こう側が透けて見えるくらい薄いです。

(薄いからその分グラム数も少ないし、お安い!)

またはロースの薄切り肉やしゃぶしゃぶ用のお肉もおすすめです。

ロース切り落とし

これはアメリカ産の豚ロースで、切り落とし肉として売られていたものになります。

(お店によってお肉の厚みなどは違ったりするのですが、広げてみたら広げられないほどうっす~~~いお肉で、ボロボロのお肉だったりすることもあるので…適度に厚さは必要)

脂身の少ない豚肉の部位の調理ポイント

まとめると、

・お肉の種類は→もも肉、背ロース肉

・お肉の切り方は→薄切り、切り落とし(しゃぶしゃぶ用として売られているものも可)

という感じになるのですが、脂身が少ない部位のお肉は、やはり脂身の多い豚バラ肉や肩ロース肉に比べるとややパサつきがち。

(ちなみに豚こま切れ肉のお肉なのですが、こちらはいろいろな部位のお肉が入っていて、肉の厚みも大きさも様々な形状になるのですが、わたしは売られているパックを見比べて脂身の少ない、お肉の表面積が大きそうでなるべく薄切りになっているものを選んで買うようにし、手で丁寧に広げて使っていますよ)

なので調理にもひと工夫が必要です。

焼く前に粉をまぶすことでお肉への火のあたりがやさしくなり、さらに肉汁を閉じ込めてくれるので仕上がりがジューシーに。そしてたれをからめた場合、粉がたれをしっかり捕まえてくれるので、味がのりやすくなりますし、余分な脂を拭き取ることで、冷めたときの脂っぽさを軽減するとともに、脂がたれを弾かずからみやすくなります。

脂身の少ない部位は長時間加熱してもバラ肉のようにやわらかくはならず、むしろどんどん肉汁が逃げてパサつきがちになります。なので火が通ったらすぐにフライパンから皿などに移動させて冷ますことも大切です。

仕上げには、噛みやすいように食べやすい大きさに切るようにしましょう。

調理のコツはまとめると下記の4点。

・肉汁を閉じ込めてパサつきを抑えるため、粉をまぶす
・調理中に出てきた余分な脂は拭き取る
・長時間加熱しない
・一口で入る大きさに切り分ける

というわけで、今回ご紹介した注意点に気を付けながら、お弁当の定番の肉巻きを作ってみました。よかったらお試しください。

肉巻き

「冷めてもおいしいアスパラの肉巻き」レシピ

分量

2人分

材料

・豚もも肉(しゃぶしゃぶ用)…250g

・アスパラガス…1束(5~6本)

・塩、こしょう、薄力粉、こめ油…少々

A

・砂糖…小さじ1

・みりん、しょうゆ…各大さじ1ずつ

作り方

1. アスパラガスは耐熱皿に並べて軽くラップをし、600Wの電子レンジで2分加熱して冷ます。

※なるべく短時間でお肉を焼く作業を終えたいため、中に巻くものは加熱しておいた方がよいです

レンジでチン!

2. 豚肉は広げて少しずつ重ねながらまな板の上に並べる。冷めたアスパラガスを芯にして肉を巻きつけ、表面に塩、こしょうを振って薄力粉をまぶす。

具には火を入れておく

まんべんなく塩、胡椒

薄力粉

3. フライパンに油をひいて中火にかけ、2の巻き終わりを下にして入れる。しっかり焼き色がついてきたら転がし、他の面もいい色がつくまで焼く。

巻き終わりを下に

4. 余分な脂をキッチンペーパーで拭き取り、Aを加えて汁気がなくなるまでからめ、火を止める。冷めたら食べやすいサイズに切り分ける。

余分な脂

タレを絡める

脂や固さが気になるか検証するために、今回はできあがったこのお肉の粗熱を取り、切らずにそのまま冷蔵庫で一晩冷やしてみました。

冷えても脂が気にならない

温め直しをせずにカットしてそのまま食べてみましたが(それができあがり写真です)、脂が気になることなく、おいしくいただけました!

では来月もお楽しみに!

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井上かなえ(かな姐)

料理研究家。野菜ソムリエ。忙しくても手早く作れてきちんとおいしいレシピが支持されている。毎日の家ごはんやレシピを紹介するブログ「母ちゃんちの晩御飯とどたばた日記」は、「レシピブログ」の人気ブロガーランキングで殿堂入りするほどの人気。神戸、東京で料理教室を主催するほか、NHK「きょうの料理」の出演や、企業のメニュー開発、書籍でのレシピ提案など幅広く活躍。著書に『はじめての自炊練習帖』(ダイヤモンド社)、『15分スープひとつで満足ごはん』(講談社)など。

 

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