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お悩み解決!井上かなえ(かな姐)のオンライン料理教室
井上かなえ(かな姐)
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調理時間を短くしたい!手際よく同時調理したい!効率よく料理をするコツって?

料理に関するちょっとしたお悩みに対して、解決方法をわかりやすく教えていただく料理研究家・井上かなえ(かな姐)さんのフーディストノート公式連載。今回のテーマは、料理の手際について。同時調理が得意なかな姐さんが日頃から実践していることを、調理を始める前から順を追って解説していただきます。これを読めばあなたも料理上手になれるかも!?
2024/04/16
2024/04/09
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レシピに出てくる「だし」って何...
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こんにちは!かな姐です。

今月からまた新たに12か月間こちらでコラムを書かせていただくにあたり、読者のみなさまからご質問やお悩みを募ったところ、たくさんのメッセージを頂戴いたしました。

お忙しい中お時間をくださりありがとうございました!!

いただいたメッセージは1つずつ整理しながら分類をして、無事に12か月分のテーマが決まりました。

これから12か月間、一生懸命書かせていただきますのでドキドキわくわくしながらお待ちくださいませ!!

さて、さっそくですが今月のテーマはこちらです。

・何品かを同時進行させながら作ることができません(主菜とみそ汁だけならなんとかできます)。段取りをつけるのが苦手で、料理をしながら片付けができる方はすごいと思います。何かコツなり方法があれば教わりたいです。

・基本的な料理の手順。あらかじめ全ての材料を出して切っておく?調味料も合わせておく?洗いものは?家族そろっていただきますをしたいけれど、シンクが散らかったままだと落ち着かない…

このほかにも、料理に時間がかかるといった内容を含む同様のお悩みを何件かいただいた【料理の手際】に関して。

同時調理って憧れますよね。わたしはこの同時調理が大好きで、頭の中をフル回転させながら段取りよく調理を行うことができると、ほんとうれしい!

大抵の一般的家庭用のガスコンロは、3口コンロ(一人暮らしの長女の家は2口コンロですが)ありますし、そのほかにも魚焼きグリルや電子レンジまたはオーブン、トースター、炊飯器などの調理器具もありますから、やろうと思えば7品同時調理も可能といえます(さすがに7品は普段の晩ごはんには作りませんが)。

・なるべく台所に立つ時間を短くしたい

という願いをかなえつつ、

・調理が終わるのと同時に洗い物も終わっていたい(洗うのものを必要最小限にして、キッチンはきれいな状態に戻したい)

という項目も念頭に置きながら、わたしが普段どのように晩ごはんを作っているのか見ていただこうと思います。

料理の手際をよくするコツ1:台所に立つ前に献立を考える

まずは、台所に立つ前に献立を考えます。前の日からでもその日の朝からでも、今日の夜ご飯どうしようかな~と考えています。

なんでもいいんですが、例えば1品だけ(あれ作ろう!)って思いついているものがあるとします。主菜でもいいですし、副菜でもいいですし。

献立を考えるときのわたし流のコツなんですが、主菜・副菜・汁物があって、主食をご飯にする場合、全部がご飯に合う味付けのおかずにならないように組み合わせていきます。

しっかりした味付けのおかずはご飯に合うし、とってもおいしいですが、何品もそれが被ってしまうと食べるのに疲れてしまいますし、同じような味付けが被ってしまうと変化がなくて食べ飽きてしまいます。しょうゆ味、みそ味、塩味、甘辛味、いろいろな味が組み合わされるといいと思います。

例えば主菜にしょうが焼きを作ろう!と決めているとします。

しょうが焼き(しょうゆ味)の場合、平皿に盛りつけたときに茶色いので、一緒に盛り付けるキャベツのせん切りやレタス、トマトなどがあるといいな、と考えます。お肉の量がたっぷりない場合は、物足りなさを解消するために目玉焼きを焼くかどうかなども考えます。

主菜が決まったあとは、副菜を考えます。しょうが焼きがご飯がすすむおかずなので、副菜にはご飯にあまり合わなくてもいい、じゃがいもを使ったポテトサラダ(マヨネーズ味)にすることにしましょうか。

これまで出てきた野菜は、キャベツやレタス、じゃがいも、玉ねぎなので、これ以外の野菜でおみそ汁(みそ味)に合いそうな野菜を当てはめます。

ここまで考えておけばあとは実際に台所に入って、計画した通りに作っていくだけです。しょうが焼きを作り始めてから、あ!副菜にポテトサラダを作ればよかった!とか、キャベツのせん切りも!とか献立を考えながらその場の思い付きで作ってしまうと、すでに包丁とまな板がお肉を切ってしまった後だったり(調理中に何度もまな板と包丁を洗う羽目に…)、何度も冷蔵庫を開けたり閉めたりして無駄な動きが多くなってしまったりします。

調理の順番は温かいまま食べたいしょうが焼きが最後に作れるように、先に野菜類を洗ってポテトサラダやおみそ汁を作っていくことや、おみそ汁用の鍋、しょうが焼きを作るフライパン、ポテトサラダを作る雪平鍋の3点を使いながら作ることまで頭の中で計画しておくのです。

料理の手際をよくするコツ2:台所に立つときはいきなり料理をせずに環境を整え、使う調理道具や調理器具も考えておく

計画を立てた状態で台所に立ったら、いきなり料理を始めず、まずすることがあります。それは、

・水切りかごの中に入っている皿やカトラリーがあれば片付ける

・米を研ぎ、おみそ汁用の鍋に昆布と水を入れる。

ここまでしてから、冷蔵庫から本日使う材料を全部出します。

料理の手際をよくするコツ3:食材を切る順番を考える

基本中の基本ですが、食材を出したらまな板が汚れないものから切っていきましょう。

まな板が汚れないものから先に

じゃがいもを切って水に浸け、アスパラ(付け合わせに使います)の根元の皮をピーラーでむいて食べやすい長さを切る、ポテサラ用の玉ねぎをスライスして水に浸ける、付け合わせのレタスをボウルにはった水に浸ける。

まな板が汚れない材料が全部切れたら、最後にまな板が汚れるお豆腐、油揚げやお肉などを切ります。切ったものは鍋に入れて調理し始め、あとで使うものは小さく切り取ったラップにちょい置きしていくのが洗い物が出ず、わたしは一番簡単でラクチンだと思います(もちろん、小さなボウルやパイレックスを使っていただいてもいいです)。

お肉は食べやすい長さに切ったあと、ポリ袋に入れておきます(焼く前に薄力粉をここへ入れて振り混ぜます)。

ここでまな板と包丁の出番は終わり。洗って片付けてしまいます。

料理の手際をよくするコツ4:調理をしながら洗い物をし、使わないものは片付ける

ジャガイモの鍋と味噌汁の鍋

食材を切り終わったら調理開始。小さな口のコンロでおみそ汁用の鍋にお豆腐とお揚げを入れて弱火にかけます。

手前の雪平鍋ではじゃがいもを火にかけます。わかりやすいように今回は材料を全部切ったあとで調理し始めましたが、これは一番最初にやっておき、そのあとほかの材料を切っていくと時間に無駄がありません。

じゃがいもに火が通ったら(じゃがいもは小さめに切ると早くゆで上がります)お湯を捨てて塩、こしょう、米酢で下味をつけ、同時に水に浸けておいた玉ねぎスライス、油を切ったツナ缶をここに入れます。これは冷ましたいので一旦コンロの上に置いておきましょう。

フライパンも先に汚れないものから

手前にフライパンをおいてアスパラを焼き始めます。これは味付けは塩のみ、または味付けなしにしておき、焼きあがったら盛り付け用のお皿に移動させます。

盛り付けも同時に

ここでお肉の味付け用の合わせ調味料も作っておきます。

同じフライパンで肉を焼く

先ほどのアスパラを焼いたフライパンでお肉を焼きながら、合間におみそ汁の様子も見ます。

火を止めておみそを溶き入れます。ここで、ポテトサラダのじゃがいもの粗熱が取れていたら、マヨネーズを混ぜて各自のお皿に盛り付け、残ったものがあればタッパーや別容器に入れて冷蔵庫に入れておきます。鍋には残さず!お鍋や菜箸はすぐに洗ってしまいます。

ポテサラ仕上げ

調理台の上はいつもスッキリしているので、作業もスムーズです。

フライパンはすぐ洗う

お肉に合わせ調味料を回しかけ、少し煮詰めたらすぐ盛り付けのお皿へ。

汚れたフライパンはすぐ洗います。レタスもお皿に盛り付けたら、空になったボウルはささっとゆすいで水切りかごへ。

料理ができあがったと同時にシンクも調理台も片付いています。

(ちなみにレタスの横にあるラップに包まれているものはおみそ汁用の九条ねぎで、その向こうのグレーのお椀は前日に揚げ物をしたときに使ったこめ油が入っていて、ここから炒め物などの油を使っています)

料理の手際をよくするコツまとめ

・先に献立を考える

・献立の内容と同時に、使う調理道具や調理器具も考えておく

・食材を切る順番を考え、まな板と包丁を洗う回数をなるべく少なくする

・洗い物が出たら溜めずにすぐ洗う癖をつける

・常に片付けられるものはないか探し、調理台の上をスッキリさせる

な~んだ!普通じゃん!と思われたでしょうか(笑)。

調理をしていると、待ち時間というのが生まれます。

フライパンを温める時間、じゃがいもに火が通るまでの時間、調味料を煮詰める時間、煮込み時間、冷まして味を含ませる時間。

手が空いたら次の作業に進むのも良いですが、洗い物をしたり、水切りかごに伏せてあったお皿を片付けたり、その都度キッチンをリセットしていくのを心がけると、調理が終わったらシンクに洗い物がどっさり!という状態になりません。

晩ごはん

また、冷蔵庫の中に作り置きのおかずが何品かあると、より晩ごはん作りは楽になります。

この日は、ご飯とおみそ汁の間に並んでいる蛇腹きゅうりが作り置きのおかずです。酸味をきかせて作ったので、いい箸休めになりました。

「甘くなくても充分おいしいしょうが焼き」レシピ

この日作ったしょうが焼きのレシピもご紹介します。

分量

3人分

材料

・豚肩ロース薄切り肉…400g

・薄力粉…大さじ2

・こめ油…大さじ1

A

・しょうゆ…大さじ2

・米酢…大さじ2

・しょうが(すりおろし)…小さじ2

作り方

1. 豚肉は食べやすい長さに切り、ポリ袋に薄力粉と一緒に入れて振り混ぜ、粉をまぶす。

2. フライパンに油をひき、1を手で1枚ずつ広げながら入れる。中火で両面こんがりと焼いたら、Aを回しかけ、少し煮詰めて照りが出たら火を止める。

***

予め考えたり、都度片付けたりするのは少し面倒に感じるかもしれませんが、それをやるのとやらないのとでは効率が段違いなので、できるところから試してみてくださいね。

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井上かなえ(かな姐)

料理研究家。野菜ソムリエ。忙しくても手早く作れてきちんとおいしいレシピが支持されている。毎日の家ごはんやレシピを紹介するブログ「母ちゃんちの晩御飯とどたばた日記」は、「レシピブログ」の人気ブロガーランキングで殿堂入りするほどの人気。神戸、東京で料理教室を主催するほか、NHK「きょうの料理」の出演や、企業のメニュー開発、書籍でのレシピ提案など幅広く活躍。著書に『はじめての自炊練習帖』(ダイヤモンド社)、『15分スープひとつで満足ごはん』(講談社)など。

 

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