新じゃが全部これにする♪韓国人が溺愛!ヤンニョムで作る煮物「ジョリム」
こんにちは!韓国料理研究家の本田朋美です。
段々と春らしい気候になってきましたね!
日々のお弁当に加え、お花見やピクニックなどでお弁当を作る機会も増えそうです。
そこで今回は、前回ご紹介したパンチャン(おかず)の「チャンアチ(醤漬け)」に続いて、こちらもお弁当にピッタリなパンチャンの「ジョリム(または、チョリム)」についてご紹介します!
「ジョリム」は韓国風の煮物のこと
韓国の煮物は「ヤンニョム(合わせ調味料)」で煮るのが特徴
「ジョリム」は日本語でいえば「煮物」で、肉、海鮮、野菜を、ヤンニョム(合わせ調味料)とともに煮る料理のことです。
見た目は日本の煮物と似ていますが、韓国料理は全ての調味料を混ぜ合わせて一度に入れるのが基本ですので、「ジョリム」も最初に調味料をすべて合わておきます。
日本料理は「さ、し、す、せ、そ」の順番を大切にするので、砂糖やみりんなどの甘味を入れてから、しょうゆのような塩味のある調味料を加えますよね?
ですので、同じ材料を使っていても、日本料理と韓国料理では煮物の味のしみ方が大きく違うんですよ♪
ちなみに日本では「ヤンニョムチキン」が浸透しているので、ヤンニョム=甘辛だれという印象が強いと思いますが、じつは少し違います。詳しくは下記のページに書いていますので、ご参考になさってください。
簡単&リーズナブル♪10分で作れるやみつきおかず「ヤンニョム厚揚げ」
「ジョリム」の歴史
ジョリムの歴史を少しだけ探ってみようと思うのですが、実は1700年代以前の朝鮮時代の料理書には、「ジョリム」という単語は出てきません。朝鮮半島において煮物は長い歴史があると想像できるのですが、数ある煮物の中で、細かい調理法ごとに料理名をはっきりと分けていなかったようですね。
朝鮮時代の後期に入り、1800年代の後半に刊行された料理書に「ジャンジョリム(肉のしょうゆ煮)法」という記載があり、「ジョリム」という言葉が登場しています。
ジャンジョリムは牛の塊肉を大きめに切り分けてしょうゆで煮て、食べる直前に手で裂く料理です。作ってから時間がたっても味が変わりにくく、おかずとして重宝されました。
ジャンジョリムは今でも韓国の家庭でよく食べられていて、うずらのゆで卵とししとうを合わせることが多いです。
韓国人が大好きな「ジョリム」
韓国人の食卓に欠かせない「ジョリム」。私の知る限り、ジョリムが嫌いな韓国人はいません!
ここで、韓国で中でもポピュラーなジョリム料理をご紹介します。
うずらの卵のジョリム
前出の「ジャンジョリム」は韓国の家庭の食卓によくのぼるおかずだと紹介しましたが、牛肉なしでうずらの卵とししとうだけのジョリムも一般的です。
2020年に放映された韓国ドラマ『サイコでも大丈夫』にもこのジョリムが登場します。ソ・イェジ演じるムニョンが、箸でうずらの卵をつまめずにイライラしていると、キム・スヒョン演じるガンテがスプーンで取って、ムニョンのご飯の上にのせてあげるというシーンに、スヒョンファンの女性たちがメロメロになりました。
私の著書である『韓国ドラマ食堂』で、この「うずらの卵のジョリム」を紹介したところ、本の中で一番人気のレシピだったんですよ!
れんこんのジョリム
輪切りにしたれんこんを煮るのですが、韓国ではこういったときによく水飴を使います。写真のれんこんのジョリムは、彩りよくクコの実を合わせました。
豆腐のジョリム
水切りした豆腐を薄く切り、一度焼いてから煮る料理です。豆腐自体は淡泊ですが、濃い目に味付けをするジョリムなので、ご飯のおかずとしてはもちろん、お酒のつまみにもぴったりです。
さばのジョリム
甘辛いヤンニョムとさばを合わせたジョリム。ジョリムの基本はしょうゆ味ですが、魚類は味付けにコチュジャンや唐辛子を多用します。キムチを入れることもありますよ。
また日本の魚の煮物とは少し調理法が異なります。
日本では汁を煮たててから魚を入れますが、韓国では魚の上にヤンニョムを塗り、水を注いで煮るんです。ヤンニョムの強い香りのおかげで、魚の臭みが抑えられるからです。
なお、ジョリムはパンチャン(副菜的なおかず)として食べられることが多い中、魚のジョリムはメイン料理になります。
太刀魚のジョリム
太刀魚のジョリムは韓国では専門店があるほどポピュラーな一品で、ソウルの観光地である南大門市場には「太刀魚のジョリム横町」があり、ずらりと専門店が並んでいます。
私がソウルで韓国料理の勉強をしていた時、先生にこの南大門の横町へ連れていってもらったことがあります。毎日手の込んだ韓国料理を作って教えている先生でも、こんな素朴な味が好きなんだなぁと、先生をとても身近に感じた記憶があります。太刀魚のジョリムは、人数が多ければ大鍋で提供されるのでみんなで取り分けて食べます。そういった面でも、ほっこりと温かい気持ちになる料理です。
それでは最後に「カムジャジョリム(じゃがいもの韓国風煮物)」のレシピをご紹介します。
新じゃがのシーズン中、何度も作りたくなるおいしさですよ♪ぜひ、レパートリーに加えてくださいね!
カムジャジョリム(じゃがいもの韓国風煮物)レシピ
調理時間
25分
分量
2~3人分
材料
・新じゃがいも…300g
・ししとう…6個
・サラダ油…大さじ1/2
・水…200ml
・ごま油…小さじ1
・白ごま…小さじ1/4
(A)
・しょうゆ…大さじ2
・みりん…大さじ1
・砂糖…大さじ1
・韓国産粉唐辛子…大さじ1/2
・おろしにんにく…小さじ1
作り方
1. じゃがいもの皮を良く洗い、皮付きのまま一口大の大きさに切る。ボウルに切ったじゃがいもと、じゃがいもがかぶる位の水(分量外)を入れて5分ほど置いたら、ザルにあげる。
2. ししとうのヘタを取り、包丁で切り目を入れる。
3. 鍋にサラダ油をひき、1のじゃがいもを入れて中火でさっと炒める。水とAの材料をすべて入れて強火にかけ、沸騰したら中火に落とし、クッキングシートで落し蓋をする。
※煮ている途中で、何度か汁を回しかけてください
4. 15分ほど煮たらししとうを入れ、軽くかき混ぜながらさらに2分煮る。ごま油をまわし入れ、器に盛りつけて白ごまをふる。
今回は新じゃがいもを使ったので、皮はよく洗うだけでむきませんでした。普通のじゃがいもを使う場合は、皮をむいてください。
お弁当のおかずにも非常におすすめですが、においが気になるときはおろしにんにくを省いてもいいと思います。
それでは今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!