「塩こしょうで味を調える」ってどういうこと?分量は?その謎にお答えします!
こんにちは!かな姐です。
わたしにとって料理はお仕事なんですが、仕事でもあり、趣味でもあり、日々の楽しみでもあるのでお仕事でも料理をしている時間がとっても楽しく、わくわくします。
コラムなどの原稿を書くときも、ちょっと煮詰まったら一旦パソコンに向かうのをやめて、キッチンに立つことにしています。
こうすると気分転換になり、脳が活発に動き始めるような気がして、そのあとパソコンに向かうと不思議とすらすらと文章が浮かんでくるんですよね。
やる気スイッチが見つからずにずーっと座ってしまう日も、とりあえず冷蔵庫からにんじんやキャベツを取り出してせん切りにしていくと自然とスイッチが入るタイプです。
さて、今月でこちらの連載も第12回目、2022年4月の開始から丸一年経つことになります。
1年間ご愛読いただきありがとうございました!
連載最後に選んだご質問がこちらになります。
「塩こしょうで味を調える」と書いてあるとき、スープならちょっと飲んでなんとなく味を足せるのですが、炒め物やパスタなどはどう味見したらいいのかわかりません。味見する具材は肉がいいのか、野菜がいいのか、一通り(!)食べた方がいいのか。2人分の炒め物を前に多少塩を足しても、振ったまさにその場所がしょっぱくなっただけで全体には行き渡ってない気がするし、かといってガサガサ振りかける勇気もなく…。「調え方」を教えてください。
料理の最後で「塩で味を調える」とありますが、加減がよくわからずいつも濃いめであれこれ足してしまいます(汗)
よくレシピ本や料理番組でも見聞きする、手順の最後に出てくるこのセリフ!!
「最後に、塩こしょうで味を調えて完成です」
分量も記載されていないし、なんなんこれ?味付けはさっきしたでしょうに…!と思われるのも無理はありません。
それぞれ何を作っているときなのかでその塩加減が変わってくるので、それこそ「良き加減」で塩やこしょうを振るのが良いとされているんですが、そもそもなんで最後に塩こしょうをしなくてはいけなくなるのかと言いますと、そのレシピの調味料だけではひょっとしたら味付けが物足りないものになる可能性があるからだと思います。
調味料って大きく分けると2種類あって、塩味があるものと塩味がないものがあります。
塩・しょうゆ・みそ・ケチャップ・マヨネーズ・オイスターソースなどは塩味があるもの。白だし・だしの素・めんつゆなどもみんなそうです。塩味がついています。
一方、酒・みりん・砂糖・酢・油・レモン汁などは塩分が含まれない調味料です。
これらの調味料の無限の組み合わせ加減で食材を切る・炒める・煮るといった工程の中でちょうど良い味付けをしていくわけなんですが、調理過程の調味料だけでは足らない可能性があるときに、「最後に、塩こしょうで味を調えて完成です」というのが出てくるわけです。
この加減っていうのは、使う食材によって季節によって、野菜の量によって、また、品質によっても、そして食べる方の体調や好みによっても変わってくるんですよね。
普段薄味で慣れていらっしゃる方ならば、仕上げの塩こしょうは要らない場合もあるでしょうし、逆に普段から濃い味がお好きな方であれば仕上げの塩こしょうくらいじゃどうにもならん!なんか物足りない!焼肉のたれかけちゃえ!ってなる場合もあるし、その日たまたま使用したお肉があんまりおいしくなかったりすると調味料でカバーせざるを得なかったりする場合もあるかもしれません。
汗をかいた日はちょっと塩味のある味がおいしく感じることも。
なので重要になってくるのが、最後のお味見になるわけなんですね。
最終的に塩で味付けを調えようとすると、料理の種類によってはおっしゃる通り塩をかけた部分にしか塩味が付かないこともあるでしょう。
こうならないための解決策としては
1. 炒め物の場合はパラパラさらさら状態の塩をまんべんなく振って使う(しっとりタイプの塩だと最後に塩こしょうするというのが難しいかもしれません、汁気のあるスープや煮物ならよいけれども)
2. 調理をするときに最初に食材に下味を付けることで(肉に塩こしょうを振っておくなど)最後の塩こしょうを省く調理法を選択する
3. 塩こしょうで味を調えずに終わる(大根おろしとポン酢を添える、レモン汁をかける、オイルをかける、など別のフィニッシュを用意)
の3つがあります。人間の血液の塩分濃度は0.9%で、料理はそれよりも若干高めの1%がおいしいと感じる塩加減とされています。
(ただ、料理を食べるときっていろんなものを組み合わせた献立にするので、汁物は少し薄めで、漬物なら少し濃いめ、など味に濃淡を付けるのがバランスの良い献立だと思います)
食品の重量に対してだいたい1%くらいの塩味を付ければいっかというのを頭の隅に置いておくと、例えば塩で0.8%くらいの塩味を付けたならば、残りの0.2%はみそで味付けしたり、しょうゆで味付けしたり、風味付けを兼ねて調味するっていうこともできるわけです。
みそだけで塩味を付けようとしたり、しょうゆだけで塩味を付けようとすると調味料がたくさんいるんですが、そこに塩を仲間に入れてあげることでみそやしょうゆの使用量が少なくて済むんです(塩って少量でちゃんと塩味がつくので安上がりで確実においしい)。
ちなみになんですが、塩分をなるべく控えて作りたい場合にその物足りなさを補ってくれるのが香りで、オリーブオイル・こしょう・クミン・レモン・ねぎ・ハーブ・青じそなど香りのあるものを上手に取り入れることで、塩分が控えめでも十分に満足できるおいしいものが作れます。
料理の味の調え方を説明しようとして、だいぶ脱線してしまったんですが、やはり重要なのがお味見だと思います。
お味見をして自分の「ここだ!」を見つけることで、その料理は完成します。
パスタならソースをからめた後で麺を1本、炒め物ならちょっとくたっとなって味が染みてそうな玉ねぎを1切れ食べてみます。
パスタの場合は麺にもしっかり塩味を付けておくこと(塩の入ったお湯でゆでること)も味付けでかなり重要になってきます。
パスタの味付けがどうもうまくいかないなという方は、ゆでるときの塩が足りない可能性があります。その場合は2Lで20gの塩が目安になるので参考にしてくださいね。
今回はちょっとご質問から話がずれてしまったかもしれませんね。
書いているうちに話したいことがどんどん出てきてしまって、あれもこれもと話してしまいましたが、解決していなければ、もう一度ご連絡ください!すみません。
今回はトマトベースのパスタの味付けを例にしながらレシピをご紹介します。
材料はこれだけ。
トマト缶、にんにく、ベーコン、たかのつめ(辛いのがお好きな方はどうぞ)、スパゲッティ、そしてオリーブオイルと塩です。
「トマトとベーコンのパスタ」レシピ
材料
トマト缶…400g
にんにく…1かけ
ベーコン…60g
たかのつめ…1/2~1本
スパゲッティ…200g
オリーブオイル…大さじ1
塩…適量(作り方で解説します!)
作り方
1. フライパンにオリーブオイルとにんにく、たかのつめ入れ、弱火にかけます。隣のコンロでは2Lのお湯を沸かしています。
※たかのつめ半分にちぎって種を出したものを使います。辛いので、半分だけでも良いです
2. フライパンにベーコンを入れて炒めていきます。にんにくが焦げないように火は弱めのままです。お湯が沸いてきたら塩を入れ(2Lのお湯に20gの塩が目安)、スパゲッティをゆで始めます。
3. フライパンにトマト缶を入れます。油となじませるように広げ、そのまま5分ほど煮ていきます。飛び散るので弱火で。しっかり油と乳化させながら加熱することで酸味が和らぎ、まろやかになります。甘いのがお好きな方はベーコンと一緒に玉ねぎを炒めて入れても良いですよ。
4. 味付けをしていきます。400gのトマト缶なので、4gの塩を入れました。これだけでよかったんですが(ベーコンにも塩味がついているし)、オリーブを入れたかったので、さっと洗ってから入れました。オリーブにも塩味がついているので、量にはお気を付けください。
ここでお味見します。うん、完璧!
5. きちんと下味を付けながらゆでたスパゲッティをざるにあげ、ソースを合わせて完成です。
材料の重さで塩を計量して入れるだけで、完璧な味付けになりました。
最後に入れたオリーブが少ししょっぱかったので(洗って塩味を少し抑えたけれども)、ここにしめじとかきのこ類を入れても良かったかも!
トマトとベーコンのシンプルなうまみを味わうパスタです。
ちなみになんですが、わたしの場合お腹がいっぱいだと味付けもブレがちなので、料理をするときは少し空腹くらいで作っています。そうすると味見をしたときに「ここだ!」の味が見つけやすい気がしています。
今回で毎月更新しているオンライン料理教室が12回目となり、シリーズ第一期が終わりました!
来月からは第二期が始まりますので、どうぞお楽しみに!!
料理に関する疑問や質問を書いてご協力くださったみなさま、ありがとうございました。