超簡単!炊飯器で作れる「ほったらかしポッサム」
こんにちは!韓国料理研究家の本田朋美です。
韓国の豚肉料理で一番人気があるのは、何といってもサムギョプサルですね。豚バラ肉の焼き肉は、比較的お財布にやさしく、味にはずれが少ないと言ってもいいでしょう。
また同じように豚バラ肉で作る「ポッサム」も、日本で知られるようになりました。
今日はこの「ポッサム」についてお伝えします!
ポッサムとキムチの深い関係
豚はお金を呼び込む縁起の良い動物
ポッサムの話に入る前に、ちょっとおもしろい話をします。
韓国にも日本と同じように十二支があるのですが、一つだけ異なる干支があります。何だと思いますか?
日本では「亥年」のところが、韓国では「豚年」なのです。
韓国で豚はお金を呼び込む縁起の良い動物と考えられています。会社設立や店舗開業のお祝いパーティーでは、商売繁盛を願ってゆでた豚の頭を祭壇に飾るんですよ。日本人にはこれだけでも驚きですが、さらに招待客が豚の口、鼻や耳の穴にお札を入れてお祝いします。
私が日本で韓国料理店のオープニングパーティーに招待された時、持参したお札を豚の口にはさんで入れるという珍しい体験ができました!
ポッサムという名前の由来は「風呂敷で包んだような…」
本題の「ポッサム」ですが、名前の由来は韓国の風呂敷「ポジャギ」の頭文字「ポ」と、包むことを意味する「サム」という言葉です。
もともとは塩漬け白菜で海鮮や野菜を包んだ漬け物のことでしたが、いつからか漬けたての白菜キムチや葉物野菜でゆで肉を包んで食べる料理のことに変わりました。
ご参考までに、現在は具を風呂敷で包んだ様子に見立てた漬け物の方は「ポッサムキムチ」と呼んでいます。
ゆで肉単体を「ポッサム」とは呼びません
そんなポッサムですが、日本だと「ゆで豚」と訳されていることが多いですよね。
正確にはゆでた肉と白菜キムチ、サンチュやエゴマの葉などの葉物野菜が組み合わさることで「ポッサム」になります。ゆで肉単体を指す場合は「スユク」と言います。
近年のポッサムは豚肉のスユクが中心ですが、牛肉や鶏肉のスユクもあるんですよ。
韓国ではソルロンタン(牛骨スープ)専門店のメニューには必ずスユクがあり、スープの前にお酒を飲む方がおつまみとして注文しています。牛肉のスユクは酢醤油をつけるので、さっぱりと食べられますよ!
ポッサムが豚肉中心になった理由
豚肉のポッサムは昔から食べられていたわけではなく、比較的新しい料理です。
韓国では1960年代まで牛肉が人気だったので、この当時は豚肉料理が多くありませんでした。しかし、1970年代から80年代にかけて韓国政府が豚肉消費促進活動を展開した結果、豚肉人気に火がつきました。時を同じくしてポッサムの専門店ができたことも、流行を後押ししたんですね!
キムジャンとポッサム
一年を通して気軽に食べられるポッサムですが、中でも多くの韓国の人たちがポッサムを食べる日があります。それは「キムジャン」といって、立冬の前後に、家族が春まで食べるキムチを大量に漬ける一大行事の日です。
このキムジャンの食事に、ポッサムが登場するんですね。漬けたばかりのキムチをゆで豚で巻いて食べたり、塩漬けの白菜、ゆで豚、キムチを作るときに利用する大根と野菜の和え物を一緒に食べたりします。
ゆで豚に、生牡蠣と白菜キムチを組み合わせたものも美味。キムチの材料に使ったアミの塩辛をのせると、味のエッジが効いて無限にお腹に入ります。私が一番好きな食べ方です!
それでは最後になりましたが「ポッサム」のレシピをご紹介します。
炊飯器に入れたらほったらかしでできるので、火加減を気にすることなくお手軽です!
炊飯器で作れる「ほったらかしポッサム」
調理時間
70分
分量
2人分
材料
・豚バラ肉(ブロック)…300g
・玉ねぎ…1/2個(または、長ねぎの青い部分を同量程度)
・にんにくスライス…1かけ分
・みそ…大さじ1/2
・葉物野菜(サンチュなど)…適量
・白菜キムチ…適量
[辛みそ(サムジャン)]
・みそ…大さじ1と1/2
・コチュジャン…大さじ1/2
・しょうゆ…小さじ1
・すりごま…小さじ1
・砂糖…小さじ1
・おろしにんにく…小さじ1/2
・ごま油…小さじ1
作り方
- 炊飯器の内釜に豚バラ肉、豚バラ肉がかぶる量の熱湯(分量外)、玉ねぎ、にんにくスライス、みそを入れて、普通の炊飯モード(50〜60分)で加熱する。
2. 豚肉を加熱している間に、辛みそ(サムジャン)の材料を全てボウルに入れて混ぜる。
3. 加熱時間が終わったら豚バラ肉に竹串を刺して、赤い汁がでないか確認する。
※赤い汁が出る場合は中まで火が通っていないので、数分ずつ様子をみながら追加で加熱してください
4. 炊飯器のスイッチが消えた状態で、豚肉を内釜に入れたまま蓋を開けて10分ほど冷ましてから取り出し、厚さ5mm程度に切る。
5. お皿にゆで豚、お好みの葉物野菜、白菜キムチ、サムジャンを盛りつける。食べるときは葉物野菜の上にゆで豚、サムジャンをのせて包んだり、白菜キムチとゆで豚を一緒に合わせたりする。
このレシピは、本場韓国式の作り方を炊飯器で作れるようにアレンジしたものです。
みそや香味野菜を一緒に入れることで、豚肉特有のくさみが消えます。また、最初から熱湯を入れて加熱すると、豚肉のアクが出にくくなります。
今回は豚肉をそのまま炊飯器にかけましたが、形を整えたい場合はタコ糸でしばってください。
普通の鍋で作りたい場合は、ゆで豚の材料を水に入れて強火にかけ、沸騰したら中弱火に落として50〜60分ほどゆでてください。あとは同じです。
このレシピでは豚バラ肉を使いましたが、豚肩ロースなどお好きな部位を使って作ってみてくださいね!
また残ったゆで汁はスープに活用できます。手間でなければ一度濾してから、冷蔵庫に入れて冷やしてください。固まった油を取り除いてから、野菜などを煮て味を調えればスープの完成です!
※
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それでは今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!