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井上かなえ(かな姐)
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市販のカレールウで「おいしく作れない」という方は必見!ここまで変わる絶品カレーの作り方

市販のカレールウで作ったカレーに物足りなさを感じたことはありませんか?風味が薄かったり、深みが足りなかったり…。料理にまつわるちょっとしたお悩みに、人気料理研究家・井上かなえ(かな姐)さんが答えるフーディストノートの公式連載。今回は、そんなときに試してほしい、作り方のコツを伝授していただきます。
2025/07/30
2025/07/30
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なすが茶色くなるのはどうして?...
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こんにちは!かな姐です。

夏場は外に出たくなくて運動不足になりがちな方も多いと思いますが、テレビを見ながら足踏みをするとあっという間に5000歩くらい余裕で歩けるのでおすすめします!

むくみや冷房による足のだるさにもいいので、ぜひ試してみてください。

さて今回のお悩みはこちら。夏に大活躍するカレーについてです。

今回のお悩み相談:市販のカレールウでおいしく作れない

・カレールウの箱の記載通りに作ると、カレーの風味が薄く感じます。何を足せばいいでしょうか?

・カレーライスがおいしく作れません。市販のルウを使っていますが、毎回納得できない味に仕上がります。玉ねぎをあめ色になるまで炒めたり、圧力鍋を使ってみたりしても、「何か物足りない」味になります。味に奥行きというか、深みのあるカレーライスが作りたいのですが、どうすればいいでしょうか?

・市販のカレールウを使うと味に深みが出ません。炒め玉ねぎやウスターソースを入れてもあまり変わらないです。何か簡単にコクが出る方法があれば知りたいです!

・カレーを市販のルウで作るのですが、ごくたまにサラサラになってしまいます。とろ~りとしたとろみが付くときと付かないサときとでは何が違ってそうなるのか解らなくて…かな姐さん、教えてください!

市販のルウを使って作るカレーに関するお悩みです。

箱の裏に書いてある通りに作れば、一番おいしくなるとは聞くけど、本当にそうなの?わたしの作るカレーは何か物足りない気がするけど?みんなはそんなこと思わないの?誰かに聞いてみたいけど今さら聞けない!!そんなお悩みです。

このお悩みを持っていらっしゃる方は(わたしの想像ですが)、多分なんですけどみなさん、カレー専門店でおいしいカレーを食べたり、レトルトの温めるだけのちょっとおいしいカレーを食べた経験があって、お口が肥えていらっしゃるのでは?と思います!

複雑な旨味やコク、深みを感じるあのカレー!一度おいしいものを経験してしまうと、ついついその味を追い求めたくなりますよね。

でもご安心を。特別なスパイスや材料を使わずとも、市販のルウを使っておいしいカレーを作るポイントはいくつかあるので、さっそく作り方を見ていただきましょう。

特別な材料なしでもOK!市販のルウで「おいしいカレー」に仕上げるコツ

ルウはお好みのものをご用意いただいて大丈夫ですが、今回はわたしはこちらを使って作ってみました。

カレールー

適度に辛さがあって甘ったるくないのでやや大人向きのカレーです。

こちらの箱の裏を見ますと、材料のところにはこのように書いてありました。

箱の裏

材料は1箱全量を使った場合なのですが、今回はこの箱の半量で(4人分)作りたいと思います。

カレーの満足感は「肉と玉ねぎ」がカギ!

カレーに必要な材料は玉ねぎ、肉、この2つです。

じゃがいもとにんじんは必須ではないので、入れなくてもいいです。

市販のカレールウを使ってカレーを作る場合、基本的には玉ねぎと肉の旨味が重要な役割になってくると思ってください。

玉ねぎは、甘味、旨味、とろみを加える重要な役割。肉はカレーの水分に溶け出る旨味、底力を支える役割があります。

肉は“多め”が基本!

肉の種類でいうと、鶏肉が旨味がとてもよく出ると思います。ただ、鶏肉は水分も多いのでその分、量もたくさん入れないといけません。

箱には肉500gと書いてありますが、鶏肉を使って半量で作る場合、500gは入れたほうがいいでしょう。

普段の晩ごはんで(カレー以外の)、鶏肉をメイン料理に作る場合、4人分だと2枚使いますよね?なので2枚です。鶏もも肉でも鶏むね肉でもお好みのもので大丈夫です。一口サイズにカットして使いますが、大きくカットするお肉の場合は下味に塩、こしょう、にんにく、しょうがなどをもみ込んでおくとよりお肉がおいしくなります。

豚肉、牛肉の場合も箱に書いてあるより多めがおすすめ。これも4人分のおかずを作るときくらいの量を使用します。薄切りの場合は下味をもみ込みませんが、ゴロゴロとしたお肉を使う場合は鶏肉の場合と同じく、下味をもみ込んでおいたほうがお肉自体がおいしくなります(お肉を口に入れたときの満足感が上がる)。

玉ねぎも多めがいいです。わたしは今回350gくらいの大きな玉ねぎを1個使いました。

玉ねぎの切り方ですが、くし形ではなく、薄切りにします。煮込んだときにルウになじみやすいようにするためです。

玉ねぎはじっくり蒸し焼き+炒めが決め手!

油をひいた鍋に玉ねぎを広げて入れ、ふたをして蒸し焼きにしていきます。

蓋をして蒸し焼きに

5分ほどして玉ねぎが半透明になってきたら塩をひとつまみ振り、より早く玉ねぎに火が通るように、そして甘みを引き出しつつおよそ10分、蒸し焼きにしていきます。

このとき、新玉ねぎだと水分が出すぎてしまうことがあるのですが、これがカレーがしゃばしゃばになってしまう原因にもつながります。

その場合はふたを取って水分を飛ばすようにしてください。

ある程度玉ねぎがしんなりしてきたら、ここでにんにく、しょうがのすりおろしを加えます。ルウにも入ってはいるのですが、ここで加えることでよりシャープな辛味と旨味、深みが加わってよりおいしくなります(チューブのものを使用していただいても構いません)。

ニンニクと生姜

さらに炒めていきます。

木べらでずっと動かし続ける必要はなく、玉ねぎをなべ底に広げるようにし、香ばしい焦げ目をつけるようなイメージです。

放置しすぎて焦がしてはいけませんが、この焦げ目によってカラメルのような香ばしさが加わり、玉ねぎにまたより一層複雑な旨味が加わります。

広げる、集める、広げる、集める、を繰り返して

焦げ目

あめ色になるまで炒めずとも、このくらいの焦げ目で大丈夫です。

玉ねぎを火にかけてから20分後くらいです。

ここでじゃがいもとにんじんを入れます。わたしはカレーの中に入っているにんじんがあまり好きではなく後添えしようと思っているのでここでは入れません。

じゃがいももにんじんも入れたくない方は、入れなくても大丈夫です。

じゃがいもを加えて2~3分ほど炒め、じゃがいもの周りを油でコーティングしてあげることで、煮崩れを防ぎ、同時にじゃがいもの存在感が増しておいしくなります。

ジャガイモなど

お肉を加えます。今回は牛バラ肉の切り落としを使いました。適度にサシが入っていてコクと旨味があり、煮込むとやわらかくなります。

牛バラ薄切り

お肉はさっと炒めることで、アクが出にくくなります。

塊にならないよう、広げるように、バラバラになるように、色が変わるまで炒めます。

色が変わるまで

水分は野菜ジュースをプラスして、深みのある味に!

ここからは水分を入れて煮込んでいきます。お水でもいいのですが、より深い複雑な旨味を求めたい場合は野菜ジュースを入れるのがおすすめです。

野菜ジュース

トマト以外にも、セロリやピーマン、にんじんなどの様々な野菜がミックスされたものが特におすすめ!

これを箱に書いてある水分量より少なめに入れます。

箱には半量で作る場合は600~700mlと書いてあるのですが、もうすでにお野菜は半分火が通っていますし、薄切りのお肉を使用しているので長時間煮る必要もないので少なめで大丈夫です(ゴロゴロとしたお肉を使う場合は少なめからスタートし、途中で水分が少なくなってきたらその都度足すといいです)

わたしは今回、野菜ジュースを200ml、水を300ml入れました。

野菜ジュース

全量を野菜ジュースにしてしまうと、トマトの酸味が勝ってしまうので、半量くらいがほのかな酸味とさわやかさになってちょうどよいです。

お水も

水分を入れたら、かき混ぜ、ふたをして10~15分ほど煮ます。目安はじゃがいもに火が通るまでです。

くしを差してみてスッと通るようになれば、火を止めてルウを割り入れます。

箱の半量を入れました。

ルーを入れる

へらでかき混ぜながらルウを溶かしたら、もう一度火をつけて5分ほど加熱し、火を止めます。

ここからできれば20分ほどおいて冷まし、味を落ち着かせ、なじませ、冷ますことで中まで味をしみ込ませます。長時間煮る必要はありません。

出来上がり

完成です。

野菜と肉の旨味が存分に溶け出た、満足感のあるカレーになりました。

盛り付け

盛り付けた後、ガラムマサラを振って香りをプラスするのもおすすめです。

わたしは今回、「スパイスカレートッピング」というGABANのミックススパイスを振りかけました。

お子さんがいらっしゃるご家庭など、辛くするのが難しい場合はお皿の上でこんな風に大人だけにトッピングするのがおすすめです。

にんじんはピーラーで薄くそいで、塩、砂糖、レモン汁、クミン、オリーブオイルを混ぜたもの。

緑のお野菜はつるむらさきをフライパンで焼いたものです。

香りや食感、味が異なるものを一緒に盛り付けて食べると、味に変化ができて満足感も増します。

カレーに福神漬けやらっきょうを添える感じですね!

美味しいカレー

市販のルウを使ったおいしいカレーの作り方

分量

4人分

材料

  • 玉ねぎ…大1個(350g)
  • 牛バラ肉(切り落とし)または豚肩ロース肉(切り落とし)…350g(鶏肉の場合は500g)
  • じゃがいも…2個
  • にんにく、しょうが(すりおろし)…各1かけ
  • こめ油またはサラダ油…大さじ1
  • 野菜ジュース(トマトベース)…200ml
  • 水…300ml
  • カレールウ…4人分の量
  • お好みのスパイス(仕上げ用)…あれば適量

手順

1. 玉ねぎは薄切りに、じゃがいもは2cm角くらいに切ってさっと水にさらす。にんにくとしょうがはすりおろす。

2. 厚手の鍋に油をひき、中火にかけて玉ねぎを広げて入れる。ふたをして5分ほど蒸し焼きにし、塩一つまみを加えて軽く混ぜ、ふたをしてさらに5分蒸し焼きにする。ふたをあけ、にんにくとしょうがを加え、玉ねぎにうっすら焦げ目をつけるように、水分を飛ばすように約10分炒める。

3. 水気を切ったじゃがいもを加えてさらに2~3分ほど炒め、肉を加えて肉の色が変わるまで炒める。

4. 野菜ジュースと水を加え、ふたをして10~15分ほど煮る(途中あくが気になったらすくう)。じゃがいもに火が通ったのを確認し、火を止めてルウを割り入れ、溶かす。

5. 再び火をつけ、5分ほどかき混ぜながら煮たら火を止め、ふたをしてそのまま20分ほどおいて中まで味をしみ込ませる。

6. 器に盛り、付け合わせの野菜などを盛り付け、お好みでスパイスを振る。

【ポイントまとめ】市販のルウでも、工夫次第でごちそうカレーに!

ルウを使うときにも、素材の持ち味をいかすように、何から旨味が出てくるかを考えながら料理してあげると、あれやこれや調味料を足さなくても素材の味だけでおいしいカレーになします。

  1. 玉ねぎと肉の量は箱に書いてあるより多めの量を使う。
  2. 玉ねぎはじっくり炒める。
  3. にんにくとしょうがを入れる。
  4. 水分は、箱に書いてある量より少なめに入れる。
  5. 水分の半分に野菜ジュースを使う。
  6. 冷ますことで中まで味をしみ込ませる。
  7. あれば仕上げにスパイス(ガラムマサラ、スパイスカレートッピングなど)を振る。
  8. 福神漬けやらっきょうを添えるか、野菜のマリネやピクルスのようなものを添える。

全部じゃなくてもどれか1つでも2つでも、(お?!これは…?!)と思ったものがあれば、ぜひお試しくださいね。

ではまた次回をお楽しみに!

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井上かなえ(かな姐)

料理研究家。野菜ソムリエ。忙しくても手早く作れてきちんとおいしいレシピが支持されている。毎日の家ごはんやレシピを紹介するブログ「母ちゃんちの晩御飯とどたばた日記」は、「レシピブログ」の人気ブロガーランキングで殿堂入りするほどの人気。神戸、東京で料理教室を主催するほか、NHK「きょうの料理」の出演や、企業のメニュー開発、書籍でのレシピ提案など幅広く活躍。著書に『はじめての自炊練習帖』(ダイヤモンド社)、『15分スープひとつで満足ごはん』(講談社)など。

 

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