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お悩み解決!井上かなえ(かな姐)のオンライン料理教室
井上かなえ(かな姐)
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牛ももブロックはローストビーフ以外にも使える?パサつかずにおいしく作る方法って?

料理に関するちょっとしたお悩みに対して解決方法を解説する人気料理研究家・井上かなえ(かな姐)さんのフーディストノート公式連載。今回は、牛ももブロック肉の使い道について。ローストビーフ以外でもおいしく作れる料理はある?かたくパサつきがちだけど、やわらかく仕上げることは可能?といった気になる点について詳しく教えていただきます。
2024/12/16
2024/12/16
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12月に入って、何かと気ぜわしいですよね。

お料理にもあまり時間がかけられず、簡単な炒め物などを作りたいのですが、なんせお野菜が高い!キャベツが1玉400円というのも驚きですが、先日はパセリの小さな袋が、なんと同じく400円でした。これはもう…ベランダ栽培を始めるチャンスかもしれませんね…。来年の目標はベランダで食べられる野菜を作ること、にしようかな(笑)

そのときは、キャベツは諦めてもやしでなんとかしよう!と売り場に行ったら、なんと売り切れでした…汗

さて、今回取り上げたお悩みはこちらです。

牛ももブロックを買うのですが、メニューがいつもローストビーフになり、他の使い道がわかりません。温かいものを作ろうと思ってもかたくてパサつくので、結局ローストビーフばかりに。いいレシピがあれば教えてください。

牛のもも肉の塊肉について。

うちの近所のスーパーでもよく売っています!とても手ごろなサイズの、まぐろの柵のようなきれいな形の塊のお肉が。

グラム数でいうと200~300gくらいで、二人分のおかずにちょうどよいです。

牛もも肉

(↑後でくわしく説明しますが、このように横に繊維が走っているように切り分けてくれているお肉屋さんが好きです。焼きあがった後切る方向は、包丁を縦に、垂直に入れます)

牛ももブロック肉でローストビーフ以外の料理もおいしく作れる?

牛もも肉のこのブロック肉、実はわたしもローストビーフにしかしません(笑)。

塩、こしょうをこすりつけて魚焼きグリルで焼き、そのあとアルミ箔に包んで冷めるまでおき、その後はしっかり冷蔵庫で冷やしてから薄切りにします。

ご質問にあった、この牛もも肉で温かいお料理にしておいしく仕上げることができるかどうかについてですが、

ご覧の通り、牛もも肉はロースやバラなどと違って脂肪が少ない部位のお肉になります。

牛肉の脂が溶けだす温度は40~50℃なので、焼いた後のお肉はこの温度より低くなると途端に脂肪の部分は白くかたまり、口に入れたときに嫌な感じがしてしまいます。

焼き肉などでカルビやバラなどの脂身の多い部位を、焼き立て熱々で食べるのはそういう理由からというのもあります。

なので脂身の少ないもも肉では、熱々のお料理である必要がないため、ローストビーフなどの少し冷めても問題ないお料理に使われることが多いのです。

が!

もちろん赤身のお肉は全て冷たい状態で食べなければいけないわけではありません。

温かい料理でも食べられます!

しかしご質問者さんがおっしゃっている通り「温かいものを作ろうと思ってもかたくてパサつく」ので、長時間加熱するようなお料理には向かないかもしれません。

(長時間加熱してお肉の繊維をほぐし、コンビーフのような状態にして食べるお料理もありますが←それもまた熱々では食べない)

温かい状態で食べるには少し条件があって、レアに限りなく近い、ちょうどよい火加減で焼くことが重要になってきます。

レアステーキがお好きな方であれば、短時間でさっと焼いて食べることをおすすめしますが、わたしはそこまでレアなお肉が得意ではないので、今回はミディアムレアくらいの焼き加減を目指したもも肉のステーキの焼き方をご紹介します。

買って来たお肉に塩、こしょうをまぶしてそのまま焼いていただいてもいいのですが、今回は一工夫し、たんぱく質を分解してくれる酵素が多く含まれる食品を使ってお肉をよりやわらかくしてから焼いてみることにします。

たんぱく質分解酵素が多く含まれる食品には、パイナップルやキウイ、パパイヤなどのフルーツや、まいたけや玉ねぎ、しょうがや麹を使った発酵食品などがありますが、今回はすりおろした玉ねぎと刻んだキウイという2種類で試してみたところ、キウイの方がよりやわらかかったのでこちらをご紹介します。

キウイを使うとお肉がやわらかくなる?

まずは酵素がよりしみ込みやすくなるよう、お肉の表面全体をフォークで突いて穴をあけます。

「牛ももブロックで作るミディアムレアステーキ」フォークで穴をあける

細かく刻んだキウイ1個分をお肉と一緒に厚手のポリ袋に入れます。

「牛ももブロックで作るミディアムレアステーキ」刻んだキウイ

お肉全体に行き渡るようにして空気を抜いて密閉し、このまま3時間ほど冷蔵庫に入れてマリネします。

「牛ももブロックで作るミディアムレアステーキ」マリネする

焼き始める20分ほど前に冷蔵庫から出し、周りのフルーツを全部よけて(後で使うので捨てないで)、塩、こしょうを振って油をひいたフライパンで焼いていきます。

このとき残ったフルーツが肉についていると焦げるので、しっかりキッチンペーパーなどでふき取ったほうがよいです(わたしはこのときそれをやらなかったので焦げてしまいました)。

ちょうど四角いいい形なので、とても焼きやすいです。

中火で広い面を2分ずつ、4方向の側面は1分ずつ焼いていきます。

時間を計りながら合計で8分焼きました。

「牛ももブロックで作るミディアムレアステーキ」フライパンで焼く

側面を焼くときは、こうしてトングなどで支えながら焼きます。

「牛ももブロックで作るミディアムレアステーキ」側面も焼く

焼きあがったらそのままフライパンに放置などせず、すぐにアルミ箔に移します。

「牛ももブロックで作るミディアムレアステーキ」焼き上がり

きっちりと包み、余熱で中までいい感じに火が入るよう、そしてソースを作る間に肉が冷めないようにします。

「牛ももブロックで作るミディアムレアステーキ」冷めないように

肉を焼き終わった後のフライパンで(焦げがついていたらさっと拭いて)、ソースを作っていきます。

バターとスライスしたマッシュルームを炒めます。

「牛ももブロックで作るミディアムレアステーキ」ソースを作る

マッシュルームでなくても、しめじやエリンギ、えのき、しいたけなどのほかのきのこでも構いませんし、きのこが苦手なら薄切りにした玉ねぎでもいいです。

マッシュルームがしんなりしてきたら、袋に残しておいたキウイを全部入れます。

「牛ももブロックで作るミディアムレアステーキ」漬け込みに使ったキウイ

汁気を飛ばしながらしっかり煮詰めます。汁気がなくなったら最後におしょうゆを入れてひと混ぜし、ソースのできあがり!キウイに酸味があるので、酸味が苦手な方はここでみりんを少し加えてもよいと思います。

「牛ももブロックで作るミディアムレアステーキ」最後にお醤油

ここまでできたら、先ほどアルミ箔に包んでおいた肉を開けてみましょう。

このとき、アルミ箔に肉汁が溜まっていたら、捨てずに先ほど作ったソースの中に入れて混ぜておきます。

肉を切る方向は、繊維が走っている方向に直角に、です。こうすると繊維が断ち切れて噛みきりやすくなります。

「牛ももブロックで作るミディアムレアステーキ」切り分けて盛り付ける

熱いので切り分けるのが少し大変ですが、頑張って!

いかがでしょうか。レアすぎず、焼き過ぎてもいない、ちょうどよい火の入り具合で焼きあがっています。

ここに先ほどの熱々のソースをかけます。

「牛ももブロックで作るミディアムレアステーキ」完成

最後にブラックペパーを挽いて、できあがりです。

どうぞ熱々の牛ももステーキをお召し上がりください!(そのためには先に付け合わせの野菜を用意しておく、などの段取りも大切)

キウイを入れてマリネしておいた効果もあってか、めちゃくちゃやわらかでジューシー、おいしい赤身のステーキになりました。

キウイの味はそこまで主張はしません。言わなかったらわからないかも。ただ酸味だけが少しあるので、逆にこってりが苦手な方には食べやすく感じるかもしれません(苦手な方はソースを作るときにしょうゆと一緒にみりんを入れるといいです)

正直、自分でもこんなにおいしいステーキになるだなんて想像していなかったので、これにはびっくり!

玉ねぎのすりおろしでもやってみたのですが、こちらはそこまでのやわらかさにはならなかったので、やはりキウイがいいのかなと思いました。

お味は「さすが玉ねぎ」という感じで、おいしかったんですけど!

すりおろした玉ねぎで

ただ、このもも肉ブロックのステーキ、レンジなどで温め直しするとどうしても火が通り過ぎてかたくなってしまいました。

乾燥させないようにラップで覆っておき、レンジも30秒ほどだけという短時間での温め直しもしてみたんですが、やはり焼き立てには劣りました。

どうしても火が通り過ぎて少しかたくなりますので、作りたてをすぐに食べられる日を選んで作ってみてくださいね。

「牛ももブロックで作るミディアムレアステーキ」レシピ

分量

2人分

材料

牛ももブロック…200~300gくらい(写真のようなマグロのさくのような形のもの)

キウイ…1個

塩、ブラックペッパー…各少々

油…少々

バター…10g

マッシュルーム…1パック

しょうゆ…大さじ1

作り方

1. 牛ももブロックは表面をフォークで突いて穴をあける。キウイは細かく刻み、牛肉と一緒に厚手のポリ袋に入れ、肉の表面にキウイが行き渡るように手でもんでから密閉し、冷蔵庫で3~6時間ほど置く。

2. 焼き始める20分前に肉を冷蔵庫から出す。肉についているキウイを全部取り除き、肉の表面をキッチンペーパーで拭いてから、全体に塩、こしょうを振る。マッシュルームを薄切りにする。

3. フライパンに油をひき、中火で温める。肉を入れ、広い面(表、裏)は2分ずつ、側面(4面)は1分ずつ時間を計りながら焼き、焼きあがったらすぐにアルミ箔で包む。

4. フライパンをきれいにし、バターとマッシュルームを入れて中火で炒める。マッシュルームがしんなりしてきたら、肉を漬け込むために使ったキウイを全部入れ、煮詰める。汁気がなくなってきたらしょうゆを加えて火を止める(酸味が苦手な方は少しみりんを入れる)。

5. 肉を切る方向に注意しながら切り分け(繊維に直角になるように包丁を入れる)、皿に盛り付ける。4の熱々のソースをかける。

 

キウイのたんぱく質分解酵素の威力をぜひお試しくださいね!

では次回もお楽しみにーーー。

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井上かなえ(かな姐)

料理研究家。野菜ソムリエ。忙しくても手早く作れてきちんとおいしいレシピが支持されている。毎日の家ごはんやレシピを紹介するブログ「母ちゃんちの晩御飯とどたばた日記」は、「レシピブログ」の人気ブロガーランキングで殿堂入りするほどの人気。神戸、東京で料理教室を主催するほか、NHK「きょうの料理」の出演や、企業のメニュー開発、書籍でのレシピ提案など幅広く活躍。著書に『はじめての自炊練習帖』(ダイヤモンド社)、『15分スープひとつで満足ごはん』(講談社)など。

 

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