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お悩み解決!井上かなえ(かな姐)のオンライン料理教室
井上かなえ(かな姐)
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とろけるチャーシューを作るには?豚ブロック肉の選び方とかたくならない調理のポイント

料理に関するちょっとしたお悩みに対して解決方法を解説する人気料理研究家・井上かなえ(かな姐)さんのフーディストノート公式連載。今回は、豚ブロック肉を使ったチャーシューや角煮がかたくなる問題を解決していただきます。部位別の特徴やレシピも必見です!
2024/11/16
2024/11/15
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誰もが経験あり?豚肉の脂が白く...
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こんにちは!かな姐です。

11月に入ってやっと気温が下がってきたおかげなのか、とにかくやる気に満ちあふれ、気候のいい今のうちに家中の大掃除をしてしまおう!と毎年思っています(笑)。

やろうやろうと思っているうちに気が付くとすっかり寒くなってしまっているっていうパターンなのですが、わたしの妹は毎年10月末ごろから毎日一か所ずつ計画的に掃除を終わらせていくという、掃除界のお手本のような人なので、その様子を毎年指をくわえてみているだけのダメダメなわたしです。

さて今月のお悩みはこちらです。

・角煮やチャーシューを作るとかたくなってしまって、お店みたいにとろとろやわらかなものを作ることができません。

・豚ももブロック肉がとても安くて何度か買ってみたけれど、おいしく調理できません!

豚のブロック肉(塊肉)をおいしく調理する方法です。

まず、そもそもなのですが、みなさまご存知の通り、豚のブロック肉と一口に言ってもいろいろな部位があります。

ブロック肉はそれぞれに特徴があり、その特徴をいかしたお料理にすることで、そのお肉のおいしさを最大限に引き出せます。

それでは、部位ごとに特徴を解説していきます。

部位別ブロック肉(塊肉)の特徴

豚バラ

薄切りのお肉ならお好み焼き等に使われる部位で、赤身と脂身が三層になっていて、三枚肉とも呼ばれています。やわらかな肉質で脂身は濃厚、旨味たっぷり!煮込み料理にすると脂が溶けだし、やわらかで旨味たっぷりに仕上がります。が、脂身が多い部分にはなるので、ダイエット中の方や、脂身が苦手な方にはあまり好まれないかもしれません。さっぱりさせるためにお酢を使うなど工夫が必要かと思われます、個人的意見ですが。

豚肩ロース

しょうが焼きやポークステーキ、しゃぶしゃぶやとんかつなど、ほとんどすべての豚肉料理は作れるんじゃないかと思うほどに万能な部位で、豚肩ロースのブロック肉も豚バラ同様、煮込み用や焼き豚用としてスーパーでよく売られています。豚バラ肉ほどやわらかくはなりませんが、適度に脂肪分が含まれているのでそこそこやわらかくなり、コクも旨味もしっかり。脂身が多すぎないので年齢を重ねた方にもおいしく召し上がっていただけます。

豚もも

前述の豚バラや豚肩ロースに比べると断然脂肪が少ない、赤身の部位になります。脂肪が少ない赤身なので、煮込んでも「とろけるような」やわらかさにはなりません。しっかりとした噛みごたえはありますが、決してかたいお肉ではないため、食べやすくするためには「冷めてからできる限り薄切り」にすることで、薄さでやわらかさを感じさせることができます。ハムと同じです!ハムも、薄ければやわらかいですが、厚切りにするとしっかり歯ごたえがありますよね、あんなイメージです。冷ますときにしっかり保湿してどこからも乾燥させないようにしてあげることで、しっとりした状態にもっていけます。

豚ひれ

脂肪が少ない赤身のお肉なのは豚もも肉と同じ特徴なのですが、豚もも肉よりもキメが細かく水分量が多くてとても繊細でやわらかいお肉なので、煮込み料理にすると、せっかくのよさがいかしきれません。できないことはないけど、せっかくの豚ひれのよさが出ないのです。なのでひれかつにしたり、ソテーにしたりすることの多い部位になります。

 

ということを踏まえて、今回は豚のブロック肉で“とろけるようなやわらかさ”の煮豚。いわゆるラーメン屋さんのラーメンにのっているようなあのチャーシューを作ってみました。

チャーシューに適した部位は?

チャーシューにおすすめの部位は豚バラか豚肩ロースのブロックなのですが、豚もものブロックでもできます。ただ、先ほどお肉の部位ごとの特徴をご紹介したように、豚ももブロックは“とろけるようなやわらかさ”にはならないので、できあがったチャーシューをなるべく薄く切ることで、やわらかさを体感してみてください。

「とろけるチャーシュー」レシピ

わたしはこういった煮込み料理を作るときに、すごく気にするのが調味料のもったいない使い方をしたくないっていうことなんです(関係ないところで勝手なこだわりですみません)。

大鍋にたっぷりの煮汁でゆっくりお肉を煮ていきましょう!ってなると、そこには大量のしょうゆなり酒なり他の調味料なりが使われ、その余った煮汁をたとえ他のお料理に活用して無駄なく使えたとしても、しょうゆを1カップとか使う勇気がなくて。もったいなさすぎる。

なので、わたしの作り方は、必要最小限の調味料でできるように(勝手に)なっています。

今回は肉をやわらかくしてくれる「まいたけ」の酵素を利用し、あらかじめまいたけに肉を漬け込んで作ってみましたが、うまくいきました!

よかったらお試しください。

材料(作りやすい分量)

豚肩ロースブロック(またはバラ、もも肉)…350g~400gくらい

まいたけ…1パック

酒…大さじ2

水…500ml

A

しょうゆ…大さじ2

練りがらし…小さじ1~2

作り方

1. 豚肉はフォークで表面を突いて穴をあける。

「とろけるチャーシュー」レシピ 豚かたまり肉

まいたけは粗みじん切りにする。ポリ袋に豚肉とまいたけ、水大さじ2(分量外)を入れてよくもみ、豚肉全体にまいたけをまとわせるようにして密閉し、冷蔵庫で一晩置く。

「とろけるチャーシュー」レシピ まいたけの酵素

2. 小鍋に1の豚肉とまいたけをそのまま全部入れ、分量の水と酒を注ぐ。

「とろけるチャーシュー」レシピ 煮る

ふたをして鍋を中火にかけ、30分煮る。

※煮汁の表面に肉が出るようなら、落しぶたをする

「とろけるチャーシュー」レシピ 蓋をして

3. 肉だけを取り出し、厚手のポリ袋にAと一緒に入れる。

「とろけるチャーシュー」レシピ 味を馴染ませる

※ここでゆで卵を一緒に入れると味付き卵ができるので、お好みで

※このまま冷めるまで3時間ほど置いて味をなじませたらできあがりですが、すぐに食べたい場合は袋を氷水に漬けて急激に冷ましてください。試しにやってみたら、しっかり味がしみ込みました。

「とろけるチャーシュー」レシピ 氷水で冷ます

4. 豚肩ロースの場合は1cmの厚みくらい、豚ももの場合はできる限り薄切りにしてお皿に盛り、漬け汁をたれとして添える。

「とろけるチャーシュー」レシピ 切り分ける

30分しか煮込んでいませんが、どうでしょうこのぷるぷる具合は!まいたけの酵素のなせる業でしょうか。

「とろけるチャーシュー」レシピ

余談なのですが、うちの近所のスーパーを4軒ハシゴしたのに、豚もものブロック肉が売ってない…涙

今回ご紹介しているのが豚肩ロースを使ったものなので、豚もものご質問者さんに大変申し訳なくて1~2日おきにスーパーを覗いてみたりしたんですが、ほんとに売ってなくて…。苦し紛れに豚ひれ肉でも同じレシピで作ってみたんですが、水分が抜けてしまってしっかりかたいチャーシューになりました。

ただ、脂肪が苦手なわが家のメンバーたち(オットと次女)はおいしいおいしい!と言って食べてくれました。

「とろけるチャーシュー」 ヒレ肉バージョン

今回、角煮の作り方まではご紹介できなかったのですが、大事なのは豚肉自体を味付けしない状態でやわらかくなるまで煮る→やわらかくなったら味付けして冷ますという2段階の作り方で、最初から調味料を入れて煮てしまうと、赤身の部分がかたくパサついてしまう原因になりかねません。また、調味料を入れた後は長時間煮なくてもいいと思います(だからこそ、最初に充分にやわらかくなるまで煮ておくのが大事)

この方法で作るとわたしはやわらかくできる…という手前みそですが、わたしの角煮のレシピが気になる方は「かな姐 めっちゃ美味しい角煮」で検索をしてみてくださいね。

圧力鍋の代わりに普通のお鍋でも作れます。その場合はかぶるくらいのお水で肉が充分にやわらかくなるまで、1~2時間煮てみてください。

紹興酒の代わりに酒でも大丈夫です。

 

最後におまけですが、お肉をゆでた煮汁に小さじ1/2ほどのお塩を加えると、めちゃくちゃおいしいスープになります。

お好きな具材を入れて余すところなくいただきましょう。

「とろけるチャーシュー」レシピ ゆで汁はスープに

ではまた次回をお楽しみに!

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井上かなえ(かな姐)

料理研究家。野菜ソムリエ。忙しくても手早く作れてきちんとおいしいレシピが支持されている。毎日の家ごはんやレシピを紹介するブログ「母ちゃんちの晩御飯とどたばた日記」は、「レシピブログ」の人気ブロガーランキングで殿堂入りするほどの人気。神戸、東京で料理教室を主催するほか、NHK「きょうの料理」の出演や、企業のメニュー開発、書籍でのレシピ提案など幅広く活躍。著書に『はじめての自炊練習帖』(ダイヤモンド社)、『15分スープひとつで満足ごはん』(講談社)など。

 

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