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韓国料理研究家・本田朋美の「おうちで簡単♪行ったつもりで韓国ごはん」
韓国料理研究家 本田朋美
韓国料理研究家・本田朋美の「おうちで簡単♪行ったつもりで韓国ごはん」

もう二度と余らせない!コリコリ食感がやみつきになる「チャンジャのキンパ」

コリコリ食感と旨辛味がやみつきになる「チャンジャ」。今回はチャンジャについての豆知識や、チャンジャを韓国式の海苔巻きにのせて楽しむ「チャンジャのキンパ」のレシピを韓国料理研究家の本田朋美さんに教えていただきました!買ったチャンジャが余っている…そんなときにもおすすめです♪
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こんにちは!韓国料理研究家の本田朋美です。

韓国にもいろいろな「塩辛」があるのですが、日本の方に一番浸透しているのは「チャンジャ」ではないかと思います。スーパーのキムチの売り場に、ほぼ必ずチャンジャがありますよね!

そこで今回は、この「チャンジャ」の食文化を掘り下げたいと思います。

コリコリがやみつきになる韓国の珍味「チャンジャ」

チャンジャのコリコリは何?

日本では「チャンジャ」という名前が一般的に広まっていますが、「チャンジャ」というのは本来、韓国語で「大腸と小腸」をひっくるめた言葉です。ですので、韓国ではいわゆる「チャンジャ」のことを「チャンナンジョッ」と言い、スケトウダラの大腸と小腸の塩辛を指します。(実際は原材料として胃の部分も使われています)

あの独特なコリコリ感は、スケトウダラの腸と胃の食感なんですね!

チャンジャ

塩辛は紀元前から存在していた?

朝鮮半島の塩辛の歴史は非常に古く、魚介類を長期保存させるために塩の力を利用して塩辛にしていたことが紀元前の土器から推測できるそうです。

この時代は、塩を岩塩や海岸の岩礁や海藻などから採取したと考えられています。

そして、文献に初めて塩辛について記載されたのは、540年頃に上梓された中国の「斉民要術」。

この本に書いてある内容によると、漢が東夷(中国東北部や朝鮮の民族のこと)を追って山東半島の海辺に辿り着くと、どこからともなく香ばしいかおりが漂ってきて、匂いのもとを辿ると漁師たちが魚の内臓を塩漬けにし、壺に入れて土に埋めていたそうです。

高麗時代になると、仏教文化により漁業を国が禁止するという事態に。しかし、末期には仏教思想の衰退とともに、漁業が活気を帯びて、塩辛が再び作られるようになりました。そうしてこの時代には、キムチの味に深みを出すために、塩辛が取り入れられるようになりました。

その後、朝鮮時代に入ると、食料品を売る店が発達。塩辛を売る店は「佐飯店(チャバンジョム)」と呼ばれました。

また、この時代に盛んに行われたのが、カタクチイワシの漁でした。

朝鮮半島の東北海域で船いっぱいに獲れるカタクチイワシは、傷みやすいため塩で漬けて塩辛にすることも多かったそうです。その流れから、カタクチイワシの塩辛をキムチに利用することが増えたんですね。

現在は塩辛よりも手軽に手に入るカタクチイワシの魚醤を使うことが多くなりました。

塩辛の使い方は2つ!

韓国で塩辛は調味料用とおかず用の2つに分かれます。

調味料として使う塩辛として代表的なのは、アミエビとカタクチイワシ。ともにキムチに入れたり、スープの味付けに使ったりします。また、アミエビは豚肉と相性がよいので、日本でも人気の「ポッサム(ゆで豚と一緒にキムチや辛みそを葉物野菜に包んで食べる料理)」にも添えることが多いです。

ポッサム

おかず用の塩辛として代表的なのは、いか、牡蠣、あさり、たこ、明太子でしょう。

日本にもいかの塩辛がありますが、韓国の塩辛とは見た目も味も全く異なります。日本ではワタを使いますが、韓国では内臓を一切使用せず、粉唐辛子、塩、にんにくなどで味付けしています。塩分が強いので、2週間から1ヶ月ほど保存が可能です。

日本で不動の地位を築いている「明太子」も塩辛の一種で、日本では福岡が発祥と言われていますが、第二次世界大戦後に韓国から帰国した日本人が製造を始めたので、じつは元々韓国で作られていたものなんですよ。

イカの塩辛

韓国人はチャンジャをこう食べる!

今年の夏に朝鮮半島の東側に位置する、忠清南道(キョンサンナムド)の江景(カンギョン)を訪れました。

この街は、海と内陸を結ぶ錦江(クンガン)の拠点であり、朝鮮時代は「朝鮮三大市場」として栄えました。

現在は塩辛が名物で、街には大型の塩辛店が軒を連ね、「塩辛定食」をウリにしている飲食店も数多いです。

私が食事をした店の定食は、16種類の塩辛とさまざまなパンチャン(おかず)、ご飯とチョングッチャン(納豆チゲ)という構成でした。

塩辛定食

本場の食べ方は、葉物野菜にご飯と塩辛をのせて包む、いわゆる「サムパッ」スタイル。

塩辛だけに塩味が強いのですが、サンチュやえごまの葉などの葉物野菜と一緒に食べるとそれが和らいで、ご飯がとてもすすみます。

また最近では、サムギョプサルと合わせる「サムジャン(包みみそ)」の代わりにチャンジャをのせるそうですよ。

さらにひと手間かけた料理になると、「チャンジャチャーハン」でしょうか。チャンジャだけで味が決まるので、手軽に作れますね!

日本ではチャンジャをアレンジする方が非常に多いようなのですが、韓国ではこれくらいでしょうか…という中ではありますが、今回はひと手間かけたアレンジ料理として「チャンジャのキンパ(キムパッ)」のレシピをご紹介します!

「おつまみ用にチャンジャを買ったはいいけど余らせてしまう」という人もいるようですが、この食べ方を知ればきっと、二度と余らなくなりますよ♪

「チャンジャのキンパ」レシピ

調理時間

15分

分量

2人分

材料

・チャンジャ…50g

・ご飯…1合分

海苔…1枚

・ごま油…適量

・小ねぎ(小口切り)…適量

(A)

・ごま油…小さじ2

・塩…小さじ1/2

・白ごま…大さじ1/2

チャンジャキンパ 材料

作り方

1. ご飯は温かいうちに(A)を加えて、切るように混ぜてから冷ます。

チャンジャキンパ 作り方

2. 巻きすの上に海苔を置き、海苔の上部から1cmの部分を空けてご飯を薄く敷いたら、巻きすの手前側の端を持ち上げて、指で押さえながら巻く。巻き終わりを下にして、巻きすの上からさらに両手で丸く形を整える。

チャンジャキンパ 作り方

3. 表面にごま油を塗り、食べやすい大きさに切ったら、切り口を上に向けてお皿に盛りつける。

チャンジャキンパ 作り方

チャンジャキンパ 作り方

4. 切り口の上にチャンジャをのせ、小ねぎを飾る。

チャンジャキンパ 作り方

チャンジャキンパ

キンパにごま油を塗るときは使い捨ての手袋を使うと、手も汚さず洗い物も増やさず簡単にできます。

 

最後にご挨拶です。今月でこの連載から卒業することになりました。

2年半にわたりお付き合いいただき、ありがとうございました。

今後も韓国料理を日本で広める活動を継続していきますので、温かく見守っていただければ幸いです。

本当にありがとうございました!

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韓国料理研究家 本田朋美さんのプロフィール
韓国料理研究家 本田朋美
韓国料理研究家

2009年より料理教室・講座をスタート。生徒数は1500人を超える。現在は慶尚北道聞慶市観光広報大使、韓国料理店のアドバイザー、企業へのレシピ提供・イベントの企画開催、ツアーの企画開催、執筆、メディアへの出演などを通じ、韓国料理の魅力を伝える活動を行っている。著書『あの名シーンを食べる!韓国ドラマ食堂 』(共著:八田 靖史、イラスト: 西村 オコ)も好評発売中。

 

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