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井上かなえ(かな姐)
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肉汁が出ない焼き方って?これなら失敗なし!「肉汁あふれるハンバーグ」の作り方

料理に関するちょっとしたお悩みに対して解決方法を解説する人気料理研究家・井上かなえ(かな姐)さんのフーディストノート公式連載。今回は、ハンバーグを焼いているときに肉汁が出てしまう理由や使用食材に関する解説、肉汁たっぷりのおいしいハンバーグの作り方を教えていただきます
2024/08/16
2024/10/24
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こんにちは!かな姐です。

毎日暑いですねと言うのも、もはや芸がないような気がしますが、本当に暑いんですよね(この記事が公開されるころもまだ暑いかなと仮定しながら書いています、8月初旬)。

暑くてもしっかり食べないといけません!とわたしが言い過ぎたせいか、栄養バランスのよい食事を摂らないといけないというのが知らず知らずのうちにすりこまれたらしく、朝ごはんを抜いたり、アイスクリームを食事代わりにしたり、そんなことを絶対にしないわが家の子どもたちです。もうみんな大人なんですけど。きっとわたしのブログを昔から読んでいらっしゃる方も同じで、ほぼ全員、栄養バランスに気を使っていらっしゃる方ばかりとお見受けいたします(笑)。

さて、今月はこんなご質問を選んでみました。

先月の餃子の回にも通じるところがあるんですが、ハンバーグについてです。

・ハンバーグを肉汁たっぷりふんわり焼きたいです

・ハンバーグを焼くときに中から油が出てしまいます。 空気はちゃんと抜いているつもりですが、焼けるころには油が出て形も崩れています

・ハンバーグや鶏もも肉をふたをした状態で焼くと、肉汁なのかつゆだくだく状態になります。焼いてるというかもはやゆでられてる。ペーパーで吸い取るのも大変だし、旨味まで吸い取ってる気になるしモヤモヤします。 ジュージューに焼くにはどうしたらよいですか? ちなみに裏返してからふたをします

・ハンバーグを蒸し焼きしてる(ふたをしてる)と油のような汁がたくさん出るのはなんでですか?ゆでてるみたいになります

・ハンバーグに入れる「牛乳に浸したパン粉」や「卵」など、中学の家庭科の教科書に載っているような必須アイテム、意味あるんかな?と、思うことがあります

他にもハンバーグに関するご質問はたくさんいただいていました!

というわけで、

・ハンバーグに入れる食材についての解説

・ハンバーグをジューシーに焼くにはどうすればいいか

この2つの視点を取り入れながら解決方法を説明していこうと思います。

ハンバーグを焼いているときに油や肉汁が出てくる理由

まず、「ハンバーグを焼いているときに出てくる油なのか肉汁なのかつゆだくだくになってしまう」問題について。

ハンバーグを作るときにみなさんがよくお使いになるのが合いびき肉だと思うのですが、これは牛肉と豚肉をそのお店の独自の配合で混ぜ合わせたもので、牛だけだとしっかりしたお肉の味が楽しめるんですが、牛100%で焼くとやわらかさやジューシーさが出にくく、しかもお値段的にも少し高いので、ここに豚肉を混ぜることで、安価になり、やわらかさやジューシーさをプラスし、さらに牛と豚という2種類の素材の旨味を掛け合わせることで、単体で作るよりもより複雑な旨味を感じられるようになります。

本当は、自分で塊のお肉を買ってきて自宅でひいて作るのが一番おいしく作れるんですが、たまにはいいけど毎回そんな手間暇はかけられないですよね。

お店に売っているこの合いびき肉は、すべてのお店がそうというわけではないんですが、薄切りなどで切り分けた残りのちょっと端っこの方のお肉だったり、脂身が多すぎる部分だったり、焼くと脂が出過ぎてしまう部位やそのまま焼いて食べるにはイマイチな部分を使っていることが多いように感じます。

おいしいハンバーグを作るには、まずはいろいろなお店を回ってみて、いろいろなお店のお肉を試してみて、その中から一番自分の信頼できるお肉屋さんを見つけて購入すること。

もしくは時間がかけられるのであれば、自分でロース肉やもも肉など好きな部位を買ってきて家でひき肉を作ること。これだと脂身の量も調整できるのでおすすめです。

特売になっている合いびき肉ではなく、少し高めでも赤身の多いひき肉を購入する。

これでハンバーグを焼いているときに油だくだくになってしまう問題の9割は解決できると思います(残りの1割は焼き方ですのでのちに解説します)。

ハンバーグでおなじみの食材。入れる理由は?

ハンバーグに入れる材料としてひき肉のほかに教科書に載っているものといえば、

・みじん切りにした玉ねぎをバターでよく炒めて冷ましたもの

・卵

・牛乳に浸したパン粉

・ナツメグ

などがありますが、それぞれ解説していきます。

ハンバーグに玉ねぎを入れる理由

まずは玉ねぎ。

玉ねぎを炒めたものを入れるとハンバーグの生地がなめらかにやわらかく、食べたときに玉ねぎの食感はないけれども玉ねぎの甘みとコクがプラスされ、結果ハンバーグの食感はやわらかく、味は甘くやさしい仕上がりになります。

生のまま入れると、シャキッとした玉ねぎの存在感とみずみずしさを感じる、ちょっと歯ごたえがしっかりめのハンバーグになります。

玉ねぎを入れずに作ると、お肉とお肉の間に野菜という水気のあるクッションがなくなるため、ミシッとしたしっかりした食感になります。

ハンバーグに卵を入れる理由

卵は肉同士をふわっとくっつけてくれる存在で、入れずに作るとこれもまた肉同士が密着しすぎて、カチッとした固い食感のハンバーグになります(言い換えると肉肉しい感じ。これを目指して作るならば玉ねぎや卵を入れずに作るのもあり)。

ハンバーグに牛乳に浸したパン粉を入れる理由

牛乳に浸したパン粉、これは肉汁を受け止めてくれる存在になります。入れずに作ると肉汁が出過ぎてしまい、牛乳なしでパン粉だけで作るとこれまた肉汁を吸い過ぎてしまうため、ミシっと食感のハンバーグになります。入れすぎてもダメ、入れなさ過ぎてもダメなパン粉ですが、食パンをちぎって入れる場合ならば牛乳は要りません。また、この肉汁を受け止めてくれるパン粉を別のものに置き換えることで、肉汁溢れるハンバーグを作ることが可能になります(最後のレシピをご覧ください)。

ハンバーグにナツメグを入れる理由

ナツメグ、これはひき肉のくさみ消しのために入れます。くさみ消しならばこしょうを入れているので無理にナツメグまで入れなくてもよいですが、香りを上手に料理に取り入れることができたら、料理上級者!わたしはナツメグの代わりにクミンを使ったり、バジルを使ったり、オールスパイスを使ったりしていろいろな香りで楽しんでいます。にんにくを少し入れるのもおいしい。ひき肉にしっかり香りを付けておくことで、ソースなしでも食べられる仕上がりになりますよ。

ハンバーグを上手に焼く方法

では次に、焼き方についてです。

餃子のときには皮がその肉汁を流れ出さないように受け止めてくれている存在だったのに対し、ハンバーグには皮がありませんよね。

ジューシーな肉汁があふれ出す!お店のような絶品餃子の作り方をマスターしよう!

なのでその代わりにハンバーグの表面を最初によく焼いて、これで膜を作り、中の肉汁が外に出ないようにするのです。表面をしっかり焼き固めてから、中までじっくり焼いていく。

または、わたしは肉だねに薄力粉をまぶしてから焼き始めることもありますよ。作ってすぐに食べるときなどはこの方法はとても有効だと思います。

また、肉だねを作るときにはなるべく手の温度がひき肉にうつらないよう、かなり冷たい温度のまま調理していくことも重要です(なので玉ねぎを炒めた場合は、しっかりと玉ねぎを冷やさないといけないのです)。成形したあと、一度冷蔵庫で冷やしてから焼き始めるのも有効です。ひき肉がぬるいまま焼き始めてしまうと、外側を焼き固める前に中心まで火が入ってしまい、お肉のジューシーさが損なわれてしまいます。

ふたをする、しない、いろいろな方法がありますが、ふっくらふんわり中まで焼くのならば、わたしはふたをして焼く蒸し焼きが適していると思います。

しっかりした肉肉しいステーキのようなハンバーグを焼くとき(牛100%、手切りあらびき肉のハンバーグなど)は、あえてふたをせずにカリッと焦げ目をつけながら香ばしく焼きます。

蒸し焼きにするときですが、お水を入れて蒸し焼きにする方法がおすすめです。お肉がしっとりジューシーに、しかもふんわりと焼きあがりますよ。

 

とはいえ、もう全部試してみたけどダメだった…という方のために、秘密兵器を使用した方法を書いておきますね。

この方法だと一度冷めたものを温めなおして食べても、ハンバーグを押すとじゅわっと肉汁があふれてきます。

「肉汁あふれるハンバーグ」レシピ

分量

4人分

材料

・信頼できるお肉屋さんの合いびき肉…400g

・玉ねぎ…1/4個

・卵…1個

・塩…4g

・こしょう…少々

・クミンまたはナツメグなど…小さじ1

・麩…20g

・冷水…100ml

・こめ油…少々

A

・しょうゆ…大さじ1と1/2

・酒…大さじ1と1/2

・みりん…大さじ2

・米酢…大さじ1

作り方

1. ボウルに麩を入れ、手で細かく砕いて冷水を注ぎ、箸で混ぜる。玉ねぎはみじん切りにし、卵と一緒に麩のボウルに入れて箸で混ぜる。

※麩はおつゆ麩やすき焼き麩のようなものを使っています。手でつぶすと簡単に崩れます。麩の代わりに高野豆腐をすりおろしたものでも同じようにできます

砕いた麩

玉ねぎと卵と麩と水

2. 1のボウルに合いびき肉と塩、こしょう、クミンを入れて手で握るようにして、手早く、でもしっかりとこね混ぜる。

ひき肉と塩

3. 2を4等分にして手でキャッチボールをするように中の空気を抜きながら、小判型に丸める(手に水を付けながら表面をつるんと丸める)。このまま冷蔵庫に入れ、15分ほど冷やす。

冷蔵庫で冷やす

4. フライパンに油をひいて中火にかける。3の肉だねを並べ、中火のまま2分焼いたら裏返し、同じく中火のままで2分焼く。

焼き

裏返す

5. 2分焼いたら水100mlをハンバーグに当たらないように注ぎ、ふたをして8分、中火で蒸し焼きにする。

水を入れる

※8分より前に水がなくなるようであれば、少し火を弱めてください

蓋をして蒸し焼き

6. ハンバーグの表面がパーンと張り、箸で表面を押してみて弾力が出ていたら焼き上がり。お皿に移し、フライパンに残った蒸し汁にAを入れて煮立て、少し煮詰めてハンバーグにかける。

弾力

焼き上がり

ぷっくり。

包丁を入れてみると…。

肉汁

肉汁があふれます。

一度お試しあれ!

では次回もお楽しみにーーーー!

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井上かなえ(かな姐)

料理研究家。野菜ソムリエ。忙しくても手早く作れてきちんとおいしいレシピが支持されている。毎日の家ごはんやレシピを紹介するブログ「母ちゃんちの晩御飯とどたばた日記」は、「レシピブログ」の人気ブロガーランキングで殿堂入りするほどの人気。神戸、東京で料理教室を主催するほか、NHK「きょうの料理」の出演や、企業のメニュー開発、書籍でのレシピ提案など幅広く活躍。著書に『はじめての自炊練習帖』(ダイヤモンド社)、『15分スープひとつで満足ごはん』(講談社)など。

 

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