もう並ばない!大ブームの「チュクミ」がおうちで作れる簡単レシピ
こんにちは!韓国料理研究家の本田朋美です。
いま日本では海鮮を使った韓国料理がブームですね!中でも「チュクミ」が大人気のようです。
そこで今回は「チュクミ」について深堀りしていきます!
「チュクミ」はイイダコのこと
「チュクミ(쭈꾸미)」というのは、もともと「イイダコ」のことなのですが、日本ではこれを甘辛い味付けで炒めた「チュクミポックム」という料理が「チュクミ」という名前で知られているようですね。
イイダコはマダコ科に属していますが、大きさは10cm程度から大きいもので30cmほど。マダコやテナガダコに比べて小ぶりですよね。
イイダコが一番おいしい季節はちょうど産卵期に入る春。この時季のメスは卵をぎっしり抱え、身がプリプリとしています。産卵のために栄養を蓄えているので味も格別です!
また、イイダコは漢字で書くと「飯蛸」です。卵がご飯のような見た目で、食感もご飯に似ていることが名前の由来になっているそうです。
韓国の「チュクミ祭り」
韓国での産地は朝鮮半島の西側や南部です。舒川(ソチョン)という街では、毎年3月から4月にかけて「ソチョン椿とチュクミ祭り」が開催されます。
私はこのお祭りに行ったことがありませんが、公式サイトを見ると、海岸近くにあって天然記念物に指定されている椿の林が会場になっています。ここで獲れたてのイイダコが味わえたり、特産物が低価格で買えたり、子ども向けにイイダコ釣り体験のプログラムが用意されたりしているそうですよ!
仁川には「チュクミ通り」も
ソウルから電車で1時間ほどの距離にある仁川(インチョン)には「チュクミ通り」があり、イイダコ料理の専門店が立ち並んでいます。ここでの名物はイイダコをピリ辛に味付けした炒め物「チュクミポックム」で、日本のみなさまにもおなじみかと思います。
この「チュクミポックム」が仁川の名物料理になった背景は、1950年代に仁川でさまざまな工場が増えたことです。
工場が増加するに従い、周辺には労働者向けの食堂が増えました。そこで、仁川で獲れる栄養価の高いイイダコを使い、重労働の疲れを吹き飛ばすような旨辛い味付けにした炒め物が誕生しました。これが「チュクミポックム」です。
なんといっても炒め物は、お客さんの注文を受けてから提供までの時間が短いので、この点も人気となった理由の一つでしょう。
のちに輸送技術が発達してイイダコ料理は韓国全土に広まったのですが、仁川でイイダコとサムギョプサルを組み合わせた炒めものが誕生したことも、イイダコ料理が全国区になるきっかけだったそうです。
韓国で食べられている「チュクミ料理」
日本で食べられる韓国のイイダコ料理は甘辛く炒めたものが中心ですが、韓国ではいろいろな食べ方をしていますのでいくつかご紹介します。
・フェ(刺身)
生きている状態のイイダコを下処理し、頭の部分を切り落として足の部分を食べやすい大きさに切ります。食べる時は「ごま油塩」につけます。単純にごま油と塩を混ぜただけですが、肉にも魚にも合うんですよ。
イイダコのフェと牛肉のユッケを組み合わせることもあります。豪華ですよね!
・スッケ(ゆで刺身)
下処理したイイダコをさっとゆでて水に取り、水気を切ります。生とは違い頭の部分も食べられます。スッケに合うつけだれは、「酢コチュジャン」です。酢コチュジャンの甘辛酸っぱさがイイダコ特有の風味と食感に見事に調和します。
・しゃぶしゃぶ
野菜と一緒に鍋でイイダコをさっとゆでて、酢醤油や酢コチュジャンにつけて楽しみます。こちらも牛肉と一緒に楽しむことがあります。シーフードとお肉の豊かなハーモニーがたまりません!
・タン(スープ)
具材はイイダコ単品の場合もありますし、えびやムール貝など海の幸をふんだんに使うこともあります。味付けは薄口しょうゆだけのもあれば、粉唐辛子を加えてやや辛味を付けることも。スープはさっぱりながら旨味あふれる飲み口です。
またスープといえば、イイダコは旨辛スープが特徴の韓国式海鮮チャンポンの具にすることもあります。
・網焼き
塩やコチュジャンだれで下味をつけたイイダコを網で焼きます。これをそのまま食べたり、葉物野菜に包んだりして味の変化を堪能します。
それでは、最後に「チュクミポックム(イイダコの旨辛炒め)」のレシピをお伝えします。生のイイダコは入手が難しいと思いますが、ネットで冷凍やボイルのものが手に入りますよ♪
もう並ばなくてOK♪「チュクミポックム(イイダコの旨辛炒め)」のレシピ
調理時間
15分
分量
2人分
材料
・冷凍イイダコ…400g(解凍時)
・酒…大さじ1
・玉ねぎ(中)…1/2個
・ピーマン…1個
・エリンギ…1本
・サラダ油…大さじ1
・白ごま…小さじ1/2
[A]
・コチュジャン…大さじ1
・韓国産粉唐辛子…大さじ1/2
・しょうゆ…大さじ2
・みりん…大さじ1
・砂糖…大さじ1
・おろしにんにく…大さじ1
・ごま油…小さじ1
・こしょう…少々
作り方
1. 解凍した冷凍イイダコを水(分量外)で洗う。鍋に、あとでイイダコを入れたときにかぶるくらいの水(分量外)と酒を入れて強火にかける。沸騰したらイイダコを入れて1分ほどゆで、ザルにあげて水気をよく切る。
2. 玉ねぎは繊維にそって5mm幅に切る。ピーマンは縦に半分に切って種とヘタを取り除き、5mm幅に切る。エリンギはピーマンの大きさに合わせて切る。
3. [A]を混ぜ合わせたら、1のイイダコを入れて全体に味をなじませる。
4. フライパンにサラダ油をひき、中火にして玉ねぎを1分ほど炒めたらピーマン、エリンギを入れて1分ほど炒める。全体的に火が通ったら、3のイイダコを入れて炒め合わせる。器に盛り付け、白ごまをふる。
イイダコは生のまま炒めると水分がかなり出ますので、一度ゆでてから使用してください。ボイルのイイダコを買われた場合は、ゆでる工程を省きます。
野菜はキャベツ、にんじん、しめじ、にらなど冷蔵庫にあるもので大丈夫です。
お店のように、残ったたれでポックンパ(焼き飯)を作るのもおすすめです。
また、ゆでたそうめんをイイダコ炒めにからめて食べるのもおすすめ!本場韓国の食べ方の一つでもあります。
イイダコが手に入りにくい場合は、ムノ(マダコ)を食べやすい大きさに切って炒め合わせてもいいですね。
それでは今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!