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井上かなえ(かな姐)
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「鶏ハム」の火の通りが心配な方へ!しっかり加熱でもパサつかないおいしい作り方

料理にまつわるちょっとしたお悩みに、人気料理研究家・井上かなえ(かな姐)さんが答えるフーディストノートの公式連載。今回は、火がちゃんと通ってるか心配・しっとり仕上がらずパサついてしまう…といった「鶏ハム」に関する質問にお答えいただきます。きちんと火を通しつつ、しっとりおいしく仕上がるコツをぜひチェックしてみてくださいね。
2025/06/16
2025/06/16
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こんにちは!かな姐です。

植物にカメラを向けると、その名前を教えてくれる便利なアプリを使っているのですが、先日ベランダのとある植物を撮影してみたところ、出てきた植物名が「芹(せり)」でした。

え!これって芹だったの?じゃあ食べられるの?とすぐに「観賞用セリ 食用セリ」で検索しまくってしまった食いしん坊なわたしです。

さて、今回読者さんからいただいたお悩みはこちらです。

今回のお悩み相談:鶏ハムがパサついてしまいます

鶏むね肉を使った鶏ハムがどうしてもパサついてしまいます。お鍋にたっぷりの水と鶏むね肉を入れ、そのまま火をかけ、沸騰したら2分ほど。火を消して冷めるまでそのままにしておいています。しっとりできたかなー?と思って切ると、赤い生のような部分がチラホラと。やっぱり気になり、追加で少しだけ火を入れてしまうことも。いろいろなレシピをみてそのようにしてるつもりですが、うまくいったことがありません。

鶏ハムについて。いろいろなレシピを見て試してみたけれど、うまくいかないとのことでした。

「ハム」といえば、豚肉で作った「ポークハム」が一般的ですが(スーパーのハム売り場で売っているハムのほとんどがこのポークハムになります)、ご家庭では豚肉を使った本格的なハムを作る方よりも、鶏むね肉を使った「鶏ハム」を作る方の方が多いのではないでしょうか。

豚のロースやももの塊肉(そもそもあまり売っていませんね)を買ってきて数日間塩漬けにし、それをハムに加工していくというのは結構ハードルが高いですが、鶏むね肉だといつでもスーパーに売られていますし、安価ですし、大きさも程よいので、家庭で調理するのにちょうどよいのかもしれません。

豚肉ですと大量にできてしまいますが、鶏肉なら食べきれる量が作れるっていうのも魅力的ですよね。

鶏ハムを作る基本の手順は?おいしく作ることは可能?

そんな鶏ハムですが、作る手順としては

・下味をもみ込んで形を整え、1~3日ほど冷蔵庫で寝かせる

・お湯でゆでる

という実にシンプルな作り方です。

ただ、鶏むね肉を使うので調理法によっては「固くなってしまったりパサついたりしてしまう」というリスクもあり、慎重にならざるを得ないお料理なのかもしれません。

鶏むね肉は加熱しすぎるとパサつくのは事実ですが、下味のつけ方や加熱後の保湿、切り方を工夫することで、充分にしっとりおいしく食べることもできます。

個人的に…、歳を重ねるごとに鶏肉はしっかり火を通した方が好きになってきたこともあり(以前は火が通るか通らないかのギリギリを攻めた、超絶しっとりの火入れが好きでした)、今回は「切ってみたら生だった!」ということが絶対にないよう、十分に火を通しつつ、それでもしっとりと仕上がる鶏ハムを目指しました。さっそく作り方を見ていきましょう。

しっかり火を通してもパサつかない!しっとり鶏ハムの作り方

鶏むね肉は1枚が350~380gくらいの、少し大きめのサイズのものを選びました。

(450g以上のものになってくるとちょっと大きすぎて、加熱時間も変わってくるのでご注意ください)

皮は簡単に外せるので、いったん取り外しておきます。鶏むね肉の皮が付いていなかった面を見ると、縦に筋のような線が入っていますが、

胸肉を開く

ここに包丁を入れ、両側に肉を開いていきます(「観音開きにする」といいます)。

厚みを均一にする

一度包丁を入れたくらいでは、厚みがそろわないので、もう一度包丁を入れてさらに開きます。

観音開きにする前の縦の線も左右対称ではなかったですが、身の大きいほうを2回開くイメージです。

厚みを均一にする自信がなかったら、ある程度開いた後にラップをのせて、瓶の底などでバンバンと叩くといいです。

扱いやすい厚みになると思います。

ここに塩をすり込んでいきます。

塩を擦り込む

今回は肉の重さに対して2%の塩を使います。

350gのお肉なら7g(小さじ1強)を、全体にやさしくすり込みます。

続いて、肉をくるくると巻きます。なるべく隙間がないように巻きたいです。

隙間が無いように丸める

ここへ、先ほどはがした皮をきれいにのせてみました。皮がお嫌いな方はのせなくてもいいです。

皮にも旨味やちょっとした脂があるので、今回は鶏ハムをよりおいしくしっとりさせるために使ってみます。

皮も

肉をそーっとラップの上に移動させ、上からオリーブオイルを少量振りかけます。

オイルを使うことで塩のなじみがよくなるのと、お肉のくさみを消し、しっとりさせる効果もあります。

オリーブオイル

ラップにきっちりと包み、両端をくるくるとねじって中のお肉の形を整えるようにします。

最終的にこの形に仕上がるので、肉の中に空洞ができないよう、けっこう頑張って整えてください。

※ラップは形を整えるためなので、いわば肉を縛るひもの役割です。お湯が中に入っても全然いいのでそこは気にしないでください

ラップで成型する

このまま冷蔵庫に入れ、24時間寝かせます。中まで塩が浸透し、お肉の熟成がすすんでおいしくなります。

24時間後です。

調理する30分前に肉を冷蔵庫から取り出し室温においておきましょう。

鍋に1Lの水を入れ、沸騰したところに室温に戻しておいた肉をそっと入れます。

沸騰したお湯で茹でる

2本とも入れたら火を弱火にし、ふたをして10分、静かに煮ます。

10分茹でる

途中で何度かふたを取って肉を裏返すようにし、全体に火が通るようにしましょう。

ふたを開けっぱなしにしていると、せっかくの熱が逃げていってしまうので、裏返すとき以外はふたをします。

蓋をして

10分経ったら火を止め、そのまま30分~1時間ほどお湯の中に入れたままにします。ふたももちろん閉めたままです。

これは1時間後です。これで充分お肉の中に水分が浸透し、しっとりしました。

30分後

お湯はまだ温かいのですが、そのまま放置しているとなかなか冷めていってくれないので、取り出します。

ラップははがさず、そのまま冷まします。

冷ます

30分経ったらラップをはがします。

しっかり冷ます

このままでもいいのですが、ちょっと皮を焼いて香ばしい香りをつけることにしました。

表面の水けをキッチンペーパーでふき取り、オリーブオイルをひいたフライパンで皮目だけを焼きます。

皮目を焼く

もう中まで火が通っているので、皮の面だけが焼き色が付けばOKです。

出来上がり

できあがりです。

では、さっそく切ってみましょう。

鶏ハム

いかがでしょうか。

ちょっと赤いところがあるのが気になりますよね?

これは、鶏むね肉の部位に必ずある血管なんです。生ではないんですが、もし鶏むね肉の皮をはがしたときに気づいたらなるべく取っておくようにするといいです。

ちょうどよいやさしい塩加減で、しっとりと仕上がりました。

空洞もありました

場所によっては少し空洞が出来てしまっていましたが、しっとり仕上がっているので問題なし!

「鶏ハム」

食べるときはもちろんそのままでもよいのですが、エキストラバージンオリーブオイルとブラックペパーを振りかけたり、ハーブを散らしたり、粒マスタードを添えたりするとより変化がついておいしいと思います。

最後にレシピをご紹介しますね。

しっとりおいしい「鶏ハム」レシピ

分量

鶏むね肉2本分

材料

  • 鶏むね肉…2枚(1枚が350~380gのもの)
  • 塩…肉の重さの2%
  • エキストラバージンオリーブオイル…小さじ2

作り方

1. 鶏むね肉は皮を外し(捨てずに置いておく)、皮と反対側の身の縦の線に沿って包丁を入れて開き、厚みを均等にする。

※ラップをのせ、空き瓶などでたたいて広げても◎

全体に塩を振って手でやさしくなじませたら、くるくると隙間のないように丸め、ラップの上にのせる。肉の上に皮をかぶせ、オリーブオイルをかけてラップでくるみ、両端をくるくるとねじってしっかり縛る。これを2本作り、冷蔵庫に24時間入れておく。

2. 肉は調理する30分ほど前に冷蔵庫から出し、鍋に1Lの湯を沸かす。肉を並べて入れ、ふたをして弱火で10分~15分ゆでる(途中何度かひっくり返す)。火を止め、ふたをしたまま30分~1時間ほど余熱を通す。

3. 湯から取り出し、ラップをしたままバットなどにのせて室温で30分冷ます。

4. ラップを外し、表面の水分をキッチンペーパーでふき取り、油をひいたフライパンで皮目を焼き付ける。

5. 食べやすい大きさ(1cmくらいの厚み)に切り分け、皿に並べる。お好みでオリーブオイル、ブラックペパーを振る。

シンプルな味付けにしたので、アレンジでいろいろ楽しんでみてください!

柚子こしょうやわさび、マスタードも合いますし、サンドイッチの具にもよいです。

 

かなりしっかりゆでましたが、下味にオイルを使ったり、皮を利用したり、またゆで汁の中で冷ますことでしっとり食感の鶏ハムが味わえます。

そして、3で鶏肉をゆでたお湯は、スープとして使えます。お好みの具を入れ、塩で味を調えてくださいね。

では次回もお楽しみに!

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井上かなえ(かな姐)

料理研究家。野菜ソムリエ。忙しくても手早く作れてきちんとおいしいレシピが支持されている。毎日の家ごはんやレシピを紹介するブログ「母ちゃんちの晩御飯とどたばた日記」は、「レシピブログ」の人気ブロガーランキングで殿堂入りするほどの人気。神戸、東京で料理教室を主催するほか、NHK「きょうの料理」の出演や、企業のメニュー開発、書籍でのレシピ提案など幅広く活躍。著書に『はじめての自炊練習帖』(ダイヤモンド社)、『15分スープひとつで満足ごはん』(講談社)など。

 

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